今回の【評価レビュー】は「新型 トヨタ・ヴォクシー ZS 煌(3代目・80系)」。
2014年にフルモデルチェンジした、Mクラスのミニバン(5ドア)です。
「トヨタ・ヴォクシー」は、ミニバン販売台数首位をかけて「日産・セレナ」とデッドヒート繰り広げてる大ヒットモデル。といっても、ヴォクシーにはほとんど内容の同じ兄弟車「ノア」と「エスクァイア」があるんで、それを考えると実質的には「ヴォクシー3兄弟」の圧勝になっちゃいます。
「ヴォクシー3兄弟」の中でも「ヴォクシー」と「ノア」は、外装デザインが違うだけ。「エスクァイア」は合皮や木目調パネルなんかを奢って、ちょっとだけ豪華に仕立てられた「プチ贅沢仕様(その分お値段も割高)」です。
2001年に登場した「初代ヴォクシー」は、「逞しいお父さん」をテーマにしたCMのおかげもあって、当時、結構な台数を売り上げてます。後輪駆動をベースにした「ライトエースノア」から一転して、普通の前輪駆動となったため、乗用車的なフィールと室内の広さを両立してたのも良かったです。
僕の弟も初代の時に購入して、今でも大事に乗ってます。たまには乗せてもらうこともあるんですが、多少ガタピシいうものの、走りに関わる基本部分はびくともしません。このあたりは「流石、トヨタ!」って感じです。
「新型 トヨタ・ヴォクシー ZS 煌(3代目・80系)」の概要
今回モデルチェンジした「3代目」は、5ナンバーサイズに収まる取り回しの良さを維持しながらも、全長を100mm拡大して広い室内と荷室を実現。同時にノーズ先端に衝撃を吸収する「クラッシャブルゾーン」を増やして、歩行者を保護する機能も強化しました。ということで、ライバルとほぼ同じサイズとなったのも大きなポイントです。並べた時にサイズが小さいと、ちょっとばかり見劣りしちゃいますからね。
「5ナンバーサイズに収まる」といっても、スペースをギリギリまで使った背の高い箱型ボディですから、室内空間は広く窮屈感もありません。狭い日本で使うには、ちょうど良いサイズ感になってます。
室内が広く感じるのは、床が低くなったのも大きいですねえ。床下に収める部品も小さく薄く設計されてるんで、床に無用な凸凹がありません。乗り降りがしやすく使いやすいってことで、何から何までよく考えられてます。
基本ボディは5ナンバーサイズですが、専用エアロを装備する「ZS」グレードは、ちょっと大きくて3ナンバーサイズとなります。試乗車の「煌(きらめき)」は、その「ZS」グレードをベースにメッキパーツや専用装備を加えた特別仕様車なんです。
プラットフォームなど
床を低くして室内空間を広く確保するため、わざわざ専用の「低床プラットフォーム」を採用してます。しかも、床下に収める部品や装置も小さく設計してるんで、床面に変な凸凹がありません。低重心化や乗り降りのしやすさといった副産物もあって、とっても使いやすい車に仕上がってます。
ライバルは
ライバルは「日産・セレナ」や「ホンダ・ステップワゴン」といった、国産のMクラスミニバン。その中でも「日産・セレナ」とは、抜きつ抜かれつの販売競争を繰り広げる好敵手同士です。最近はライバルを意識しすぎて、どの車も同じようなサイズになってます。といっても、ディティールが全く違うんで、見間違えることはありませんけど。
マイナーチェンジ情報
2017年にマイナーチェンジ。厳つさを増した外装デザインに、使い勝手を高めた内装。助手席の裏にはカップホルダーを備えた折りたたみ式テーブルまで付きます。ついでにボディ剛性や足回りの強化まで行われ(というか、こっちがメインか)、前期モデルより乗り心地が良くなりました。
外観
全長4710mmX全幅1735mmX全高1825mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2850mmとなります。
マイナーチェンジによって精悍さが強調され、よりスポーティで男らしいスタイリングとなりました。
フロント
上下に分割されたLEDヘッドライトと、台形型のフロントバンパーが相まって、シャープな男らしさを表現しています。
煌には特別装備として、「フードモール」や「LEDクリアランスランプ」、「Bi-Beam LEDヘッドライト」も装備されます。
サイド
16インチアルミホイールは今流行りの切削光輝加工。
箱型を基調とするスタイリングながら、Aピラー(一番前の柱)の起点が前方に移動して傾斜の強いスポーティなデザインを構成。後に行くほど狭くなるサイドウィンドウと組み合わされ、スポーティな力強さを感じさせます。
煌の特別装備として「アウトサイドドアハンドル(メッキ)」や「オート電動格納リモコンドアミラー(メッキ)」を装備。
リア
