今回は「新型 ホンダ N-BOX G EX ホンダセンシング(2代目)」を試乗レポート。
2017年にフルモデルチェンジした、軽自動車のスーパーハイト系ワゴンです。
軽スーパーハイト系ワゴンとして高い人気を得ていた「初代N-BOX」のコンセプトを、ほぼそのまま受け継ぐキープコンセプトモデルです。
見かけは初代とほとんど代わり映えしないものの、プラットフォームと足回り、パワーユニットを一新。80kgの軽量化と相まって、中身は全く新しいクルマに生まれ変わっています。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「試乗評価のまとめ」をどうぞ。
外観
全長3395mmX全幅1475mmX全高1790mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2520mmとなります。
初代のモチーフをほぼそのまま受け継ぐスタイリング。背の高い箱型ボディに、短いフロントノーズがチョコンと付属します。
フロント
四角い弁当箱のようなフロントノーズに、角型グリルとヘッドライトを装備。ヘッドライトの形状がややつり目になり、グリルは縦方向に拡大されています。フェンダーの特徴的なラインが薄まりボディとスムーズに連結されます。その分、初代のカチッとした清々しさが薄まり、ちょっとぼんやりした印象を受けます。
サイド
箱型ボディを基本とした道具感あふれるスタイリング。サイドの印象も初代とほとんど変わりません。
新型はフェンダーの継ぎ目とドアパネル下のプレスラインが薄くなり、逆にキャラクターラインはメリハリのある明快なラインに変更されています。レゴブロックのような凝縮感は弱まりましたが、ゴツゴツとした力強さを感じます。
リア
四角いリアエンドに、メカニカルな形状のリアコンビランプがレイアウトされます。緩やかなプレスラインと相まって、リアエンドに適度な張りと緊張感を与えています。
内装
樹脂の素材感を活かしたシンプルな内装デザイン。テカテカとしたパネルや可愛いデザインで誤魔化そうとするのではなく、素材感をそのまま活かした清々しいデザインです。
眼前の二眼メーターは、プジョー式のステアリング外周に表示されるタイプです。アップライトなポジションから見下ろすような姿勢となるため、視認性に問題はありません。
車内にはグローブボックスや各種トレイ、ドリンクホルダーなどが豊富に装備され、使い勝手も良好です。
シート
前席は、ざっくりとしたファブリックを持つ大きめのシート。高いルーフとコラムシフトによって、足元、頭上空間ともに広々としています。
今回のモデルから、助手席にロングスライド機構が装備されます。助手席を後ろに下げれば、後席に載せた子どもの世話を助手席から行えるというわけです。
後席はやや薄型のクッションとなるものの、ロングスライド機構によって足元にはLクラスセダン並の空間が拡がります。
荷室
後席を一番後ろまでスライドさせると、荷室スペースは非常に狭くなります。家族4人であれば、買い物くらいが限界でしょう。ただし、スライト量を調整したり、後席のシートバックを5:5で倒すことによって、荷室スペースを拡大する事も可能です。
静粛性
始動時はやや3気筒ならではの安っぽいエンジン音が気になりますが、走り出せば比較的静かです。
エンジンとミッション
658ccの直列3気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、58ps/7300rpmの最高出力と、6.6kgf・m/4800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量930kg。JC08モード燃費は、27.0km/lとなります。
エンジン
658ccのツインカムエンジンで前輪を駆動。ロングストローク化と軽自動車初の「VTEC」搭載が同時に行われ、加速性能と燃費効率向上が図られています。スムーズな吹け上がりで市街地モードでは必要十分な力強さを発揮します。といっても燃費重視型のVTECですから、目の覚めるような加速性能はありません。
坂道や急な上り坂でアクセルを踏み込むと、苦しそうな唸り声を上げてもっさりと加速します。
トランスミッション
ベルトとプーリーによって連続的に変速するCVTを装備。高回転型のエンジンをしっかりと回してスムーズな加速を行います。急な上り坂ではさらにエンジン回転を高めるため、ノイズとバイブレーションが増大します。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪には車軸式サスペンションが装備されます。
乗り心地
しなやかで快適な乗り心地。路面の段差を通過しても鋭い衝撃や不快な底付き感を感じることはありません。
ハンドリング
初代よりも車高が10mm高くなっていますが、ぐらつき感自体に大差はありません。逆にロールの出方が穏やかになったため、挙動の予測がしやすく安定してコーナリングを終えることができます。
ステアリングフィールも穏やかで自然。キビキビとしたスポーティ感はありませんが、ドライバーの操舵に対してリニアな旋回力を発生します。
その他
ミリ波レーダーと単眼カメラを使った先進安全技術「ホンダ・センシング」を標準装備。このシステムには、衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、後方誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、路がい逸脱抑制機能、アダプティブ・クルーズコントロール、車線維持支援システム、オートバイビーム、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能など様々な機能が含まれます。
試乗評価のまとめ
見かけ上は、ほぼ先代のコンセプトをそのまま受け継ぐキープコンセプトモデルです。しかし、新しいプラットフォームとVTECが搭載された新エンジンが与えられ、走りの質感と快適性能が向上しています。
20代から40代の子育て世代に向けて開発されたモデルですが、独身者やシニア世代が買い物や遊びのための足車として使っても十分満足できるでしょう。
ただし、走りが向上しているといっても所詮は背の高いスーパーハイト系ワゴンです。スポーツカーやコンパクトハッチのようなキビキビとした走りを楽しむことはできません。
価格
価格 | 1,596,240円(消費税込み)