「立体駐車場(機械式)」とは、機械式で動く金属製のパレットに、自動車を一台ごとに収納する仕組みの駐車場です。普通の駐車場と違って、狭い場所でもたくさんの車が停められます。
反面、一台分のスペースが狭く、その構造上わずかにはみ出すことも許されません。狭い場所を最大限に活用しているため人や車が一部に集中しやすいとか、パレットまわりに大掛かりな機械があるなど、気をつけるべきところも多いです。
というわけで今回の【運転のコツ】では、そんな「立体駐車場(機械式)」を安全かつ便利に、そして上手に使うための「コツ」をいくつか紹介していきます。
立体駐車場(機械式)のパレットに車を載せる時は、真っ直ぐ進入する
立体駐車場の機械式パレットは、車一台を乗せて収納するためのギリギリの大きさしかありません。車の大きさが3ナンバーを超えてくると、結構、幅がギリギリな感じです。
幅に余裕が無いんで、普通の平面駐車場のように「車のノーズを駐車スペースに対して斜め前に振ってから、後退と前進を何度か繰り返して、徐々に車体を真っ直ぐにする」なんて一般的駐車方法が使えません。
そんなこともあって、立体駐車場では「パレットに対して車を真っ直ぐに向け、そのままステアリングの操作をほとんどせず、真っ直ぐに後退してパレットに載せる」なんて超精密な駐車テクニックが要求されるんです。
「超精密」といっても心配はいりません。こういった機械式の立体駐車場には、車の駐車を案内するための「誘導員」が常駐しているため、誘導員の指示に従いながら落ち着いて駐車すればそんなに難しくないです。加えて、今回ご紹介する「コツ」を覚えておけば、変な冷や汗もかかずに済みます。
前進して停めるタイプの立体駐車場の場合も、前後の方向が違うだけで「車をパレットに対して真っ直ぐに向ける」という基本は同じです。後はそのまま真っ直ぐに前進して、車をパレットに載せてください。
左右の窓を大きく開けて、ラジオやオーディオも消す
誘導員は「声」と「身振り」を使って誘導してくれるため、車のサイドウィンドウ(窓)を左右とも大きく全開にして、誘導の「声」をしっかりと聞けるようにしておいてください。車内でラジオやオーディオが鳴っている場合は、邪魔になるんでこいつの電源も切っておきます。
それから、同乗者におしゃべりな人がいる場合も要注意です。人間は複数の事を同時に処理するのが苦手なんで、車庫入れをしている時に同乗者にぺちゃくちゃ喋り掛けられると、集中が途切れて結構危ないんです。そんな時は予め「駐車中は喋りかけないでね」とひと言添えておきましょう。駐車中に「うるさい!静かにして!」なんて言えば角が立っちゃいますしね。
中には、「俺(私)は、複数のことを同時にするのが得意なんだよねえ」なんて自慢する人もいますが、そういったのは単なる勘違いです。逆に過信が過ぎて、危険な状況に陥りやすいんで注意しましょう。
集中が途切れるといえば、「焦り」も禁物です。特に土日で車が混む時間帯は、立体駐車場も入庫待ちの車であふれかえります。そんな時、どんなにたくさんの車が自分の後ろで入庫待ちをしていても、決して慌ててはいけません。その人たちもどうせ自分の番でしっかりと後ろの人を待たすんで、心配無いです。逆にあわてて車をぶつけたりしたら、自分も損ですし、後ろの車もさらに待たせることになっちゃいます。「優雅な俺のテクニックをたっぷりと御覧なさい」みたいな感じでちょうどいいんです。
狭いパレットのギリギリにピタリと車を停めるコツ
車を載せる機械式パレットの大きさは、車一台がギリギリ入るくらいのスペースしかありません。しかも、パレットの左右両側、タイヤの外側には頑丈な鋼鉄製のガイドレールがあるんで、乱暴に車をパレットに載せるとこのガイドレールにタイヤをぶつけて傷を付けたり破損させるなんてこともあります。
といっても心配は無用です。そんなトラブルを未然に防ぐ「コツ」として、「パレットの狭さを逆に利用する」というのがあるんです。
具体的には、まず、「右ハンドル車」なら右タイヤを、「左ハンドル車」なら左タイヤを基準にします。要するに、窓から顔を出して直接目視できる側のタイヤです。基準にするタイヤが決まったら、パレットのガイドレール「ギリギリ」までこのタイヤを寄せてください。もちろん、「ギリギリ」といってもタイヤをガイドレールに擦らない程度の余裕は必要です。寄せていく「基準タイヤ」は自分の眼で直接確認できるんで、それほど難しく無いはずです。
ガイドレールにタイヤを擦らないギリギリの位置が確保できたら、後は車を直進状態に保ったまま、ゆっくりと直進なり後退なりして入庫してください。自分の側のタイヤがギリギリの位置に収まれば、「反対側のタイヤもおのずと適切な位置に収まる」という寸法です。
立体駐車場(機械式)の手前で、ヘッドライトを消しておく
前進しながら車をパレットに載せるタイプの立体駐車場には、パレットの奥に大きな「鏡」が設置してあります。
こいつは、「鏡」に映し出される自分の車を見て入庫することで、「運転に不慣れな人でも正確な入庫ができる」というスグレモノなんです。
ただし、このお役立ちツールもある条件のもとでは運転の邪魔になることがあります。それは、夜間、ヘッドライトを点灯したまま入庫してきた場合です。こんな時には、パレットの奥に設置してある「鏡」がヘッドライトの光を乱反射して、ドライバーの視界を眩惑してしまうんですねえ。
特に、慌てている時はヘッドライトを消すことまで気が回りませんので、立体駐車場の敷地内に進入したら早めにヘッドライトを消しておきましょう。もちろん、敷地内が暗くて視界が確保できない場合は別です。そんな時は、「パレットの奥に鏡があるから気をつけよう」と気に留めておくだけで随分違います。
とにかく、立体駐車場では慌てないことです。ゆくりと落ち着いて駐車すれば、誘導してくれる人もいるんで大概なんとかなります。