今回の旧型レポートは「初代 ホンダ モビリオ W(2004年)」です。
この初代ホンダモビリオは、2001年に登場した5ドアのコンパクトミニバンです。
フィットのプラットフォームを使って、コンパクトなボディに3列シート7人乗りを実現しています。
3列目シートはあくまでも非常用の簡素なシートですが、「コンパクトカーなのに7人も乗ることができる」と話題になり、当初は大きな人気を呼んでいました。
その後、同じコンセプトで「トヨタ・シエンタ」と、「日産キューブ・キュービック」が発売され、次第に売れ行きを奪われて行くことになります。
多人数乗りコンパクトミニバンの元祖ともいえる車です。
外観
全長4070mmX全幅1685mmX全高1740mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2740mmとなります。
欧州の路面電車「ユーロトラム」をモチーフにした、ユニークなスタイリングです。
フロント
大きく立ち上がったフロントウィンドウ、低く抑えられたノーズに大きく四角いヘッドイラとが組み合わされ、のほほ~んとした穏やかな表情を持ちます。
ただ、マイナーチェンジでボクシーのようなグリルが与えられ、ちょっと個性が薄まった気がします。
サイド
ドアパネルの大きさに対して、さらに大きな面積を持つサイドウィンドウが装備されます。ユーロトラムのようなルーミーで開放感のある面白いデザインです。
リア
サイドウィンドウの高さに合わせて、リアウィンドウにも大きなガラスがはめ込まれています。コンパクトなリアコンビランプを低めに配置することで、さらにキャビンを大きく強調するデザインが施されています。
内装
質感の低い内装。センタークラスターにメタリックの化粧板が貼り付けられ、ミニコンポのようなイメージを演出しています。
電動スライドドアが装備され、両手がふさがっている時の乗り降りに便利です。
コンパクトなボディと大きなグラスエリアによって、広々とした視界を持つ運転のしやすい車です。
シート
フロントシートにはソフトで体圧の集中しがちなクッションが採用されています。中距離程度の移動であれば問題ありません。
セカンドシートは平板なデザインで、クッションも不足気味です。大人が十分快適に座れるだけのスペースが確保されています。
サードシートはとても狭く、小柄な子供しか乗る事ができません。ただし、リアウィンドウが後頭部のすぐ後ろに設置されるため、安全を考えるとこの席に子供を乗せる事はできません。緊急用シートとして限定した使い方が無難です。
荷室
コンパクトなボディに、無理やりサードシートを組み付けているため、そのあおりを受け荷室スペースは小さいです。
ただし、サードシートを畳めば、ステーションワゴンのように大きな荷室を確保することができます。さらにセカンドシートも折りたたむことが出来ますので、ハイエースのようなカーゴとしても使えます。
静粛性
コンパクトカーとして標準的な静粛性を持ちます。ロードノイズ、風切音ともに、それなりに進入を許します。
エンジンとミッション
1496ccの直列4気筒SOHCエンジンに、CVTが組み合わされます。
エンジンは、90ps/5500rpmの最高出力と、13.4kgf・m/2700rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1280kg。10モード/10・15モード燃費は、17.0km/lとなります。
エンジン
フィットと同じ1.5Lのシングルカムエンジンで前輪を駆動します。低速からたっぷりとしたトルクを発生する力強いエンジンです。
トランスミッション
CVT特有のクセを残すトランスミッションです。低速トルクを十分に活かした、力強い制御を行います。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
背の高いボディを安定させるため、足回りは硬められています。そのせいもあって、段差では路面の衝撃を車内に伝えがちです。
ハンドリング
スポーティな足回りの影響で、キビキビとしたフィールのハンドリングです。ただし、ボディが高くロールしがちなため、ハイペースでワインディングに進入すると、乗員は右へ左へと大きく揺すられ続けることになります。
評価のまとめ
一見スペースユーティリティに優れた使い勝手の良い車に見えますが、コンパクトなボディに無理やり3列シートを組み付けているため、全体のレイアウトにそのしわ寄せが見え隠れします。
どうせなら3列目シートを諦め、その分を他のシートや荷室のために使ったほうが、どれだけ快適で使い勝手の良い車になるかしれません。
まあ、そうなると「フィットで十分だね」という事になるのですが。。。
価格
新車当時の価格 | 1,600,000円(税込み)