2気筒エンジンの構造
レシプロエンジンの一種で、二つのシリンダー(気筒)で構成されています。
進行方向に向かってシリンダーが横に並んでいるのは「並列2気筒エンジン」と呼ばれ、進行方向に向かって縦に並んでいるのは「直列2気筒エンジン」と呼ばれます。
1970年代までは、軽自動車やオートバイにに多く用いられる一般的なエンジン形式でした。
その後、この2気筒エンジンは排気ガス規制の強化により「2ストロークエンジン」から、「4ストロークエンジン」と変遷し、また同じく排気ガス規制の問題により、「空冷式エンジン」から効率的に冷却できる「水冷式エンジン」へと移行して行きました。
駆動弁の方式も、現代でも使われている「OHV」方式が取り入れられるなど技術の近代化が進みました。
しかしこの2気筒エンジンでは、どうしても振動や騒音の処理に限界が生じ、徐々に軽自動車でも使われる事は少なくなっていきます。
そしてその後は、よりスムーズで振動と騒音の少ない「3気筒エンジン」が、軽自動車の主流となっていきました。
2気筒エンジンの長所と短所
二気筒エンジンの長所は、「低速トルクがある」「構造が簡単で壊れにくく整備しやすい」「熱効率が良い」「軽量コンパクト」「コストが安い」ということです。
短所は、「高回転まで回しにくい」「騒音と振動が多い」という事になります。程度の差がありますが、「単気筒エンジン」と同じ特性を持っています。
2気筒エンジンの現状
ところが最近では、熱効率の良さや軽量コンパクトなサイズが注目され、小型車に採用されることが増えています。
熱効率で考えれば、気筒あたり400ccから600ccあたりが最適ですから、二気筒エンジンの場合は、800ccから1200ccあたりが一番効率の良い排気量となり、かなりの小型エンジンの需要をまかなえる事になります。
例えばフィアット500には「ツインエアー」という、875ccの二気筒ダウンサイジングターボエンジンが搭載されています。
この「ツインエアー」は通常の4気筒版より車両価格が高く設定されており、シングルカムでありながら可変バルブ機構と吸排気2つのバルブを装備し、吸気側にはターボまで付けるという凝った作りのエンジンになっています。高回転まで回らないという2気筒エンジンの欠点を、ターボを装着することで解決している訳です。
当然振動と騒音は残りますが、フィアットはセッティングでこの振動と騒音を「乗り味」にまで昇華しています。
また停車時には、さらに騒音が大きくなるという欠点を持ちますが、フィアットはアイドリングストップを装着することでこれを解決しています。
2気筒エンジンの今後
政府は2012年に、「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」を発表しており、その中で「超小型車」という車について定義しています。
これは本来「軽自動車」の枠内である50cc以上の車について、50ccから100cc、電気自動車では0.6kwから1kwという制限内に収まる車のことです。
この超小型車には、「高速道路を走らない」、「2人乗車」、「80km/hまでしかスピードが出ない」という制限を設ける代わりに、安全基準などをそのスピードに合わせて設定することで、小さい車を実現しようというものです。
この超小型車が実現されれば、動力源は「電気モーター」やコンパクトな「2気筒ガソリンエンジン」が中心になるだろうと言われています。