一度タクシーに乗って目的地を告げれば、後はゆったりと後部座席でくつろいでいるだけで、勝手に目的地へと連れって行ってくれるのがタクシーの便利なところですね。
これは、乗客とドライバーの間に、タクシーに乗車した時点で「お金を支払うかわりに目的地まで運んでもらう」という契約が成立しているからです。
しかし、いくら経験を積んだベテランドライバーとはいえ、人間ですから時には間違えやミスを犯します。タクシー自体もただの機械ですから、いつ壊れても不思議ではありません。
それでは、万が一パンクや故障でタクシーが動けなくなった時、乗客はそれまでの料金を支払う必要があるのでしょうか?
目的地に到着できない時は、料金を払う必要は無い
正式な書面を交わしているわけではありませんが、乗客とドライバーの間には「お金を支払うかわりに目的地まで運んでもらう」という契約が成立しています。
そのため、途中でタクシーが動けなくなった場合は、ドライバーに責任があろうとなかろうと契約自体が履行されていないのですから、お客が料金を支払う必要はありません。
もちろん、乗客が善意でそれまでの料金を支払う事は自由です。
救援のタクシーを呼んで乗り継ぐ場合は別
といっても、相手が個人タクシーならまだしも、ある程度の規模を持ったタクシー会社の場合は別です。
例えば、タクシーがパンクや故障で立ち往生してしまった時、個人タクシーならそれまでですが、タクシー会社の場合は近くを沢山の同僚タクシーが走り回っているはずです。
そんな時、パンクしたタクシーのドライバーが他の同僚に助けを要請すれば、数分も掛からずに新しいタクシーが現場に駆けつけます。
お客さんは、パンクしたタクシーのドライバーにそれまでの料金を支払い、新しいタクシーに乗り移る事で、タクシーと乗客の契約は正常に履行されたとみなされます。
数分の遅延は発生しますが、契約自体は履行されていますので、タクシー料金をまけてもらう事は出来ないのです。
普段の営業エリアから遠く離れている場合
ただし、普段の営業エリアから遠く離れた場所で故障した場合は、いくら大手のタクシー会社だからといって、おいそれと救援を呼ぶ事はできません。
そのため、救援が呼べない場合は個人タクシーと同様、それまでの料金を支払ってもらう事はできないのです。
それどころか、人里離れた山の中で立ち往生した場合は、お客さんをその場に残すわけにはいきません。何らかの手段を講じて、安全に他の交通機関がある場所まで送り届ける義務が生じます。