イギリスの自動車情報サイト「Car Magazine」によると、2016年に開催されるパリモーターショーにおいて、ドイツのフォルクスワーゲンは電気自動車のコンセプトカーを発表する予定です。
このコンセプトカーの詳細は未発表ですがゴルフサイズで開発が進められおり、多くの人々がその先進性に衝撃を受けることになりそうです。
動画はゴルフベースの電気自動車「e-Golf」です。今回のコンセプトカーはこれよりさらに先進的な車となる予定です。
現在、フォルクスワーゲンからこのコンセプトカーのティーザー写真だけが発表されています(これはスタイリングの一部だけが切り取られた限定的なものです)。またこれに続いて9月29日のフランスで行われる自動車ショーにおいて、さらに詳細な情報が発表される予定になっています。
この写真に写っている車はゴルフサイズのハッチバックで、グラスエリアにはセレナなどに使われているような特徴的なサイドウィンドウがレイアウトされています。ヘッドライトにはコンセプトカーによく使われるライン状のLEDが使われています。
リアエンドはポロのようにブラックアウトされたリアハッチと、リアウィンドウが一体化された未来的なデザインが与えられています。ただスタイリング自体はポロのように簡素なものではなく、抑揚のある上質なデザインです。リアコンビランプもヘッドライトと同じくライン状のLEDで造形されています。
初代ビートル以上の衝撃!
フォルクスワーゲンはこのコンセプトカーをデザインする事で、将来の電気自動車産業そのものを形作ろうとしています。その衝撃は70年前に自動車産業に多きな影響を与えたVWビートル以上のものになるでしょう。
尾を引く排出ガス不正問題
1年前、フォルクスワーゲンはアメリカにおいてディーゼルエンジンの排出ガス検査不正問題を引き起こし、大きなスキャンダルとなっていました。
現在この問題によるイメージダウンや金銭的損失、社内体制の強化、自動車自体の改良などの問題に対しフォルクスワーゲンは全グループ一丸となって対策を講じています。
今回の電気自動車のコンセプトカーもその一環として、イメージの改善、将来への技術的な投資といった大切な役割を担うことになります。これだけで失われた信頼が回復されるものではありませんが、一つ一つ地道に積み上げていくしかありません。
ただ、大きな企業というものは、一度不祥事を起こすとなぜか何度も同じことを繰り返してしまう傾向があります。社内風土というものは一朝一夕に変えられるものではないのかもしれませんが、フォルクスワーゲンにはなんとか立ち直ってもらいたいものです。
電気自動車コンセプトカーにかける大きな期待
今回フォルクスワーゲンはこの問題に対して10億ポンドの資金と、本格的な政権交代で対処しようとしています。また、このコンセプトカーを投入することでさらに新しい電気自動車の未来を描こうとしています。VWは「このコンセプトカーは新しい歴史を象徴的に表すデザインスタディになる」と言明しています。
航続距離は十分!
このコンセプトカーは初心者のための電気自動車として作られる予定です。また、フル充電からの最大航続距離は250マイル(約400km)ですが、これは多くのユーザーにとって十分な距離です。通勤通学用途なら100kmもあれば十分ですし、急速充電と食事や休憩時間を上手く組み合わせればかなり遠くまで足を延ばすことが可能になります。ただ、ガソリンと違い充電には時間がかかりますし、先に誰かが充電ステーションを占有していればしばらく充電することができません。現状では使い勝手の点で大きくガソリン車に水をあけられています。
「この唯一無二のコンセプトカーは新しい時代へのフォルクスワーゲンブランドの第一歩だ」と広告はうたいます。全盛期のベストセラーカー「ビートル」はその革新性も話題でしたが、それから70年以上を経てフォルクスワーゲンはそれ以上の車を生み出そうとしています。
ここまでVWが言い切るのですから、現状のリーフやステラと違った革新的な何かがあるのでしょう。ただ、広告の宣伝文句というものは「決まりきった文章で大げさに言う」という特徴を持ちます。何にも代わり映えのしない普通のEVだったら本当にがっかりですね。
車台は新しい電気自動車用「MEB」
このコンセプトカーは新しい時代を作る可能性を秘めた革新的な車です。最初の生産車はフォルクスワーゲンの新しい電化モジュラーキット「MEB」を用いて生産される予定です。現在のゴルフに使用されている車台(プラットフォーム)は「MQB」ですので、この「MEB」は名称から推察すると「MQB」から派生した車台となりそうです。
(参考:Car Magazine)