免許をとって初めて買う車は、「どんな車が自分に合うのか」とか、「乗りやすい車はどういった車なのか」とか、そんな知識も経験もまったく無い状態で選ぶので誰でも悩むもんです。
そんな時は、車に詳しい先輩とか知人、親戚のおじさんなんかに聞いてみるのも手です。ただ、その人がマニアックな嗜好を持っている場合は、その偏った考えがガンガン入ってくるので、かえって乗りにくい車を勧められる事もあるんですよねえ。
そこで今回は、僕の経験も踏まえながら「初心者はどんな車を選べば良いのか」、いくつかの項目に分けで具体的に解説しようと思います。あなたが免許をとりたての初心者で、これから初めての車を買おうと思っているなら、ぜひ参考にしてみてください。
僕が初めて買った車は、中古の「三菱ギャラン(6代目)」
僕が免許をとった後に初めて買った車は、中古の「三菱・ギャラン(6代目)」です。当時、板を張り合わせたような直線基調の車ばかりの中で、角に適度な丸みのあるモダンなスタイリングが印象的でした。すでに登録から4年、走行距離も5万キロ程度走っていましたが、エンジンや外装の状態が良く、新車といっても良いくらいのキレイな車でした。
実はその時、僕は自分の収入を考えて「トヨタ・サイノス」というカローラベースの2ドアクーペにするか、お金を貯めるためにあえてボロボロの軽自動車にするか悩んでいました。
それがなぜ「三菱・ギャラン(6代目)」になったのかというと、僕が車を選んでいるのを知った父が、知り合いの自動車屋から勝手にギャランを見つけてきて、「付き合いがあるからこれを買え」と半ば強引に押し付けたからなんです。
ギャランは素晴らしいけど、他力本願な選び方はだめ
始めはそれが嫌で、大して気に入っても無かったです。ところがこのギャラン、実際に乗ってみると目線が適度に高く車幅がつかみやすい、しかも、シートが分厚くコシがあって疲れにくい。エンジンは軽快に吹け上がるし、ハンドリングもシャープで素直。乗り心地は適度に引き締まっているけど、しなやかさもある。と、乗れば乗るほど味の出る素晴らしい車でした。
その後、いろいろな所へ遊びに行ったり、初めての彼女とデートをしたりと、今では印象深い思い出の車となってます。最初の車が「三菱ギャラン」じゃなかったら、今みたいに車好きじゃ無かったかもしれません。
ただし、僕の場合は結果的に上手くいきましたが、こんな選び方はオススメできません。こんな他力本願のやり方じゃあ、失敗する可能性が高いですし、第一、自分の趣味や意向がまったく入っていないのがいけません。これでオカシナ車を選んだ日には、一生「自動車」を「ただの移動するための道具」と考えて、面白さや楽しさを見出すことは無いでしょう。実にもったいないことです。
新車か、中古車か
それじゃ、免許を取り立ての初心者が、初めて買う車を選ぶにはどうしたらいいんでしょう。周りの人に相談しても、みんなそれぞれに違った考えや意見があるので、かえって混乱してしまいます。
そんな時によく話題というかテーマの中心となるのが、「新車が良いのか」それとも登録からある程度時間が経った「中古車が良いのか」という問題です。
こんな時、僕なら迷わず「新車」をオススメします。「初心者のうちは絶対にぶつけるんだから、新車はもったいない」と言う人もいますが、中古車だからといって、ぶつけたまま放っておくようなダイナミックな人はそういません。凹んだバンパーを修理する費用は、中古車でも新車でも同じです。第一、中古車だからといって事故を起こしても良いなんてことはありません。古い車を故障を心配しながら乗るというのも苦痛でしょう。
もちろん、あえて中古車を選ぶメリットもあります。「初期費用が安く抑えられる」とか、「ぶつけまくって下取り額が下がっても、中古車ならそれほど気にならない」などです。
ただし、初期費用を抑えられるといっても、長いスパンでみれば中古車業者のマージンが入らない分、多くの場合は新車の方がお得になります。新車ならドライバーも車に傷を付けまいと、より大事に車を扱うため、ぶつけにくくなったり運転の上達が早くなるといったこともあるんです。このあたりをトータルで考えれば、どう考えても新車の方がお得だと思います。
大きい車か、小さい車か
次に気になるポイントは、大きい車を選ぶのか、それとも小さい車の方が良いのかという問題です。
車の大きさについては、どこからが大きい車か、はたまた小さい車なのか、一概にこうと言い切ることはできません。ただし、一般的にボディが大きい車は安全性を確保しやすく、小さい車は車両感覚が掴みやすく運転がしやすいという傾向はあります。
オススメは、程よく小さいコンパクトカー
こんな時、僕がアドバイスするなら、その両者の間を取って、「1リッターから1.3リッターくらいのコンパクトカー」をオススメしたいです。
