今回は「新型スズキ バレーノ XG」を試乗レポートいたします。
スズキのインド工場マルチ・スズキ・インディアで生産され、日本で販売される逆輸入車です。
日本のメーカーがインドで生産した車を逆輸入するのは、このバレーノが初めてのケースです。
新開発のBセグメント用プラットフォームが使われています。バレーノがこのプラットフォームを使う最初の車となります。
5月に追加されたターボモデルについては、「新型 スズキ バレーノ XT(ターボ)」のページをご覧ください。
外観
全長3995mmX全幅1745mmX全高1470mmのボディサイズを持ちます。またホイールベースは2520mmとなります。
スイフトと同セグメントながら、全長と全幅を拡げ、逆に全高は下げることでワイドアンドローなプロポーションです。
スズキの担当者の弁では、コンパクトカー市場では背の高さやスペース効率が第一に求められているが、走行性能が高くスタイリッシュな全高の低い車も作りたかったという事です。
フロントは個性的なグリルのデザインが目立ちます。しかし、なんだかチープでちぐはぐな印象です。
ただ、インド製なんだよと言われると、不思議な事にどことなくエキゾチックな感じがしてきます。
側面から眺めると、ちょっとづんぐりしたシトロエンC4のようなシルエットです。
ただ、C4のようなクオリティや個性的魅力はありません。
リアコンビランプはちょっと高めの位置にレイアウトされており、若々しくスポーティな印象です。
発展途上国で売り上げを出す為に、相当コストを削る努力をしているのでしょう。近づいてみると、塗装の品質が少し悪いです。
内装
内装デザインも、日本的なセンスからは少し離れたところにある独特のセンスです。
インド映画を見ている時に感じる、なんともいえないゴージャスでエキゾチックな印象と似ています。
クラス標準レベルより低い質感です。特にスイッチ類の成形レベルは一世代前の車のようです。
メーターは大きく見やすいデザインで、ブルーのイルミネーションが美しいです。
軽自動車並みにペラペラなドア鋼板の厚さで、閉める時の音も安っぽく軽自動車レベルです。
シートの出来はスズキの標準的レベルをクリアしています。
スイフトより薄めのシート構造ですが、適度な硬さとコシが与えられ、短距離の移動であれば問題ありません。
ボディ全高の低さが災いして、後席の頭上空間は狭く、平均的成人男性だとぎりぎりの状態です。
前席の下の隙間も狭く、後席の乗員がつま先を入れると足の甲がシートに触れてしまいます。
ガラスの遮音性が低く、フロントガラスとドアミラーからの風切り音が目立ちます。
エンジンとミッション
1.2L直列4気筒DOHCエンジンに、CVTが組み合わされます。
エンジンは、91ps/6000rpmの最高出力と、12kgf・m/4400rpmの最大トルクを発揮します。
JC08モード燃費は、24.6km/lとなります。
新世代プラットフォームが使われており、車両重量910kgという軽自動車並みの超軽量ボディです。
この1.2Lディアルジェットエンジンは、ソリオやイグニスと共通で、超軽量ボディと相まって必要十分の動力性能を持ちます。
特にこれといった特徴はありませんが、日常使用で不足のない使いやすいエンジンです。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
ステアリングインフォメーションは不足気味ながら、切った分だけリニアに反応する正確なステアリングです。
落ち着きのない足回りで、終始ぴょこぴょこしている印象です。直進安定性も悪いです。
足回りはソフトなタッチですが、手応えが希薄でぼんやりしたフィールです。
しかしこの柔らかなサスをいかして、路面の段差をトンッときれいに乗り越えます。
ブレーキはタッチがあいまいで剛性感も不足しており、リニアリティがありません。
その他
自動ブレーキは高速域だけの作動に限られます。
評価のまとめ
自動車としては質感は低いながらも、日常で不足の出るようなものはなく、ごく普通に使える十分な機能を揃えています。
しかし、同じ価格でヴィッツやスイフトが買えるとなると、わざわざバレーノを指名して買う理由も希薄です。
5月にはターボモデルが追加されますので、どうしてもこのデザインが気に入ったという方は、そちらを試乗してから決めたほうがいいと思います。
価格
価格 | 1,414,800円(税込み)