今回の【評価レビュー】は「新型 ホンダ シャトル HYBRID Z Honda SENSING」。
2015年に登場した、小型ステーションワゴン(5ドア)です。
「ホンダ・シャトル」の先代モデルは2011年に登場した「ホンダ・フィット シャトル」で、その名の通り「フィット(2代目)」をベースにしてました。今回、モデルチェンジにあたって名前から「フィット」が無くなったのは、全く別のモデルとして上質感をアピールしたかったからです。ただし、ベース車両は先代と同様「フィット(3代目)」のまま変わりません。
実はこの「シャトル」という名前、ホンダでは小型ワゴンを表すサブネームなんですが、初めて商品名として使われたのは1983年に登場した「シビック シャトル(初代)」からです。
「シビック シャトル(初代)」は「シビック(3代目)」の「5ドアハッチバックバージョン」という触れ込みだったものの、実際は一般的な5ドアハッチバックより全長が長く、ステーションワゴンよりは短いという「ショートワゴン」的な立ち位置でした。要するに、この時から現代にもつながる「シャトル」のコンセプトを先取りしていたわけです。
「新型 ホンダ シャトル HYBRID Z Honda SENSING」の概要
そんな「シビック シャトル」とか「フィット シャトル」の考えを現代風にアレンジして受け継いだのが、今回の「新型 ホンダ シャトル」です。
開発コンセプトは「Life Create Wagon」で、ひとクラス上の上質感とか広い室内、ゆとりのある荷室、使い勝手の良さなんかを目指してます。
ホイールベースはフィットと同じですが、ボディ後端を400mm延長することで、ショートワゴン的なプロポーションと広い荷室を実現しました。
「フィット シャトル」の属する5ナンバーサイズのステーションワゴンは市場規模が小さく、売れ筋のコンパクトカーやミニバンと比べると人気もありません。ライバルは「トヨタ・カローラ フィールダー」くらいで、この車と「フィット シャトル」で限られたパイを取り合う形になってます。
ということで、「フィット」のイメージを引きずりすぎると、ひとクラス上の「カローラ」に勝てません。「フィット」の名前を消しつつ、さらに専用デザインのフロントマスクや専用デザインのインストルメントパネル、広々とした室内や静粛性、快適な乗り味なんかを与えてひとクラス上の上質な車に仕立てているのはこのためです。
プラットフォームなど
基本となるプラットフォーム(車台)は、フィットと同じ新世代アーキテクチャーを使ってます。パワーユニットやトランスミッションもフィットのモノです。
組み合わされるパワートレーンは2種類で、「1.5リッター直列4気筒エンジン+CVT」のガソリン車と、「1.5リッター直列4気筒エンジン+電気モーター+7速AT」のハイブリッドカーがあります。
ライバルは
ライバルは、国産の5ナンバーサイズに収まるステーションワゴン。現在は「トヨタ・カローラ フィールダー」一択です。
マイナーチェンジ情報
2017年に一部改良を実施。ハイブリッドシステムの改良とともに、先進安全技術「Honda SENSING」を全車標準装備。
2019年にマイナーチェンジ。内外装の小変更を実施。内装にピアノブラック調パネルを使うなど上質感がアップ。リアシート中央にはアームレストが装備され快適性も向上してます。
同時に先進安全技術「Honda SENSING」には、対向車や前走車の幻惑を防止する「オートハイビーム」が追加されました。
外観
全長4400mmX全幅1695mmX全高1545mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2530mmとなります。
フロント
フィットをベースにしながらも専用グリルや一体感のあるヘッドライト。ワイド感を強調した専用フロントバンパーが与えられ、上質で力強いフロントフェイスを構成します。
サイド
フロントオーバーハングで110mm、Cピラー以降で335mm延長され伸びやかさを増したサイドビュー。ノーズの短いフィットをベースにしているため、ステーションワゴンというよりもミニバンに近い印象です。
リア
リア周りは完全な専用設計。グラマラスなリアエンドに、大型リアコンビランプ。ダイナミックなリアバンパーが組み合わされ、伸びやかで力強い後ろ姿です。
内装
