ハンドルの遊び
現在の車のハンドルに機構上の「遊び」というものはありませんが、ハンドルを切っていくと始めの数センチほど反応が鈍い「遊びのような部分」はあります。
これはステアリングの途中に施してあるブッシュ(ゴム)のセッティングや、タイヤの特性で変わってきます。
この遊びの部分は大きすぎても小さすぎてもだめで、適度な量が必要です。
例えば、遊びが小さすぎると、終始ハンドルの動きに注意を払わなくてはならなくなり、長距離を走ると疲れてしまいます。
また、逆に遊びが大きすぎると、どこまでハンドルを切っても車の向きが変わらず、非常にコントロールが難しくなり、やはりドライバーは疲れてしまいます。
スポーティな車の遊びは少なく、大衆車は相対的に大きくといった車種による違いもあります。
その他に、ハンドルの遊びには「路面の衝撃を直接ドライバーに伝えないようにする」という大切な働きもあります。
また、急にこの遊びの範囲が広がった場合は、ステアリングまわりの故障が疑われますので、早急にディーラーへ相談してください。
遊びを考慮したハンドル操作
遊びの設定してある始めの数センチは手応えが軽く、この遊びの部分を過ぎるとハンドルは重くなり、車の向きも変わり始めます。
この事を考慮せず、ハンドルが効かないからと急激に操作をする人がいますが、この運転方法は非常に危険です。
路面のグリップが低い場合には、車がスリップしてしまう可能性がありますし、周囲からも車の動きが予想しづらく迷惑です。
また同乗者の乗り物酔いを誘発してしまう原因ともなります。
理想的なハンドル操作は、始めの遊びの部分は素早く、そして舵が効き始める領域では、ゆっくり確実に操作するというものです。
ハンドル操作はゆっくりと
ハンドル操作を素早く急激にやると、運転が上手くなったような気がするかもしれませんが、これは逆です。
急激なハンドル操作では、前輪のグリップしか使えず、車は不安定になってしまい、車は早く走れません。
ハンドル操作は車の動きに合わせてゆっくり確実に行ってください。そうすれば、4つのタイヤのグリップをバランス良く使う事ができ、車も安定して走れるようになります。
一度ユーチューブの動画を検索して見てもらえば分かりますが、F1レーサーのハンドル操作は意外とゆっくりでスムーズです。
レーシングカーはハンドルの遊びがほとんどありませんので、小刻みな修正舵は当てていますが、基本的なハンドリングはびっくりするほど丁寧で無駄がありません。
また、忙しくハンドル操作を繰り返しているように見えるラリードライバーも、実際の車の動きからみれば、意外とスムーズで無駄の無いハンドル操作をしています。
これは速くて上手なドライバーほど、顕著にみられる特徴です。