新型 ダイハツ キャスト スポーツ SAⅢ【評価レビュー】コペン譲りの素直でスポーティなハンドリング [DBA-LA250S]

ダイハツ キャスト スポーツ SAⅢのフロント

今回の【評価レビュー】は「新型 ダイハツ キャスト スポーツ SAⅢ」を試乗しました。
「キャスト」は、2015年に登場した軽自動車のハイト系ワゴン(5ドアハッチバック)です。

最大の特徴は3つのボディバリエーションを持つことで、上質感を強調した「キャスト・スタイル」とクロスオーバーSUV風の「キャスト・アクティバ」、スポーティ路線に振った「キャスト・スポーツ」があります。

発表自体は3つのモデルで同時に行われたものの、実際に販売されたのは「スタイル」と「アクティバ」が先行して9月に、その後、ちょっと遅れて10月に「スポーツ」が販売されてます。

はじめに販売された「アクティバ」の個性があまりに強かったんで、僕はキャストのベースモデルは「アクティバ」なんだとすっかり勘違いしてました。「なるほどハスラーの人気に対抗するため、ダイハツもこのSUV路線できたんだな」って感じです。

ダイハツキャストアクティバ前面画像

【試乗評価】新型ダイハツ キャスト アクティバ 上質な走りと快活なスタイリング [DBA-LA250S]

2016年2月24日

こういった戦略をとる理由は、「限られた経営資源で、ユーザーの多用なニーズに応えるため」なんです。一つのボディを基本に3つのボディバリエーションを揃えれば、単純に2台分の開発コストが浮きますもんね。

「スポーツ」だけ発売時期が後ろにズレているのは、単純に生産スケジュールの都合とか、もしくは「発売の時期をずらすことで、話題になる期間を増やしたい」という狙いもあるんでしょう。

じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【評価レビュー】のまとめ」をどうぞ↓
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「新型 ダイハツ キャスト スポーツ SAⅢ」の概要

キャストシリーズ全体の開発コンセプトは「生活を彩る自分仕様の軽自動車」。簡単に言うと「3つのボディバリエーションから自分好みの一台を選んでね」ってとこです。

そんなキャストシリーズの中でも今回の「キャスト・スポーツ」は、その名が示すとおり、スポーティな内外装と走りの良さにこだわったお気軽なスポーティモデル。足回りにはダイハツが誇る軽ライトウェイトスポーツ「ダイハツ・コペン」の技術と知見が存分に活かされてます。ダイハツの技術者も、開発段階から「4人乗りのコペン」というイメージで設計していたそうです。

パワーユニットには「658ccのツインカムターボ」を搭載。これに専用スポーツサスペンションと、専用16インチアルミホイールが組み合わせてます。外観の特徴はボディ下側をぐるりと囲む赤いピンストラプ。やる気にさせる「ダークメッキ・グリル」も付いて、結構精悍な感じです。

プラットフォームは「ムーヴ」と同じ

ベースとなるプラットフォーム(基本骨格)には、現行型「ダイハツ・ムーヴ(6代目)」と同じ新世代アーキテクチャー「Dモノコック」を採用。ムーヴから始まった「新世代モデル」第二弾という位置づけです。その他にボディパネルに強化樹脂パネルを併用して、ボディ剛性の強化と軽量化を同時にやっているんですね。車両重量は850kgと「スズキ・ハスラー」には今一歩及びませんが、結構頑張ってると思います。

ダイハツムーブカスタム前面画像

【試乗レポート】新型ダイハツ ムーヴ カスタム RS2 かっこいいカスタム装備とコンパクトカー並みの質感 [DBA-LA150S]

2016年2月16日

パワートレーンも同じく「ダイハツ・ムーヴ(6代目)」由来の「直列3気筒ツインカムターボ+CVT」を搭載。しっかりとしたムーヴのメカニズムをベースに、個性的なデザインと高い質感が与えられてます。

ライバルは「スズキ・アルト ターボRS」

「キャスト スポーツ」のライバルは、「スズキ・アルト ターボRS」や「ホンダ・N-ONE RS」など、走りの楽しさを演出したお気軽路線の軽自動車たち。「スズキ・アルト ワークス」だと、さらに本気度が高いんでちょっと違うかなあと思いました。

