中古車の大きなメリットは、なんといってもその価格の安さです。しかし、店頭に表示してある値段を鵜呑みにして、そのまま購入するのはオススメできません。
通常、中古車ディーラーの店頭価格は、お客から値引きを求められた時に備え、予め高めの価格が設定してあるからです。
こうしておけば、値引きを前提に購入するお客からも利益が得られますし、運良く値引きテクニックや知識の無いお客が来れば、その分をまるまる利益として計上できるという仕組みです。
中古車ディーラーを訪れる前の事前準備
それでは、中古車を購入する時の「値引きテクニック」について、順を追って時系列で説明していきましょう。
まず、中古車ディーラーを訪れる前に、中古車情報雑誌や中古車販情報サイトなどを使って、自分の欲しい車についての「おおよその価格」を掴んでおきます。このおおよその価格は、後で値引き交渉をする時に重要な武器となりますので、手を抜かずしっかりと情報収集をしておいてください。
※中古車情報サイトの場合は、走行距離や年式、値段といった細かい情報から検索する事ができるので便利です。
次にこの「おおよその価格」を元に、大体の「値引き目標額」を設定します。「おおよその価格」が90万円なら、値引き目標額は80万円くらいとすればいいでしょう。この目標額はあくまでも目安ですから、少し安めに設定しておき、最終的には妥協出来る範囲で調整してください。
営業マンにこちらの「買いたい気持ち」を悟られてはいけない
中古車ディーラーを何店か巡って、信頼できそうなお店を見つけたら、お目当ての車について質問してみましょう。この時、決して「どうしてもその車が欲しい」という素振りを見せてはいけません。あくまでも、「なんとなく次の車を探しているんだ」といった余裕のある態度が大切です。どうしてもその車が欲しいということが営業マンに伝われば、値引きを引き出すことが難しくなります。
営業マンはその車を買ってもらおうと必死で説明を始めますから、あなたは軽い相槌を打ちながら静かに聞き役に徹してください。
見積もりは試乗の後で
次は、「そんなに勧めるならちょっと乗ってみようかな・・・」と、営業トークによって少しだけ興味を持った風を装い、その中古車の試乗をしてください。
試乗が終わったら、その車をべた褒めするような事はせず(褒めすぎるとその車を気に入ったと勘違いされてしまう)、「ちょっと乗り心地が硬いね」と、相手の心象を逆なでしない程度にやんわりと欠点を指摘しておきます。
ここで「じゃあ、試しに見積もりを出してもらえるかな」と、車の見積もりをお願いしてみましょう。
見積額に対して、こちらの希望額を伝える
ここで最初にやっておいた情報収集、「おおよその価格」が役に立ちます。「おおよその価格」には、それぞれのお店の「値引き予定分」が含まれています。この「おおよその価格」と見積価格に大きな乖離があれば、ここからどれだけ値引きが可能か、大体の見通しを立てることができます。
たとえば「見積り価格」が100万円で「おおよその価格」が90万円の場合、そのお店は「値引き予定分」に10万円の利益を上載せして見積もりしている事が分かります。
100万円の見積もりが提示された場合は、「ちょっと高いな~」と渋い表情を見せ、「80万円くらいにならないの?」と目標額を提示してみましょう。この時「75万円くらいにならない?」とちょっと安めにふっかけてみるのも手です。合わせて、「希望額が出れば今すぐ判子をつく用意がある」とか、「手付金を置いていく」といった積極的な姿勢を示すのも有効です。
※この時比較するそれぞれの価格は、その車自体の価格「車両本体価格」の事です。「総支払額」と「車両本体価格」といった条件の異なる価格を比較しないように注意してください。
見積額が希望に合わなければ、キッパリと断って次のお店に移動する
この後は「90万円くらいならなんとかなります」とか、「一切値引きは行いません」といった交渉に入ります。相手の売り気が強ければ、ギリギリの値引きを引き出す事も可能です。逆に、4、5、6、7月といった中古車が売れて売れてしょうがないような繁忙期では、大きな値引き額を引き出すことは難しいです。
この中で自分が納得できる価格が提示されれば契約し、まったく予算に合わない場合はキッパリと断って他のお店に移ることも大切です。お店によっては強引に契約を迫る人もいますが、ここで折れては最初に目標額を設定した意味が無くなります。
この値引きテクニックの中で一番重要なのは、「相手にこちらの意欲を悟られない」という点です。あくまでも、「なんとなく次の車を選んでる」とか、「予算が合えば、買うかもしれない」といった余裕のある態度で迫るのが一番効果的です。