今回の旧型レポートは「4代目 メルセデスベンツ SLクラス SL320(R129・1997年)」。
1989年に登場したオープン2シーターです。
元々「SL」と呼ばれる車は、メルセデスベンツがレース用に開発した「300SL」から始まります。
1952年に開発された300SLは、様々なレースで活躍し、メルセデスベンツのブランド価値を大きく向上させています。
その後、市販車として発売されると大人気となり、メルセデスベンツがアメリカ市場に展開する上で大きな役割を果たすことになります。
出自をスポーツカーに求める300SLですが、その後モデルチェンジの度にスパルタンな印象は薄れ、次第にラグジュアリーなGTとしての性格を強めていきます。
外観
全長4500mmX全幅1810mmX全高1295mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2515mmとなります。
直線基調のラインによる、威風堂々としてスタイリングです。街で出会ったら道を譲りたくなります。
フロント
角型の大きなヘッドライトが装備され、重量感あふれるボディデザインと相まって威圧感は半端ありません。
サイド
ロングノーズショートデッキの古典的なFRシルエットが与えられます。現代の車と比較するとショートオーバーハングが長く、クラシカルな印象を持ちます。
リア
横スリットの入った角型リアコンビランプが装備されています。がっしりとしたリアエンドと相まって、ラグジュアリーカーにふさわしい上質な重厚感があります。
内装
上質な本革と木目素材、しっとりした樹脂が使われ、重厚感あふれる上質な室内です。メーターナセルには、大きな3連メーターに小さな2つのメーターが組み合わされ、視認性、使い勝手ともに良好です。
大きなクーペボディながら、ボディの端がしっかりと切り立っているため、ボディの見切り、取り回しともに良好です。
シート
メルセデスベンツにふさわしいどっしりとした座り心地の快適なシートです。柔らかなあたりの本革表皮に、上質なクッションがしっかりと詰め込まれています。
シートの後ろには、手荷物を置けるスペースが確保されています。ビジネスバックや女性のハンドバック、スーパーのレジ袋くらいなら、余裕を持って載せることができます。
荷室
オープン2シーターとしてはそこそこ大きな荷室が確保されています。2人で1泊2日旅行くらいなら充分にこなす事ができます。
静粛性
このSLには、耐候性の高い脱着式のハードトップも用意されています。このハードトップを装備すれば、クーペモデルと変わらない快適性と静粛性を確保することができます。
エンジンとミッション
3199ccの直列6気筒DOHCエンジンに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、235ps/5600rpmの最高出力と、32.8kgf・m/3750rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1790kg。10モード/10・15モード燃費は、8.2km/lとなります。
エンジン
3.2Lのストレート6で後輪を駆動します。1790kgの重量級ボディを持ちますが、低速からたっぷりとしたトルクを発生するため、十分スポーティな走りが可能です。
上位グレードのSL600は、6.0LのV12エンジンを搭載し、SL320よりさらに強力な58.0kgのトルクを発生します。ただし、その分車重が1950kgとなってしまい、スポーティな走りを味わうことはできません。
トランスミッション
シフトショックの少ないスムーズなフィールです。エンジン回転を低く保ったまま力強く加速します。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
重厚感のある快適な乗り心地です。直進安定性が高く、高速域でも安心してアクセルを踏むことができます。
ハンドリング
現代のSLはラグジュアリーカーですので、キビキビとしたスポーツカーのようなハンドリングはありません。ラグジュアリーカーらしい緩やかなフィールで、リニアで違和感の無い反応に終始します。
エンジンルームに余裕があるため、大柄なボディの割に小回り性能は高いです。
評価のまとめ
圧倒的な走行安定性と上質な乗り味。いかにもメルセデスベンツらしい押し出しの強い外観は、ドライバーに大きな満足感を与えてくれます。
ただし、そのパーソナルなイメージの代償として、実用性はLクラスセダンよりも大きく下がります。そのため、普段は1人か2人でしか使わないといった人や、ファーストカーとしてセダンやミニバンを別に用意できるといった人に限ってオススメできる車です。
価格
新車当時の価格 | 9,700,000円