3代目となるデミオですが、初代は最近のハイトコンパクトカーの先駆けとなるような、スペース効率のいいデザインで大ヒットしました。ところが先代のデミオから、他社がこの流れに追従してくると見ると、逆にコンパクトでスタイリング優先かつ走行性能を重視した路線に大転換したのです。これはマツダのような小さい会社では正しい判断で、まずますの売り上げを維持しました。今回のモデルチェンジでは先代のコンセプトをそのまま受け継ぎ、さらに魅力的な車へと進化しています。
外観
最近の魂動デザインを受け継いだ、居住性よりスタイリングや運動性能を重視したデザインです。
力強く張りのある面構成がとても魅力的ですが、魂動デザインの優美な力強さを表現するには少しサイズが足りないかなとも思います。アクセラくらいのサイズ感は欲しいところです。ただそのわりには上手くまとまっていると思います。
「大きく広くコストは安くて燃費も良い」といった日本車の流れとは全く異なる方向性で個性的です。
内装
内装はワンクラス上の質感で、おしゃれでモダンなデザインです。
シートはソフトでもっちりとした乗り心地でです。またコシがありしっかりとした作りなので腰痛の心配もありません。
不評であったマツダコネクトの使い勝手も向上しています。
ただこのダッシュボード上に自動でせり出してくる「ヘッドアップディスプレイ」はいりません。
エンジンがかかっているうちは不要だと思っても収納されず、目の前に居座り続けます。
かなり濃いめのスモークが入っているので、一度気になりだすと非常にうっとうしいです。
表示されている内容もメーターやナビに表示されているものと同じなので、特に必要だとは感じません。
エンジンとミッション
このクラスの日本車としては初めての導入となる、クリーンディーゼルエンジンです。
音は静かでガソリンエンジンよりちょっとうるさいかなという程度です。
特に室内では遮音材が効いているのか、とても静かです。
2.5Lガソリンエンジンなみのトルクで、1130kgの軽量ボディをぐいぐいと引っぱります。
ATはエンジンのおいしいところを上手く使いながらリ、リズミカルにシフトアップするので気持ちいいです。
足回りとハンドリング
ねっとりと路面をとらえ続ける剛性の高いサスペンションは、しなやかで正確なハンドリングを実現しています。
コンパクトカーではスペースの関係でキャスター角を取りにくいのですが、デミオはエンジンとタイヤを前方に移動させ、キャスター角を倒すことで抜群の直進安定性を得ています。
そのせいもあり前モデルのような軽快感は少ないですが、しっとりとした重厚感のある乗り心地です。
その他
足を自然に伸ばした時に、ちょうどアクセルペダルが来るような理想的なペダルレイアウトです。
またアクセルペダル自身も、人間の操作に自然になじむ「オルガン式」を採用するなど、コンパクトカーらしからぬ独自の工夫が各所にみられます。
まとめ
日本のコンパクトカーは、みんながこぞって「安くてそこそこの性能と広い室空間」を追い求めることで無個性となっています。
デミオはそこにあえて違う戦略で挑み、個性的で魅力的な車を成立させています。
新しいクリーンディーゼルは静かで力強く気持ちがいいです。ワンクラス上の質感は所有感を満たしてくれます。
日本にもこういう個性的で魅力的な車があるというだけで、なんだか明るい気分になります。
主要諸元
全長(前後の長さ) | 4060mm
全幅(左右の幅) | 1695mm
全高(高さ) | 1500mm
車両重量(重さ) | 1130kg
動力システム(エンジン) | ディーゼルダーボ
排気量(エンジンの大きさ) | 1498cc
エネルギー源(燃料) | 軽油
駆動方式 | FF
トランスミッション | 6AT
最高出力 | 77kW[105PS]/4000rpm
最大トルク | 250N・m[25.5kgf・m]/1500rpm-2500rpm
燃費 | 26.4km/l(JC08モード)
価格 | 1,890,000円 (消費税8%込)