2017年に一部改良を実施

2017年に一部改良を実施。内外装のデザイン変更と、先進安全技術のアップデートが行われてます。

前車との衝突を検知して被害軽減をはかる先進安全技術「スマートアシストⅡ」が、歩行者にも対応した「スマートアシストⅢ」に強化されました。

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外観

ボディサイズ、全長3395mmX全幅1475mmX全高1600mm。ホイールベース、2455mm。

丸みを強調したデザインはキャストシリーズ共通。その中でも「スポーツ」は、「赤いピンストライプ」や、ボディ色とは違う色で塗装される「ドアミラー」及び「Dピラー」なんかでスポーティに演出されてます。

最近流行りのハイト系ワゴンは、軽自動車の枠をギリギリまで使って室内スペースをかせいでいるので、デザインが平板になりがちです。これに対してキャストは、少しばかりデザインのためにスペースを割いているので、軽自動車にしては立体感があります。

フロント

丸みのある分厚いフロントノーズに大型グリル、楕円形のヘッドライトを組み合わせたスポーティなお顔。リップスポイラーからサイドシル、リアバンパーへとぐるりと入った赤いピンストライプが、全体の雰囲気をさらにピリッと引き締めてます。

この赤いピンストライプとエアロバンパー、専用エンブレムは「スポーツ」専用装備です。

サイド

重厚感あふれる分厚いボディに、若干ルーフが絞り込まれた台形型のキャビン(居住スペース)。前後ギリギリに配置されたタイヤ・ホイールが組み合わされて、軽自動車らしからぬ重厚感と、キビキビとした軽快感を両立してます。

ルーフには、白または黒のフィルムを貼り付けた「デザインフィルムトップ仕様」も選べます。いわゆる「2トーンボディ」ってやつですね。塗装では無くあえてフィルムを使うのは、単純にコストが安いからなんですが、その他にもフィルムをボディにピタッと貼り付ける技術が向上したというのもでかいです。これにはダイハツの独自技術「Dラッピング」が使われてます。そういえばこの手の2トーンボディ、最近他社でもよく見かけるようになりました。

リア

ダイハツ キャスト スポーツ SAⅢのリア

張りのあるリアエンドに、クラシカルなデザインの丸目型リアコンビランプ(クリアレンズ)。ピンストライプやCピラーに施された「赤い差し色」の効果もあって、スポーティな印象になってます。メッキモールドを控えめにあしらって、「大人っぽい上質感を演出する」なんて小技もにくいです。

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内装

ダイハツ キャスト スポーツ SAⅢの内装

キャストの内装デザインは、加飾パネルまわりが違うだけで基本的に3車共通。「スポーツ」専用パーツとして「本革巻きMOMO社製ステアリング(パドルシフト付き)」がおごられます。このステアリングはサイズ、質感ともに抜群で、しっとりと手に馴染むデザインです。僕をはじめとして日本の中高年は、こういった海外ブランドに目がないんですよねえ。最近も「次の愛車はビルシュタイン付きが良いなあ」なんて考えてます。

ハイト系ワゴン「ムーブ」のコンポーネントを使っているので、目線が高くボディも小さいので取り回しはラクラク。運転しやすい車です。

内装デザインは「標準仕様」と「プライムインテリア」の2種

軽自動車にしては質感が高く、コンパクトカーに迫るレベルです。標準仕様はブラックのトリムに赤い加飾パネルの組み合わせ。エアコンの吹き出し口にも赤い差し色が入ります。

これに対して無料オプションの「プライムインテリア」は、シートがホワイトの合皮(運転席にはシートヒーターも!)で、加飾パネルまわりはシックなピアノブラック調に差し替わります。上質な大人のスポーツモデルって感じです。

メーターまわり

メーターまわりは、赤を基調にしたスポーティなデザイン。左にタコメーター(エンジン回転計)、右にスピードメーターを配して、その中央に車輌情報を表示する「マルチファンクションディスプレイ(モノクロ液晶)」を置いてます。

2017年の改良で、メーターの針がブラックからレッドに。速度計の文字が「0、20、40、60・・・」と「20km/h刻み」になって、「10、30、50・・・」などは省略されました。その分、フォントサイズ(文字の大きさ)が大きくなったんで見やすいです。

フロントシート

シートの基本構造も3モデル共通です。「スポーツ」のフロントシートは、合皮素材で作られた本革調(レッドステッチ入り)。見た目はスポーティだけど、サイドサポートが控えめでゆったりとした形状になってます。

