今回は「VW ティグアン R-Line」を試乗レポートいたします。
VWティグアンは、2016年のモデルチェンジで2代目となりました。日本市場では2017年より販売されています。
ゴルフのプラットフォームをベースに開発された、コンパクトなクロスオーバーSUVです。
外観
全長4500mmX全幅1860mmX全高1675mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2675mmとなります。
旧型のティグアンと比較すると全長と全幅が拡大され、ホイールベースも延長されています。
そのため、丸みのある従来の優しいスタイリングから、がっしりとした重厚感のあるスタイリングへと変貌しています。
また、この「R-Line」には専用グリルやバンパー、エアロでスポーティな演出が施されます。
フロント
全幅が拡大されると共に、全高が低められ、ワイドアンドローのスポーティな面構えとなっています。
角型のヘッドライトやグリル、がっしりとしたフロントバンパーなどによって、がっしりとした塊感が表現されています。
サイド
R-Lineはサイドスカートがボディ同色となります。延長されたホイールベースが効果的に使われ、伸びやかなサイドビューを形作っています。
緩やかに弧を描くようにリアに伸ばされたルーフラインとガッチリとしたボディ、のびやかなキャラクターラインの対比が、スポーティな重厚感を表現しています。
リア
塊感のあるリアエンドに薄いL字型リアコンビランプが装備され、クリーンで男性的な印象を感じさせます。
内装
エッジのしっかりと立ったボディと高いアイポイントにより、抜群の取り回しの良さを持ちます。
メーターナセルには、デジタル式の「アクティブインフォディスプレイ」が装備されます。様々な情報をスイッチひとつで切り替える事ができますが、慣れていないせいもあって「普通の表示だけあれば十分だなあ」と感じました。
ナビゲーションパネルは今流行りのタッチパネル式です。スマートフォンに慣れている人ならこちらの方が使いやすいでしょう。
シート
フロントには、ゆったりとしたサイズを持ったかけ心地の良いシートが装備されます。クッションの剛性が高く、体圧の集中しがちな腰回りをがっちりと支えてくれます。長時間座っていても腰が痛くなることはありません。
リアシートもフロントシート同様硬めの座り心地です。シートバックが立ち気味ですが、しっかりと奥まで腰を入れて座れば 長時間座っていても疲れることはありません。
ホイールベースが拡大されているため、足元、頭上空間ともに広々とした余裕があります。
荷室
VWゴルフ系のMBQプラットフォームを共用しているため、荷室には615Lの広々とした余裕があります。
テールゲートは、バンパーのすぐ上からボディ左右いっぱいまで大きく開く使いやすい形状です。
リヤバンパーの下に足を入れると自動でテールゲートが開放され、キーを持った人がテールゲートから離れると自動で閉まり施錠されます。もちろん近くに他の人がいる時は、安全装置が働き作動しません。
荷室の下には大きなサブトランクがあり、6:4で分割することのできる可倒式リヤシートが装備され、荷室容量を1655Lまで拡大する事が可能です。
静粛性
コンパクトSUVとしては静粛性が高く、風切音、ロードノイズの侵入は最小限です。
エンジンとミッション
1394ccの直列4気筒DOHCターボエンジンに、6速AT(DSG)が組み合わされます。
エンジンは、150ps/5000-6000rpmの最高出力と、25.5kgf・m/1500-3500rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1540kgで、JC08モード燃費は、16.3km/lとなります。
エンジン
アイドリングストップ機能の付いた1.4Lダウンサイジングターボに、「アクティブシリンダーマネージメント」が装備されます。
この「アクティブシリンダーマネージメント」は、高速走行時などエンジン負荷の低い時に作動して、4気筒の内2気筒を停止する気筒休止システムです。
ボディに比べて若干小さめのエンジンですが、たっぷりとした低速トルクと優れたレスポンスによりキビキビとした自然な走りが可能です。
現代のターボエンジンらしく、ノイズやバイブレーションも少なく静かでスムーズな加速を行います。
トランスミッション
2つのクラッチを巧みに使い、通常のATのようなスムーズな変速と、マニュアル・トランスミッションのようなダイレクト感のあるフィールを実現しています。
強めに加速をすると若干変速ショックが大きくなりますが、運転が好きな人ならかえってこのフィールを気に入るはずです。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪には4リンク式サスペンションが装備され、前後共にスタビライザーで強化されています。
足回り
前輪駆動のドライブトレーンが使われ、ボディはぐっと軽量化されています。
延長されたホイールベースと拡幅された全幅により、安定感のあるゆったりとした身のこなしを得ています。
足回りは若干固められており引き締まった乗り心地ですが、ゴツゴツとした不快感はありません。上質で軽快、スムーズなフィールです。
ハンドリング
背の高いSUVとしては、揺れが少なく切れ味の良いステアリングフィールです。ダルすぎず鋭敏すぎない、バランスの良い自然な旋回特性を持ちます。
「ドライビングプロファイル機能」により、ステアリングのアシスト、シフトプログラムを「モード」と「状況」に合わせて最適に制御することができます。
オプションで選択することのできる「DCC」を装備している場合は、この制御にダンパーの減衰力コントロールが加わります。
モードには、エコ、コンフォート、ノーマル、スポーツの4種類が用意され、「スポーツモード」を選ぶと足回りが硬くなると同時に、ステアリングフィールも重めに変化します。
評価のまとめ
ボディの大きさ、ドライブフィールなどを総合して考えると、ちょうど背の高いパサート・ヴァリアントといった印象です。
アイポイントの高いSUVを選ぶ人の中には、選択の理由にSUVならではの見晴らしの良さと取り回しの良さを上げる人もいます。そのため、「パサート並の室内空間と積載能力が必要だが、大きなボディは見切りが悪くて躊躇してしまう」という人にピッタリな一台となります。
SUVとしてはコンパクトなボディ、がっしりとした直線的なボディ、VWならではの素直で上質、切れ味の良い乗り味などもこのティグアンの大きな魅力です。
価格
価格 | 4,632,000円(税込み)