今回は「新型 日産 e-NV200 G(7人乗)」を試乗レポートいたします。
日産 e-NV200は、2014年から販売されている全く新しい電気自動車モデルです。ガソリン仕様のNV200をベースにして設計されており、スペインのバルセロナ工場で生産され日本に逆輸入されています。電気モーターやリチウム電池にはリーフ用のユニットが使われています。
外観
全長4560mmX全幅1755mmX全高1850mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2725mmとなります。
フロントフェイスは、ちょっとユーモラスなカバのようでもあり、新幹線300系のようでもある親しみのあるデザインです。グリルの部分には充電用コンセントを保護するためのカバーが付けられています。
サイドビューは、今時のミニバンに比べるとフロントノーズが長く、特徴的で面白いスタイリングです。サイドのキャラクターラインにも、メカニカルで個性あふれる独特なデザインが施されています。違和感があるのにいつまでも見飽きない、魅力的で不思議なシルエットです。
リア周りはハイエースやキャラバンなどと変わらない、ごく平凡な商用車といったシンプルなデザインです。
内装
商用車がベースとなっているため、内装の質感は今ひとつです。ただ、シート表皮やセンターコンソールのパネルには上質な素材が使われており、ベース車両のNV200に比べると随分と質感が向上しています。
メーターには、視認性の高い一眼タイプが採用されています。電気自動車らしくクリーンで未来的なデジタル表示が採用されています。
前席シートは、一見薄型でちょっと細身のデザインですが、日産らしくしっかりとしたコシのある快適なシートが与えられています。
後席シートは、商用車用の平板なデザインがベースとなっているものの、シートバックの高さと座面の前後長には、しっかりとした長さが確保されています。e-NV200の航続距離を考えると十分な作りです。
ボディ剛性が向上しているため、無駄な振動が抑えられています。また、ガソリン車に比べて元々騒音や振動が少ないこともあり、車内はとても静かです。
エンジンとミッション
電気モーターに、電気式ATが組み合わされます。
電気モーターは、109psの最高出力と、25.9kgf・mの最大トルクを発揮します。
車両重量は1660kgとなります。
リーフと比べると車両重量が1660kgと重く、航続距離も185kmと短くなっています。
しかし、搭載される電気モーターは、低速から大きなトルクを発生することができるため、発進時や加速時にもっさりした印象はありません。合流や坂道であってもガソリン車では考えられないようなキビキビとした軽快な動きを見せます。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはリーフリジッド式サスペンションが装備されます。
ベース車両のNV200からトレッドが拡大され、サスペンション剛性も向上しています。
また、リチウム電池ユニットがシャーシーに直接連結されているため、車体剛性もその分向上しています。
ボディ中心下部に、重量の重いリチウム電池を搭載しているため、前後重量バランスに優れた低重心ボディとなっています。そのため、大柄なミニバンボディとは思えないほど、自然でリニアかつ安定感のあるハンドリングフィールを持ちます。
重量バランスの良さは高速走行でも効果を発揮し、フラットライドで安定感のある直進性を示します。
剛性の上がったボディに、強化されたサスペンションがビルトインされているため、足回りは電気モーターの大きなトルクをしっかりと受け止めてくれます。しなやかで重厚感のある上質な乗り心地です。
評価のまとめ
家族でちょっと小旅行といった場合には、185kmの航続距離は少し心もとないです。ナビや地図で充電スタンドを探しておき、充電しながら走るということもできますが、その場合も、充電の時間(高速充電で30分)や充電スタンドの位置を考慮に入れる必要があり、使い勝手は今ひとつです。
ただ、逆にこの航続距離の範囲内(往復距離を考慮すると60〜80kmくらい)であれば、ガソリンに比べてランニングコストも圧倒的に安くなるため、電気自動車のメリットだけをたっぷりと享受できます。例えば、通勤や子供の送り迎え、エリア内のルート配送などであれば、夜、深夜電気料金を利用して満充電にしておき、翌日にはその電気だけで走るという使い方です。
価格
価格 | 4,441,000円(税込み)