【運転のコツ】電動パーキングブレーキの上手な使い方

レガシィB4の電動パーキングブレーキ

最近の自動車には、電動でパーキングブレーキを作動させる「電動パーキングブレーキ」の装備が珍しくありません。この装備は元々中級車以上におごられる贅沢アイテムだったんですが、驚くことに近頃は軽自動車(ホンダ・N-BOX SLASHとか)にも付いてます。

手動式(もしくは足踏み式)パーキングブレーキだと、使っているうちに金属性のワイヤーが伸びるんで、サイドレバーの引き上げ量を調整しなくちゃいけません。これに対して電動パーキングブレーキは、ワイヤーの伸び具合をコンピュータが自動的に計算してちょうど良い感じにしてくれます。しかも、コンピュータによって制御されているんで、いつも一定の力で確実な制動力が約束されているんです。

とっても便利で頼れるヤツですが、今まで手動式や足踏み式に慣れていた人には、ちょっとばかりとっつきにくい部分があるかもしれません。ということで今回の【運転のコツ】では、そんな「電動パーキングブレーキ」の上手な使い方を、従来の手動式パーキングブレーキと比較しながら解説していきます。

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手動式パーキングブレーキの使い方

従来の手動式パーキングブレーキは、「手動式レバー」とタイヤホイールの内側にある「パーキングブレーキ」を金属製のワイヤーで直接繋いでいます。レバーを引き上げることでワイヤーを巻取り、パーキングレバーを作動させる仕組みです。シートの横にレバーがあるんで、「サイドブレーキ」なんて呼ばれることもあります。足踏み式の場合は、手動式レバーが足踏みペダルになっただけで、基本的な構造は変わりません。

操作方法としては、車をフットブレーキで停止させたらシフトを「P」に入れ、サイドレバーをしっかりと引き上げるだけです。この時、レバーの引きが弱いと制動力が十分に発揮されません。レバーが動かなくなるまで力いっぱい引き上げてください。

走り屋は手動式パーキングブレーキが好き!

走り屋やレース入門者の中には、「走行中にサイドブレーキを引いて車を不安定にさせ、無理やりドリフト状態を作り出して遊ぶ」なんて人もいます。普通に走る分には全く必要の無いテクニックだし、単純に危険なだけなんで安易に真似しないでください。

手動式パーキングブレーキの注意点

パーキングブレーキは、その構造上、長年使っているうちにだんだんワイヤーが伸びて効きづらくなってきます。ワイヤーが伸びるとその分サイドレバーを引き上げる量も大きくなり、最終的には十分な制動力が得られません。こうなるとかなり危険なんで、「ちょっとサイドブレーキの引き上げ量が多くなったなあ」と感じたら、早めにディーラーや整備工場に持ち込んで調整してもらいましょう。まあ、「半年ごとにディラーで点検してもらってる」なんて几帳面な人なら、全く心配無いことですけど。

足踏み式パーキングブレーキとは

その他には、ブレーキペダルの左横に小さな「パーキングブレーキ用ペダル」を設置した「足踏み式パーキングブレーキ」もあります。足踏み式のメリットとしては、足で踏み込んで作動させるので、「手動式よりも大きな力で確実に作動させることができる」というのがあります。ブレーキを解除する時は、もう一度ペダルを踏み込むか手元のレバーを引いて解除します。この方法はメーカーや車種によってマチマチなんで、必ず備え付けの「取扱説明書」で確認してください。

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電動パーキングブレーキの使い方

これに対して「電動パーキングブレーキ」は、手元のスイッチを操作するだけでパーキングブレーキの作動と解除ができます。仕組みとしては、「ブレーキワイヤーを電動アクチュエータを使って引っ張るもの」と、「ブレーキドラムの中に直接電動アクチュエータを内蔵して、ブレーキワイヤー自体を無くしたもの」の2種類があります。

