前回の「ラリー入門」では、どんな条件を満たしていればラリーに出場できるのかを、車両規則の面から「ラリーに出場するための車両(ラリーカー)の条件」のページで解説しました。
そこで今回は「どういう車がラリーに向いているのか」と言う切り口で、主に車の性能について説明したいと思います。
目次
- ラリーに最適な車の条件をリストアップ
- 現在のラリーでは改造の範囲が厳しく限定されている
- 日本は安くて高性能な車の天国
- ディーラーが直販するモータースポーツ専用グレード
ラリーに最適な車の条件をリストアップ
まず、ラリーに向いている車について箇条書きにリストアップすると、
- パワフルなエンジン
- 軽量でコンパクトで重量配分に優れたボディ
- 耐久性の高さ
- 価格のバランス
- ラリー用パーツの豊富さ
- 駆動方式(FFか4WD)
などが挙げられます。
現在のラリーでは改造の範囲が厳しく限定されている
現在のラリー競技では、車に対して多くの手を入れることが許されておらず(特にエンジン周り)、ディーラーで購入した段階である程度のポテンシャルを持っていることが求められます。
そのため、先に挙げた条件を購入時に一つでも多く満たしている車が、ラリーに最適な車となります。ただ、これらの条件を全て叶える車というのは、当然ながら価格も高価になってしまうのが普通です。
日本は安くて高性能な車の天国
そこで、価格と性能のバランスを見ながら車を選ぶことになりますが、現在の日本は、世界でも類を見ないほど高性能の車を安く買うことのできる恵まれた市場となっています。
例えば、「スバル WRX STI」のようなパワフルで耐久性に優れ、価格もそこそこという車は他の国ではまずお目にかかれません。欧州メーカー製の高性能車であれば、価格がさらに高くなり、高価で繊細な部品がふんだんに使われるため、耐久性も低くなるのが普通です。
ドイツのVWで「WRX STI(308ps/43kgfm)」と同等の車を探すと、「ゴルフ R(280ps/38.7kgmf)」が少し性能が落ちるものの近い性能持っています。駆動方式は両車共に前輪駆動ベースの4WDです。しかし価格は逆に、WRX STIが「379万円」で買えるのに対して、ゴルフ Rは「539万円」と160万円の差が開いてしまいます。
ディーラーが直販するモータースポーツ専用グレード
また、最近ではモータースポーツに使うことを前提に開発されたグレードを、メーカー自らが販売するという事も増えています。この場合、ベースグレードから快適装備が除かれているため、通常のモデルよりも価格が低く抑えられています。
ただ、通常であればディーラーで購入したばかりの車をそのままラリーに持ち込むという事はありませんから、この車両価格に加えて改造費用など追加分を予算に計上しておく必要があります。