クッションには程よい硬さがあって、表皮の柔軟性も十分。ゆったりとしたサイズ感と控えめなサイドサポートによって、身体をリラックスさせたまま上手に支えます。昔の軽自動車のように、「身体が不自然に沈み込んで痛くなる」なんてことはありません。

運転席と助手席の間には、腕を休ませるアームレストもありますし、長距離ドライブをやっても疲れにくいと思います。

リアシート

リアシートは、左右独立式のスライド機構(240mm)付き。一番うしろまで下げれば、大人でも足を組んだままゆったりと座れます。ただし、シート形状は平板で、背もたれの高さも不足気味。まあ、これは、折りたたみ性を重視した最近の軽自動車共通の弱点ですね。

座高の高い大人が乗る場合は、ヘッドレストをしっかりと伸ばして自分の頭に合わせてください。ヘッドレストの高さが合ってないと、衝突の時に首が大きくゆすられて「鞭打ち」になります。といっても、背もたれが短いことで後方視界が得やすいというメリットもあるんで、2人以下で乗ることが多いという場合はそう気にすることも無いでしょう。

足元、頭上空間には十分以上のスペースがありますから、大人が乗っても意外と窮屈感はありません。

荷室

荷室スペースは小さく、リアシートを一番うしろまで下げると、手荷物+αといったレベルです。ただし、リアシートのスライド機構を使ってシートを前に寄せれば、結構な荷物が積めます。

荷室の下には深さのあるアンダーボックスもあるんで、縦に長い荷物を積む時に便利です。

さらに背もたれを5:5で分割して倒せば、ワゴンのようなだだっ広い空間が出現します。背もたれが完全な水平にならないのが気になりますが、まあ、そのへんは毛布なんかで詰め物をして調整してください。

静粛性

キャストは、元々、ムーブをベースにしたちょっと上質な軽自動車として開発されているんで、軽自動車にしては静粛性が高いです。新設計された新世代シャシーの恩恵もありますし。CVTが発生する高周波ノイズは、不快な音域を中心にカット。遮音材のおかげで、ロードノイズや風切り音も小さめです。

もちろん、「キャスト・スポーツ」はスポーツモデルですから、アクセルを踏み込めばそれなりにスポーティなサウンドも楽しめます。静かというのは、あくまでも普通に市街地を流している時の話です。

エンジンとトランスミッション

658cc・直列3気筒DOHCターボエンジンに、CVT(無段変速機)の組み合わせ。
エンジンは、最高出力64ps/6400rpm、最大トルク9.4kgf・m/3200rpmを発揮。

車両重量、850kg。JC08モード燃費、24.8km/l。

エンジン

658ccのツインカムターボで前輪を駆動(FF)。「スポーツ」はターボエンジンのみで、自然吸気エンジンの設定は無いです。ただし、ターボエンジンといっても、特別なチューニングはしてません。軽量化されたボディの影響もあって、まるで大排気量自然吸気エンジンのようにスムーズに走ります。低速からフラットなトルクを発生するんで、扱いやすいですよねえ。

乗った感じは「軽自動車というよりコンパクトカーに近いなあ」と思いました。流石に燃費はハイブリッドより悪いですけど、普通のコンパクトカーと比べれば同じくらいです。

参考:ヴィッツ F(996cc)の燃費が、21.6km/l(JC08モード)。ヴィッツ F(1329cc)で、25.0km/l(JC08モード)。

トランスミッション

トランスミッションはベルトとプーリーを組み合わせたCVT式。普通に街中を流すだけなら、これで十分でしょう。スムーズに変速してくれます。CVTに特有の「ラバーバンドフィール(アクセルを踏み込むと、エンジン回転ばかりが上がって車速の伸びが少し遅れる現象)」も、ほとんど気になりませんでした。CVTからの高周波ノイズも、不快な音域を中心に上手く抑え込まれてます。

ステアリングの裏には「パドルシフト」が付いていて、擬似的なマニュアルによる7段変速ができます。この手のギミックは、最初、面白くてカチャカチャやっちゃいますが、そのうちに飽きて「ドライブ」に入れたまんまになるんですよねえ。ただし、坂道でエンジンブレーキを掛けたり、逆に急な坂道を登るときには意外と便利です。

ちなみに「キャスト・スポーツ」にMT(マニュアル・トランスミッション)の設定はありません。

乗り心地とハンドリング

前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にトーションビーム式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、165/50R16。標準でヨコハマ製「アドバンA10」が付いてます。メーカーオプションで、さらにスポーティなブリジストン製「ポテンザRE050A」も用意してます。「アドバンA10」は乗り心地とハンドリングのバランスが良いんで、「標準タイヤで十分だな」と思いました。

