霧の中を安全に走るには、普段と違った心配りとテクニックが必要となります。
今回は、こういった時に覚えておくと便利なテクニックをいくつかご紹介します。
センターライン寄りを走る
自動車がそれほど走っていなかった昔は、「濃霧に遭遇したらセンターラインをまたいで走れ」というセオリーがありました。しかし、当然ながら交通量の多い現代でこの方法を取れば、対向車と正面衝突する可能性が高まります。
この「センターラインをまたいで走れ」というのは、視界が悪い時に道路からはみ出すことを防ぐために考え出されたセオリーです。濃霧の発生するような場所は、えてして山岳路が多いですから、コースアウトがそのまま死亡事故につながるのです。
ただ、現代の道は道路の脇にガードレールや反射鏡が設置されていますので、こういった心配はほとんどありません。そのため、「センターライン寄りを走る」といった程度で充分安全な運転が可能です。
ただし、言うまでもありませんが、普段よりもさらにスピードを落として徐行運転をする事も忘れないでください。
ハイビームは使わない
霧の中では、視界が極端に遮られるため、ついつい「より光が遠くまで届く」ハイビームを使いたくなります。
しかし、霧は小さな水の粒子が空気中に漂うことで発生する現象です。ハイビームを使う事でこの粒子に光が乱反射して、かえって視界が悪くなります。
そのため、霧の中では光を乱反射する可能性の少ない、「ロービーム」や「フォグランプ」を使って走行してください。また、リアエンドに装備される「バックフォグ」は、こういった濃霧の時、後続車両に自車の位置を知らせるためのランプです。積極的に活用して、安全運転に活かしましょう。ただし、このバックフォグは、思った以上に強烈な光を発します。視界が開けてきたら、すみやかに消灯する事を忘れないでください。
霧の中を無理に走り続けない
いくらフォグランプを装備しているといっても、濃い霧の中では大した効果は期待できません。こういう時は適当な場所を見つけて、霧が晴れるまで待つのが鉄則です。
ただし、いくら前が見えないからといって、その場に停車したり、路肩にハザードを点灯しながら停車してはいけません。視界が悪いのは他の車も同じですから、そんな所に停車すれば、後続車に追突されたり対向車が正面衝突してくる事になります。
霧の深い場所には大抵そんな時に備えて退避場所や道の駅、パーキングエリアなどが設置されています。最徐行で構いませんので、道路脇の反射鏡や、灯火を頼りになんとかそこまで走り抜いてください。
聴覚情報の重要性
多くの視覚情報を遮られる霧の中では、耳から得られる聴覚情報がとても貴重です。対向車のクラクションだけでなく、エンジン音やタイヤが転がる音、全ての音が安全運転のために欠かせません。
こんな時は、僅かな音でもしっかりとキャッチするため、全ての窓を開け放ち、ラジオやオーディオの電源を切ります。
同乗者には車内でのおしゃべりも控えてもらい、エンジン音が高まらないように最徐行で走行します。こうする事で、結構色々な音が車内にまで届くようになります。