今回の旧型レポートは「初代 日本フォード フェスティバ GHIA(1992年)」。
1986年にデビューしたコンパクトな3ドアハッチバックです。
日本のマツダが開発から生産まで一手に手がけ、オートザム店で販売されていました。
その後、5ドアハッチバックもラインナップに加わりますが、これはマツダが生産したものではなく、韓国の起亜自動車によって生産されたものです。
マツダは、この車のコンポーネントをそのまま流用し、「オートザム・レビュー」というまったく違うデザインの車を生み出しています。
このオートザム・レビューは、フェスティバの直線基調のデザインから一転して、コロコロとした丸みのある可愛らしいスタイリングが採用されていました。
外観
全長3570mmX全幅1605mmX全高1460mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2295mmとなります。
直線基調のスタイリングに背の高いパッケージングが組み合わされた、きわめて合理的で使い勝手の良いデザインです。初代フィアット・パンダを彷彿とさせる、シンプルな愛らしさがあります。
当時、キレイなお姉さんが沢山この車に乗っていたこともあって、このフェスティバにはおしゃれで清楚なイメージがあります。
フロント
角型のヘッドライトに四角いボディが組み合わされた真面目なスタイリングです。実用性を重視したしっかりとしたパッケージングが根底にあるため、なんともいえない愛らしさを感じさせます。フェンダーに若干の隆起がほどこされ、このフェスティバの大きな特徴となっています。
サイド
四角いコンパクトなボディに、大きなキャビンが装備されずんぐりとした印象のサイドビューです。ルーフに装備されたキャンバストップが、そこはかとなく楽しい雰囲気を感じさせます。
リア
今あらためて眺めてみると、軽自動車のように華奢なCピラーに驚かされます。この20年の間に大きく安全技術が向上した事を感じさせるデザインです。
直線基調のリアエンドに小さな角型リアコンビランプが装備され、真面目で清楚、折り目正しい印象を与えます。当時の女性に高い人気を得ていた理由が良くわかりますね。
内装
簡素な質感の樹脂で作られたシンプルな内装。
Aピラー(一番前の柱)がしっかりと切り立っており、広々とした視界を確保。直線基調のスタイリングにより、ボディの見切りも良好です。
オープンカーに近い開放的気分の味わえる「キャンバストップ」や、夏の暑い日に手軽に飲み物を冷やす事のできる「ダッシュボード内クーラーボックス」など、楽しい工夫が満載されています。
シート
フロントには豪華な本革シートが装備されます。体圧が集中しがちですが、中距離(30km)程度であれば問題ありません。
リアシートには、切り立ったボディ形状により、なんとか大人が座るだけのスペースが確保されています。シートバックの高さが足りず、クッションのコシもないため、長距離ドライブには向きません。
荷室
リアシートがリアエンドギリギリにレイアウトされているため、荷室のスペースは小さめです。それでも二人で1泊2日旅行程度であれば、十分にこなすことができます。
静粛性
ロードノイズ、風切音ともに大きめですが、経済的なコンパクトカーですから特に問題はありません。
エンジンとミッション
1322ccの直列4気筒OHCエンジンに、3速ATが組み合わされます。
エンジンは、64ps/5500rpmの最高出力と、10.4kgf・m/3500rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量790kg。10モード/10・15モード燃費は、14.6km/lとなります。
エンジン
1.4Lエンジンで前輪を駆動します。ボディが現代の軽自動車よりも軽量なため、比較的低速トルクのあるエンジンと相まって、街中ではキビキビとした走りをみせます。
流石に多人数乗りでキツイ坂道を駆け上がると、ガーガーと苦しそうな唸り声を上げますが。
トランスミッション
小さなエンジンにはなるべく多段ギアを組み合わせたいところですが、このフェスティバには3段しか用意されません。それでも超軽量ボディの恩恵を受けながら、なるべく高い回転までエンジンを引っ張ることでそれなりの力強さを発揮します。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
上質感はありませんが柔らかで乗り心地の良い足回りです。路面の段差では正直に振動を車内に伝えてしまいます。
ハンドリング
小回り性能が高く、取り回しがやりやすい車です。
超軽量ボディを活かして、キビキビとした軽快なハンドリング。操舵量に対してリニアにボディが反応するため、楽しく運転することができます。
評価のまとめ
初代フィアット・パンダを思わせる、真面目で愛らしいスタイリングのコンパクトカーです。あえて可愛らしさを狙った「可愛こちゃんスタイル」ではありませんが、結果的のこのシンプルな可愛らしさが受け、当時の日本市場で高い人気を得ていました。
このフェスティバは、マツダが設計から開発、販売まで手がける純国産車ですが、消費者にそんな事情は分かりません。フォードだろうが、日本車だろうが気に入った車が発売されれば、それだけで売れるといういい見本となっています。
確かに、車検制度や消費税など、日本ならではの非関税障壁が無いわけではありません。しかし、良い車を作ればそれだけで売れるのですから、撤退したフォードももう少し日本市場にぴったりと合った車か、もしくは「いかにもアメリカ車!」といった風情の魅力的な車をどんどんと発売してほしかったです。
価格
新車当時の価格 | 1,115,000円