インパネ回りはフィットのイメージを踏襲するものの、シャトル専用設計となります。ソフトパッドやメタリックパーツ、木目調パネルが組み合わされ、フィットよりも上質で大人っぽい印象です。
運転席からフロントノーズ両端を目視することは出来ないものの、ノーズ自体が短いため予測は付けやすいです。
シート
フロントシートは適度な立体感のある感触の良いシート。腰から太ももにかけてしっかりと支えるので疲労感が少ないです。
先代フィット・シャトルよりもホイールベースが30mm延長され、リアシートの足元および頭上空にはゆったりとした余裕があります。やや平板な形状でしなやかさは足りませんが、中距離(30km)程度の移動なら問題ありません。
荷室
リアオーバーハングが335mm拡大され、荷室スペースにはクラス最大級のスペース(570L)を確保。家族4人であれば荷物の嵩張るキャンプも可能です。
荷室床面の高さが低く開口部も大きいため、荷物の出し入れも簡単。
静粛性
エンジンの負荷を低減するハイブリッドシステムと車内に装備された遮音材によって、フィット以上の静粛性を実現。
パワーユニットとミッション
1496cc・直列4気筒DOHCエンジン+電気モーターに、7速ATが組み合わされます。
最高出力110ps/6000rpmと、最大トルク13.7kgf・m/5000rpmを発揮。
電気モーターは、30psの最高出力と、16.3kgf・mの最大トルクを発揮。
車両重量1240kg。JC08モード燃費は、19.8km/l。
パワーユニット
1.5リッター・ツインカムエンジン+電気モーターによるハイブリッドシステムで前輪を駆動(FF)。活発なツインカムエンジンにトルクフルな電気モーターが組み合わされ、低速域からスムーズで力強い走りをみせます。パワーユニットのレスポンスが良いため、アクセル操作ひとつで自在に速度を制御することができます。
トルクフルな電気モーターのおかげでエンジン回転が高まりにくく、バイブレーションやノイズの発生も控えめです。
トランスミッション
デュアルクラッチ式7速ATを装備。フィットの初期モデルにあったギクシャクとした動きは随分と解消され、ダイレクト感あふれるスムーズな変速を行います。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪には車軸式サスペンションを装備。
乗り心地
装着タイヤは185/55R16。
ダンパーはアコードなどの上級車種にも装備されるザックス社製「振幅感応型ダンパー」。入力に応じてダンパーの減衰力を可変させる凝ったつくりです。
このダンパーと高剛性・低重心ボディがあいまって、フラット感の強調された上質なフィールを演出。快適性はベースとなったフィットを完全に上回ります。
目地段差やジョイントの衝撃もまろやかで、不快な印象はありません。
ハンドリング
車高の落とされたボディとスポーティなサスセッティング。リアの接地感を若干落とすことによって切れ味の良いステアリングフィールを実現。ステーションワゴンにしてはキビキビとよく曲がります。
最小回転半径は5.2mと小さめ。
その他
先進安全技術は最新の「Honda SENSING」を搭載。このパッケージには「衝突軽減ブレーキ」や「誤発進抑制機能」、「アクティブ・クルーズ・コントロール」および「歩行者事故低減ステアリング」、「車線維持支援システム」といった機能が含まれます。
【評価レビュー】のまとめ
「ホンダ シャトル HYBRID」は、コンパクトカーであるフィットをベースに開発された小型クラスの5ドア・ステーションワゴン。搭載されるハイブリッドシステムおよびトランスミッションもフィット用をそのまま流用しています。
ただし、フィットとはしっかりと差別化されており、ひとクラス上の上質感が与えられています。名前に「フィット」の文字も含まれません。
上質感のある内外装に拡大された荷室容量。力強いハイブリッドシステムと快適性の高い足回り。ひとクラス上の上質感と使い勝手の良さを両立させた完成度の高い車です。
「コンパクトカーを探しているが、どうも使い勝手や上質感で物足りなさを感じてしまう」とか、「そこそこの荷物が積めるコンパクトなステーションワゴンが欲しい。もちろん、上質感や走りの良さでも妥協できない」といった人にピッタリな車です。
中古車市場では
2017年式「ホンダ シャトル HYBRID Z」で210万円前後。2015年式で100万円台後半となります(2018年3月現在)。
価格
価格 | 2,469,960円(消費税込み)