クラウンのように大きな車なら確かに安全性は高いですが、初心者には車両感覚が掴みづらく、狭い路地や小さな駐車場では相当苦労するでしょう。逆に小さな軽自動車の場合は、昔より安全性が高くなったとはいえ、物理的法則の限界を超えることはできません。同じレベルの技術なら、軽自動車よりも普通車やコンパクトカーの方が安全性が高いのはどうしようもない事実です。
まあ、妥協といってしまえばそれまでですが、コンパクトカーなら、この両者のメリットを程よくミックスした良いとこどりができます。新車のコンパクトカーだったら、普通車に課せられた最新の安全基準に適合していますし、軽自動車よりも大きいとはいえ、ボディが比較的コンパクトなんで取り回しもしやすいです。何より価格が手頃でランニングコストも安い(モデルによっては軽よりも安い)とくれば、お金の無い若者にとっても最高の車だと思います。
具体的なおすすめの車
それでは、ここまでのポイントを踏まえ、具体的にオススメな車、初心者にふさわしい車を上げてみましょう。
例えば、僕が今、初心者として新しい一台を選ぶなら、コンパクトで運転の楽しい「マツダ・デミオ」を選びます。マツダ・デミオは、コンパクトカーとしては質感が高く、運転感覚も素直です。初心者にとってこの「運転感覚が素直」というのは結構重要で、正しい運転技術を身に着けることを促す効果があります。また、運転が楽しいというのは、その後の自動車ライフをより充実したものにする可能性を拡げますので、自動車好きとしてはどうしても外せないポイントです。
他の人にオススメの車を相談された場合は、「トヨタ・ヴィッツ」や「ホンダ・フィット」、「スズキ・スイフト」など、「国産コンパクトカーならどれでも良いんじゃない」と答えます。あとはお好みでどうぞ、といった感じですね。
どうしてもスポーツカーが欲しいという場合は
若い人の中には、免許を取る以前から「俺にはどうしても乗りたいスポーツカーがあるんだ!」と買いたい車を決めている人もいるでしょう。こんな人は無理にコンパクトカーを買わず、その好きな車に乗れば良いと思います。古い外車が好きという場合も、故障やなんやかんやで苦労するでしょうけど、それはそれで人生を振り返った時に貴重な経験となるはずです。
スポーツカーといっても、「マツダ・ロードスター」のように比較的コンパクトなスポーツカーもあります。こういった車なら比較的初心者でも乗りやすいですし、この車で4年間の大学生活を送ると考えれば、他の車では得られない楽しい思い出がたくさんできそうです。
車を買うという行為は、その後、数年の人生を激変させてしまうほどのパワーがあります。ここまでアレコレとアドバイスしておいてなんですが、僕のアドバイスよりも「私はこれに乗りたいんだ」という強い気持ちで選んでも全然大丈夫だと思います。その時、多少なりとも僕のアドバイスが参考になれば、嬉しいです。
実際に契約する前に試乗をしよう!
最後にもうひとつ、どうしてもアドバイスしておきたいことがあります。それは、「車を買う前には、必ず希望のグレードを指定して、試乗をしておく」という事です。
試乗をするといっても、自動車ディーラーに行きなれていない場合は、ちょっとばかし敷居が高いかもしれませんねえ。しかし、今後、長い時間をともにする大事な愛車を選ぶんですから、ここは面倒くさがったり、妥協しちゃあいけません。どうしても恥ずかしいという場合は、自動車に詳しい友達や家族に付き添ってもらうという手もあります。
ディーラーも売ってなんぼの商売ですから、わざわざ見込み客である試乗希望者をぞんざいに扱うことは無いでしょう。まあ、もちろん、お客さんでごった返している繁忙期にわざわざ行くことは無いですけどね。
逆に、試乗希望者をぞんざいに扱うようなディラーであれば、そのディーラーの程度が低いという事の証明です。そんなディーラーで車を買う必要はありません。
可能なら、普段の道で試乗する
試乗をする時、可能なら通勤や通学など、普段、自分が使っている道に試乗車を持ち込んで試乗してみましょう。特に、「車が大きすぎて、自分の家や会社の駐車場に停められない」なんて事になれば、後で取り返しが付きません。
どうしても、自宅の駐車場に試乗車を持ち込めないという場合は、駐車場のサイズを測っておき、「机上でカタログを見ながらおおよその検討を付ける」なんてことで対応します。ただし、駐車場の前後左右にそれなりの余裕が無ければ、実際に車を停めることはできません。駐車場の検討を付ける時は、自動車にある程度経験のある人(ディラーの営業マンや家族)のアドバイスをもらいながらやりましょう。
「具体的な車種ごとのアドバイスを知りたい」という人は、今回の記事とあわせて「【コラム】目的に合った車を選ぶ(ボディ形状の違いによる車種一覧)」の記事も御覧ください。