操作方法はスイッチを軽く引っ張るだけ

操作方法は簡単で、車を停車させたらシフトを「P」に入れ、パーキングブレーキ用のスイッチを軽く引っ張るだけです。解除する場合は逆にスイッチを軽く押し込みます。車によって操作方法が多少異なりますので、取扱説明書で確認しておいてください。

ブレーキの掛け具合は、コンピュータが自動的に計算してちょうどいい感じにやってくれます。「ブレーキの掛け具合が弱くて、車が勝手に動き出した」なんてことにはならないんです。ブレーキワイヤーが伸びたり、ブレーキシューがチビて薄くなっても、コンピュータが自動的に調整してその分を補いますから、いちいち整備工場で調整してもらう頻度も減ります。

電動パーキングブレーキの注意点

その代わり、ブレーキワイヤーがどのくらい伸びているかはドライバーには分かりません。多少の伸びならコンピュータが自動的に調整しますが、ワイヤーの伸びが許容量を超えると、ある日突然「サイドブレーキの効きが悪くなる」なんてことになるかもしれません。

もちろん、ワイヤーの巻取り量には十分なマージンがありますから、通常の点検を受けていれば問題ないです。「ブレーキドラムの中に電動アクチュエータを直接内蔵しているタイプ」なら、そもそもブレーキワイヤー自体が無い構造なんで、この手のトラブルの心配はありません。

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坂道発進を補助する「ヒルスタートアシスト」

急な坂道で停止状態から再び発進しようとする時、フットブレーキから足を外すとアクセル操作が間に合わず、ズリズリと後退して怖い思いをすることがあります。

こんな時に便利なのが、電動パーキングブレーキの機能を応用した「ヒルスタートアシスト」です。別名「ヒルスタートシステム」と呼ばれることのあるこの機能は、坂道で車が停車すると「Gセンサー(傾きセンサー)」が反応して自動的にパーキングブレーキを掛け、再びドライバーがアクセルを踏み込むまでブレーキを作動させ続けます。

要するに、フットブレーキから足を外して再びアクセルを踏み込むまでの僅かな時間、電動パーキングブレーキによって車の後退を予防してくれるんです。

「ヒルスタートアシスト」の使い方

使い方は簡単で、あらかじめ「ヒルスタートアシスト」のスイッチを入れておくだけです。坂道を走る時だけじゃなくて、平坦路を走る時もスイッチを入れたままで構いません。

後はこの状態を維持しつつ、急な坂道の途中で停車してください。すると「ヒルスタートアシスト」が自動的に起動して、パーキングブレーキをしっかりと掛けるという寸法です。

この後、ドライバーがフットブレーキから右足を離しても、パーキングブレーキがしっかりと掛かっているんで車はその場所に停車し続けます。ズリズリと勝手に後退して怖い思いをすることもありません。

パーキングブレーキの作動状態は、ドライバーがフットブレーキから足を離した後も約1秒間維持されます。1秒間というと一瞬のように感じますが、フットブレーキから足を離してアクセルを踏み込むには十分すぎる時間です。その後、ドライバーがアクセルを踏み込むとパーキングブレーキは自動的に解除され、車はギクシャクすることなくスムーズに走り始めるという流れです。

アダプティブ・クルーズコントロールとの連携

その他の「電動パーキングブレーキ」を応用した機能としては、「アダプティブ・クルーズコントロール(全車速追従付き)」があります。

「アダプティブ・クルーズコントロール」は、程度な車間を保ちながら設定された車速で前車に追従する機能です。特に「全車速追従機能付き」のモノは、高速走行からノロノロ渋滞、完全停止まで対応する必要があるんで、自動的に完全停止状態を維持する「電動パーキングブレーキ」の力がいります。

現在の「アダプティブ・クルーズコントロール」は、ただの運転支援システムですが、ここからさらに発展して「完全な自動運転」を実現する場合、「電動パーキングブレーキ」は無くてはならない重要な機能となります。

走行中にパーキングブレーキ(手動式)を引くとどうなるか?

