今回は「5代目 VW パサート 1.8T(B5)」を試乗レポートいたします。
このVWパサートは、1997年に発売された5代目のモデルです。当時のアウディA4とボディを共有する、フォルクスワーゲンFF3ボックスの最上級車種です。
かつて日産自動車はフォルクスワーゲンと提携し、2代目パサートの兄弟車種にあたるサンタナを生産していたことがあります。しかしこのサンタナは思うような売上を上げることができず、日産はサンタナの後継にあたる3代目パサートの生産から撤退してしまいました。
今回の5代目パサートではフォルクスワーゲン自らが生産と販売を担当し、ボディとエンジンにも全く新しいものが使われています。
外観
全長4680mmX全幅1740mmX全高1460mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2705mmとなります。
当時のアウディA6とよく似た、かっこいいデザインが与えられています。兄弟車のアウディA4より先進的なデザインで、サイズ的にはA4と、A6のほぼ中間に位置しています。
フロント周りは、特にこれといった特徴はないものの、しっかりとフォルクスワーゲンの個性を感じさせる実直なデザインです。
サイドビューは、フロントオーバーハングが短く切り詰められており、スポーティなスタイリングです。
リアエンドは、端正なリアコンビランプとファストバックの処理が巧みで、都会的かつスマートな印象に仕上がっています。
当時のフォルクスワーゲンは、ピエヒ会長による高級化路線が推し進められており、塗装の質、ボディパネルの合わせ目などに、クラスを超えた上質感が感じられます。
内装
メーターには、大きな2眼タイプが採用され、シンプルで使い勝手のいいデザインです。
外装と同じく、フォルクスワーゲンの高級化路線により、4代目パサート以上の高いクオリティが与えられています。
室内にはたっぷりとした余裕があり、快適で居心地のいい空間となっています。
前席には、厚みとサイズのたっぷりとしたドイツ車らしい上質なシートが装備されています。適度な硬さとコシがあるため、長距離運転でも疲れることはありません。
さらに後部座席にも、たっぷりとしたサイズと空間が与えられており、兄弟車のアウディA4よりも余裕があります。
また、荷室空間には、4人で1泊旅行やキャンプに行っても十分な容量が確保されています。
室内の遮音材はそれなりに装備されていますが、エンジンのがさつな音が侵入してきます。
エンジンとミッション
1780ccの直列4気筒DOHCターボエンジンに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、150ps/5700rpmの最高出力と、21.4kgf・m/1750rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1410kgで、10モード/10・15モード燃費は、10.4km/lとなります。
当時の1.8Lクラスの車としては車重が重いのですが、低速域から最大トルクがしっかりと出ているため、街中での扱いにもっさりした感じはありません。
ただ、エンジンの質感が低く、走行中はガーガーと情緒のないサウンドを響かせてしまいます。全体の質感が高いだけにちょっとガッカリしてしまいます。
足回りとハンドリング
前輪に4リンク式サスペンション、後輪にはトーションビーム付きトレーリングアーム式サスペンションが装備されます。
また、前後ともにスタビラーザーで強化されています。
重厚感のある自然なフィーリングの操舵感です。ワイディングではしっかりとロールが抑え込まれており、安心してハンドルを握ることができます。
ダンピング十分に効いており、路面のギャップを超えても不快な衝撃が車内に侵入してくることはありません。
評価のまとめ
兄弟車種のアウディA4よりも室内空間が広く、外観デザインも先進的です。
また、当時のVWは質感を向上させる戦略が取られており、このパサートも上質で完成度の高い車に仕上がっています。ただ、がさつなエンジンが全体の質感を下げているのが残念な点です。
兄弟車のアウディA4と比べると、パサートには室内や荷室容量において若干の優位性があります。つまり、上質感やプレミアム性を求めるのならA4、コストパフォーマンスや実質的な使い勝手を求めるのならパサートがオススメです。
価格
新車当時の価格 | 3,445,000円