四角いリアエンドにブラックアウト(黒色で周りのウィンドウと一体化)されたリアコンビランプ。セミフローティングルーフ(後の屋根だけが浮いて見える)によるスマートでまとまりの良い後ろ姿です。
マイナーチェンジによって、リアコンビランプのデザインが変更されています。
煌の特別装備として、「バックドアガーニッシュ(ダークスモーク塗装されたVOXYロゴ入り)」を装備。
内装
ブラックを基調とする室内にシルバーメタリックの細いラインが散りばめられ、シンプルでスポーティなインテリアを構成。
アップライトなポジションに加えてボディの見切りも良いため、とても運転がしやすいです。
「デュアルパワースライドドア」が装備され、リモコンキーの操作だけで簡単にスライドドアの解錠とオープンが可能。荷物で両手が塞がっている時や傘を挿している時に便利な機能です。
「煌」の特別装備として「センタークラスターパネル(ピアノブラック塗装+シルバー塗装)」や「マルチインフォメーションディスプレイフード(シルバー塗装)」、「インサイドドアハンドル(メッキ)」を装備。
シート
前席は、適度なサイドサポートのある快適性を重視したシート。がっしりとしたシートに肉厚のクッションが組み合わされます。
セカンドシートには超ロングスライド機構が装備され、一番後まで下げればファーストクラス以上の広々とした空間を確保することでできます。
サードシートはクッションが薄く、シートバックの高さも足りないため、長距離ドライブには向きません。ただし、足元、頭上空間ともに広々とした空間があり、中距離(30km)程度ならなんとか我慢できそうです。
荷室
サードシートを展開していると、荷室スペースは最小限となります。といっても普段はサードシートを折り畳んで使うことが多いでしょうから、その場合は家族4人でキャンプも可能です。
静粛性
マイナーチェンジによってロードノイズとエンジンノイズが抑えられ、クラス標準以上の静粛性を得ています。
エンジンとミッション
1986cc・直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、152ps/6100rpmの最高出力と、19.7kgf・m/3800rpmの最大トルクを発揮。
車両重量1610kg。JC08モード燃費は、16.0km/l。
エンジン
2.0Lツインカムエンジンで前輪を駆動(FF)。1.6以上のボディに2.0Lの自然吸気エンジンですから、キビキビとした軽快感とか有り余る力強さはありません。それでも、街中や日常ユースであれば必要十分なレベルです。
トランスミッション
ベルトとプーリーによって連続的に変速するCVTを装備。非力なエンジンをしっかりと回して必要なパワーを生み出す優秀なトランスミッション。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションを装備。
乗り心地
装着されるタイヤは前後ともに205/60R16。
ボディ剛性とダンパーの特性が同時に見直され、適度に引き締まった上質な乗り味を得ています。
目地段差ではゴツゴツとした衝撃を車内に伝えますが、不快な印象はありません。
ハンドリング
背の高いミニバンにしては素直なステアリングフィール。ロールの出方も予測がつきやすく、自然な動きでノーズの向きを変えていきます。
最小回転半径は5.5mと全長の長いミニバンとしては小回りが効く方。
その他
先進安全装置は、最新の「Toyota Safety Sense C」。このパッケージにはレーザーレーダーと単眼カメラによる「プリクラッシュセーフティシステム(衝突時被害低減自動ブレーキ)」や「レーンディパーチャーアラート(車線逸脱警報)」、「オートマチックハイビーム」などが含まれます。
【評価レビュー】のまとめ
「新型 トヨタ・ヴォクシー ZS 煌」は、5ナンバーサイズを基本とする箱型ボディにエアロパーツ、「煌」専用装備をおごった使い勝手の良い5ドアミニバンです。
マイナーチェンジによって内外装が見直され、足回りやボディ剛性にもアップデートを受けています。ややボディに対してエンジンパワーが足りない印象ですが、ミニバンの使い方を考えれば大きな問題ではありません。
低重心ボディとアップデートを受けた足回りによる、自然なステアリングフィールも魅力です。
「家族や荷物を沢山積んで出かけることが多い」とか、「手頃なミニバンを探しているが、もっさりとした癒し系デザインは嫌だ」といった人にオススメの車です。
中古車市場では
2017年式「トヨタ・ヴォクシー ZS 煌」で200万円台後半。2014年式・初期モデルで200万円台前半といったところです(2018年2月現在)。
価格
価格 | 2,869,560円(消費税込み)