パーキングブレーキは、その名の通り、駐車する時に車をしっかりと固定するための装置です。走行している車を効率よく減速させるためのフットブレーキと比較すれば、制動力は弱めになってます。パーキングブレーキを掛けたまま走り出しても、車は遅いながらもノロノロと走ることができます(電動パーキングブレーキの場合は解除される)。

といっても、パーキングブレーキは制動力の調整が難しいんで、車の走行中に作動させると安定感を失いやすいです。場合によっては、重大な事故につながるスピンを起こすかもしれません。軽く作動させたまま長時間走り続けると、ブレーキの摩擦熱によって故障することもあります。

パーキングブレーキ(手動式)を使って減速する方法

ただし、フットブレーキがなんらかの理由で故障している場合は、そんなことも言ってられません。すぐにパーキングブレーキを作動させて、なんとか車を減速させましょう。

フットブレーキが故障して効かなくなったら、なるべく車を直進状態にして、シフトダウンを行いながら段階的に減速していきます。ギアが1速まで落ちたら、ゆっくりとパーキングブレーキを引いて車を停止させてください。

教習所でフルブレーキングを体験した人なら分かると思いますが、一般的に路面が乾燥していて車が直進状態なら、タイヤがロックしてもスピンを起こすことはありません。ただし、路面が濡れていたり凍結している場合は別です。こんな時は、「タイヤがロックしそうになったらパーキングブレーキを緩めて、様子を見ながら再びパーキングブレーキを引く」という操作を繰り返すしかありません。

というように走行中のパーキングブレーキは、普通のドライバーには難しい特殊なテクニックです。緊急時以外は使用するべきではありませんが、もしもの時に備えてイメージトレーニングだけはしておきましょう。もちろん、サーキットや教習所なんかで行われる「体験講習」に参加できればそれが一番ですけど。

電動パーキングブレーキは緊急時にも操作が可能

これに対して「電動パーキングブレーキ」の場合は、コンピュータがブレーキ操作を自動的に調整してくれるんで安心です。

緊急時の操作には「特殊コマンド」が必要

とはいっても、スイッチを単純に押すだけで「パーキングブレーキ」が作動すると流石に危ないんで、長押しなど、ある種の特殊コマンドを介して操作する必要があります。操作方法については車によって違いますから、それぞれのマニュアルで確認してください。

緊急時に電動パーキングブレーキを作動させる手順

フットブレーキの故障など、緊急時の操作手順としては、まず、シフトダウンによって段階的(5速の場合は、5→4→3→2→1)に減速していきます。その後、ギアが1速に落ちたところで、電動パーキングブレーキのスイッチを入れてください(特殊コマンドによって)。後はコンピュータにまかせておくだけで、自動的に減速して停止までやってくれるという流れです。

特殊コマンドについては、普段から安全な場所に車を止めてイメージトレーニングをしておいてください。とっさの時もスムーズに操作できる可能性が高まります。

寒冷地で使う場合の注意点

パーキングブレーキを寒冷地で作動させると、場合によっては停車している間にブレーキドラムが凍りついて、車を動かすことができなくなります。こんな時はパーキングブレーキを使わずシフトポジションを「P」にして停車しましょう。といっても「P」ポジションに車をガッチリ固定するブレーキ機能はありません。車に合った「輪止め」を用意して、しっかりとタイヤを固定する必要があります。これは電動パーキングブレーキの場合も同じです。

最近は軽自動車に装備されることも

従来の「電動パーキングブレーキ」は、中級車以上に装備される贅沢アイテムだったんですが、今ではコストダウンが進んで軽自動車に装備されることもあります。

たとえば、2014年にモデルチェンジした「2代目 ホンダ・N-BOX SLASH」に付いてる「電動パーキングブレーキ」。基本的な操作は自動で、イグニッションをOFFにすると自動でパーキングブレーキが作動。逆にアクセルを操作すると自動的に解除される仕組みになってます。もちろん手動での操作にも対応してるから使い勝手も上々。設計が新しい分、機能的には僕のレガシィB4よりも進んでます。

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クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)