ホンダは、2017年1月、ラスベガスで開催されている「CES 2017」で、「ホンダ・ライディング・アシスト」と呼ばれるモーターサイクルのための操縦支援システムを発表しました。
「ホンダ・ライディング・アシスト」は、ジャイロスコープを使用せず、モーターサイクル自身でバランスを取って自律走行する技術です。
具体的には、フロントフォークによる左右への細かいハンドリングと、前輪による細かい前後トルク変動により、極低速域でもモーターサイクル自身がバランスを取って自立走行するように制御されます。
アシモの技術が応用されている
この「ホンダ・ライディング・アシスト」には、同社が長年培っている「アシモ」の技術が活用されています。
この手の自立型モーターサイクルは、多くの場合、ジャイロスコープを搭載することで自律制御を可能にしていますが、それでは車重が大幅に増え、モーターサイクルの性能を著しく制限してしまいます。
これに対してホンダの「ライディング・アシスト」テクノロジーは、同社のロボット技術を応用しているため重量増加などの「ネガティブ」な要素が発生しません。
ジャイロスコープを使わず、ロボット技術で自立する
「ホンダ・ライディング・アシスト」作動時は、フロントホークが大きく倒れこみ、モーターサイクルのホイールベースが最大化されます。加えて、ハンドルとフロントホークの接続が解除され、完全にモーターサイクルのコントロールは「AI」へと一任されます。
続けて「AI」は、ジャイロスコープの力を借りることなく、微小舵入力と、前後トルク変動を使って、モーターサイクルのバランスを完全に制御します。
実際に「CES 2017」の会場では、オーナーの後に続いて静かに自走するというデモンストレーションが披露され、人々に感嘆と驚きを与えていました。
「ホンダ・ライディング・アシスト」搭載車の市販予定
このような自立型モーターサイクル技術は、今回の「ホンダ・ライディング・アシスト」が初めてではなく、2016にBMWがコンセプトバイクとしてすでに発表しています。
この時のBMWのコンセプトバイクに比べると、ホンダのコンセプトバイクのデザインはより市販車に近い凡庸なものですが、ホンダによると「このコンセプトバイクの市販予定はまったく無い」という事です。
ただ、この技術はすぐに市販車に応用することができるため、大きく重いバイクの安全装備として、もしくは力の弱い人や背の低い人のためのアシスト技術として大きな可能性を秘めています。
(参考:HONDA 公式YouTube)