足回りは「ダイハツ・コペン」の技術と知見が活かされたスポーティな味付け。サス自体も「スポーツ」専用です。といっても「コペン」よりは乗り心地が柔軟で快適。適度に引き締まったしなやかな乗り味になってます。

路面からの情報は適切に伝えるものの、衝撃の角が丸いので不快じゃありません。小さなギャップを超える時は、サスペンションをしっかりとストロークさせて柔軟に吸収します。大きな段差の時は、サスと硬いボディが一体となってガッチリと受け止める感じです。「なんとなくドイツ系のコンパクトカーに近い乗り味だな」と思いました。

段差を超える時のヨレの少なさは、キャストシリーズに共通の美点です。

ハンドリング

コペンほどのキビキビした軽快感は無いものの、自然なロールを伴う素直なハンドリングで、運転が楽しいです。ペースの遅い街なかであれば、ボディを安定したまま狙ったラインを気持ちよくトレースしていきます。

運転が楽しいのは、ステアリングの良さだけじゃなくて、ロードインフォメーションの豊富さも大きいです。自分の操作に対して車がどういう状態にあるのかすぐに分かるので、運転している実感が感じられるんですよねえ。

ただし、キャストは一応背の高い「ハイト系ワゴン」です。コーナーの連続するワインディングを速いペースで駆け抜けると、多少なりとも上屋がゆすられちゃいます。上屋の動きが自然なんで、不安にさせられるようなもんじゃありませんが。

最小回転半径は4.7mと小さめ。ボディがコンパクトで目線も比較的高いんで、取り回しは楽ちんです。

先進安全技術

2017年の改良で、先進安全技術を「スマートアシストⅡ」から「スマートアシストⅢ」へとアップグレードしてます。

これはカメラとソナー、レーザーレーダーを組み合わせたシステムで、衝突を回避するための「衝突警報機能」や「衝突回避支援ブレーキ」が付いてます。今回の改良で、自動車だけじゃなくて歩行者にも対応できるようになりました。オプション装備として、ナビ画面に上から自分の車を見下ろしたような映像を表示する「パノラマモニター」も選べます。

具体的な働きとしては、まず前車との衝突を検知して「衝突警報機能」が作動。それでもドライバーが回避運動を取らない場合は、軽くブレーキ(事前ブレーキ)を掛けて注意を喚起。これに気づいたドライバーがフットブレーキを踏んだ時は、ブレーキ操作を助ける「被害軽減ブレーキアシスト」が作動します。この時点で「衝突が回避できない」とシステムが判断した場合に限り、最後の手段として強めに「緊急ブレーキ」を掛けて衝突の被害軽減、緊急回避をはかります。要は、システム側で4段構えの安全対策をとっているわけです。

この他には「車線逸脱警報機能」や「誤発進抑制機能(前後)」なんかも付いていて、ちょっと前の軽自動車では考えられないほど安全機能が充実しています。

【評価レビュー】のまとめ

「新型 ダイハツ キャスト スポーツ SAⅢ」は、ムーブのコンポーネントをベースにトルクフルなターボエンジンと、コペン系の足回りを組み合わせたスポーティな軽ハイト系ワゴン。

といってもガチガチに固められているわけでは無く、スポーティな中にもしなやかな柔軟性があります。高速走行時の静粛性も高く、乗り心地が良いです。エンジンは大排気量自然吸気エンジンのようにスムーズでトルクフルなんで、スポーツカーというよりは長距離を快適に移動するための「グランドツアラー」といった方が近いと感じました。

しかもベースとなっているのは普通のハイト系ワゴンですから、室内はとっても広いです。小物入れなんかも充実していて、足車としての使い勝手も良いです。

「仕事や趣味、子供の送迎なんかに使えるハイト系ワゴンを探しているが、普段の何気ないドライブもそれなりに楽しみたい」なんて人にピッタリな車になってます。

中古車市場では

2017年式「ダイハツ キャスト スポーツ SAⅢ」で140万円前後。2016年式「ダイハツ キャスト スポーツ SAⅡ」で130万円前後(2019年11月現在)。

新車価格

1,677,500円(消費税込み)

ABOUTこの記事をかいた人

akiroo

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)