今回の旧型レポートは「メルセデス・ベンツ 190クラス 190E 2.6(1992年・W201)」。
1982年から1993年に渡って製造販売されていた、小型高級4ドア・セダンです。日本市場では1985年から販売されています。
「最善か無か」でおなじみの、メルセデスベンツの設計哲学に基いて作られた極めて完成度の高い頑丈な車です。
発売当時、バブル経済まっさかりの日本市場で大人気となり、「小ベンツ」などと揶揄されることもありました。しかし、そのコンパクトな外観とは裏腹に、しっかりとした構造を持つ、上級車種と並べてもまったく引けを取らない完成度の高いモデルです。
外観
全長4450mmX全幅1690mmX全高1375mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2665mmとなります。
メルセデスベンツらしい独特のオーラを感じさせる、質実剛健な佇まい。
フロント
直線基調のがっしりとしたフロントノーズに、堂々とした角型グリル、大きな角型ヘッドライトが組み合わされ、重厚感のあるフロントフェイスです。
この厳ついフロントフェイスがルームミラーに映ったら、すぐに道を譲りたくなります。
サイド
ロングノーズ&ビックキャビンを持つ、古典的なFRルックです。がっしりとした直線基調のボディと相まって、エレガントで力強いサイドビューを構成しています。
リア
太く頑丈そうなCピラーに四角い大きなリアウィンドウ、ちょっとヒップアップされた重厚感溢れるリアエンドが組み合わされ、威風堂々とした後ろ姿です。
内装
頑丈な樹脂に質感の高い木目素材が組み合わされます。質実剛健なメルセデスベンツの世界観を余す事無く表現しています。
しっかりと切り立ったピラー(柱)により、室内には大人4人が快適に過ごすための充分なスペースがあります。ボディの見切りもよく、コンパクトなボディと相まって運転のしやすさも高いレベルにあります。
シート
フロントシートには、薄いマダラ模様が入った奇妙なファブリックが貼り付けられます。頑丈なフレームにたっぷりとしたアンコが詰められ、長時間座っていても疲れにくい、がっしりとした座り心地です。
リアシートにも、たっぷりとしたサイズと容量が与えられます。頭上、足元空間ともに適度な余裕があり、大人2人がゆったりと座ることができます。
荷室
前後左右に広がる広大な荷室。開口部も大きく四角いため、重い荷物の出し入れも楽々です。
静粛性
メルセデス基準のしっかりとした静粛性が確保されています。
エンジンとミッション
2597ccの直列6気筒SOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、165ps/5800rpmの最高出力と、23.0kgf・m/4600rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1300kg。10モード/10・15モード燃費は、7.4km/lとなります。
エンジン
2.6Lのストレート6で後輪を駆動します。スムーズかつ、低速域からしっかりとしたトルクを発生する扱いやすいエンジンです。
2Lの4気筒モデルは、これよりもスムーズさとパワーで劣りますが、街中でゆるゆると流すだけなら充分です。
トランスミッション
搭載されるATは、やや高速レンジ主体のセッティングですが、変速がスムーズなため「ギクシャク」して気になることはありません。
この他にMT仕様も用意されます。ただし、このクラスとしてはこれが最後となるMTモデルです。
足回りとハンドリング
前輪にショックアブソーバー・ストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
この当時の車としてはきわめてホイールベースが長く、高速域ではどっしりとした直進安定性をしめします。たっぷりした容量のシートと相まって、長時間ドライブも快適です。
剛性の高いボディに、ストロークのたっぷりとした高性能サスが組み合わされ、芯のある快適な乗り心地です。
ハンドリング
スローなステアリングスピードに、緩慢な印象のステアリングフィールが組み合わされます。このメルセデスベンツ独特のセッティングには、「長時間運転していても疲れにくい」といったメリットがあります。
評価のまとめ
「最善か無か」といわれるメルセデスベンツの設計哲学が貫かれた、完成度の高い頑丈な車です。最終モデルが製造されてからすでに25年以上がたちますが、しっかりと整備とパーツ交換をしてやれば今でも新車に近い味わいを取り戻すことができます(パーツの欠品とメンテナンスコストが心配ですが)。
そのため、「普段は通勤や仕事の移動に使いながらも、週末は家族と荷物を積んで長距離ドライブに出かける」といった使い方にぴったりな車です。
また、当時のメルセデスベンツの圧倒的な設計思想(コストよりも車の完成度を優先させる)を感じるだけでも、この車を購入する価値は充分にあります。
価格
新車当時の価格 | 5,610,000円