ホンダ フィット 13G(GE6・2代目)【試乗評価】スマートな外観と熟成された内容 [DBA-GE6]

ホンダ フィット 13Gのアイキャッチ

今回の【試乗評価】は「ホンダ フィット 13G(GE6・2代目)」。※写真はハイブリッド仕様
2007年から2013年まで6年に渡って製造販売されていた、コンパクトサイズの5ドアハッチバックです。

2001年に登場した「初代 ホンダ・フィット」は、フロントシートの下にガソリンタンクを配置するという「センタータンクレイアウト」によって、広々とした室内と荷室を両立した革命的な車でした。その他に、ホンダらしいクラスレスなスタイリングとか、キビキビとした走りなんかもあって大ヒット。それまで不動の地位を築いていた王者「トヨタ・カローラ」から、「販売台数一位」という称号をもぎ取ったことでも知られてます。当時は右を向いても左を見ても、そこらじゅうをカローラが走ってましたから、これには本当にビックリしたもんです。

初代ホンダフィット

初代 ホンダ フィット 1.3A(2004年)【旧型レポート】バランスの良いコンパクトカー [DBA-GD1]

2017年4月19日

その後を継いで誕生した「2代目ホンダ・フィット」も、初代のコンセプトをそのまま受け継ぐキープコンセプトモデル。初代同様に人気が高く、モデル末期となる2013年ごろまで好調な販売を維持していました。

フィットは、初代の登場から2代目の生産終了まで、都合、12年の長きに渡ってホンダに好調な販売をもたらし続けた「孝行息子」ってことになります。

ただし、このフィットの「クラスレスな魅力」ってやつがちょっと曲者でして。キビキビ走れるし、室内や荷室もコンパクトカーとは思えないほど広い。燃費も含めて維持費まで安いとくれば、「なにも無理して大きな車に乗る必要ないよね」となりがちなんです。しかもホンダらしいクラスレスな魅力まであるんで、「シビックやアコードと並べても全然恥ずかしくないよ」、ということで、カローラだけじゃなくて身内のシビックの販売まで激減させてしまいました。

といっても、「時代がフィットのようなコンパクトカーを求めていた」というのもあるんで、例えフィットが無くても他のメーカーから魅力的なコンパクトカーが発売されて、いずれカローラとかシビックあたりは販売を減らしていたでしょう。なもんで、「フィットのせいでシビックが売れなくなった」というのは言い過ぎです。

じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓
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「ホンダ フィット 13G(GE6・2代目)」の概要

2代目フィットでは、コンパクトカー初となる「ハイブリッド仕様」の追加も話題になりました。ただし、このハイブリッド方式はプリウスのような効率の良いシステムじゃなくて、モーターとエンジンを同軸上に配置した「パラレル方式」というシステムです。

このシステムでは電気モーターだけを使った「EV走行」ができないため、ガソリン車にフィールが近く、電気自動車的な特別感はありません。燃費もせいぜい「効率の良いガソリンエンジン」って感じで、プリウスなんかのフルハイブリッドカー(スプリット方式もしくはシリーズ・パラレル方式)には及びません。逆に言えば、ガソリン車にフィールが近いんで「乗り換えても違和感が少ない」といったメリットはあります。しかも、アクセルを軽く踏み込むだけで電気モーターの力強いアシスト(補助)が得られますから、走りも結構力強いです。

ということで、「ターボの代わりに電気モーターが付いてる」と考えれば面白いですけど、やっぱりトータルバランスではガソリン車の方が優れてます。

「センタータンクレイアウト」とは

フィットのパッケージングのコアとなる「センタータンクレイアウト」とは、普通のコンパクトカーならリアシートの下あたりに配置する「ガソリンタンク」をフロントシートの下へと配置換えしたレイアウトのことです。これによって室内が広くなるだけじゃなくて、荷室からリアシートの下にかけても余裕ができるんで、折りたたんだリアシートを「低い位置に収納する」なんてことが出来ちゃいます。

リアシートを折りたたむくらいなら他のライバル車もやりますが、この「低い位置に収納する」ってのがフィットの肝なんです。ということで、高さ方向にたっぷりとした余裕が生まれるんで、ステーションワゴンのようにゆったりとした使い方もできます。

プラットフォームなど

初代フィットから受け継ぐ「グローバルスモールプラットフォーム」を採用。フロントシートの下にガソリンタンクを配置した「センタータンクレイアウト」が最大の特徴で、広い室内と低い床を実現しています。フィットの他にも、「モビリオ」や「フィットアリア」なんかにも使われていました。「グローバル」という名前が示す通り、コンパクトカークラスを中心に幅広く展開されていたってわけです。

ライバルは

ライバルは「トヨタ・ヴィッツ」や「日産・マーチ」、「マツダ・デミオ」とか「スズキ・スイフト」なんかの国産コンパクトカー(5ドアハッチバック)。

マイナーチェンジ情報

2010年、マイナーチェンジを実施。内外装の小変更の他に、静粛性の向上、ステアリング及び足回りの改良、トランスミッションの再セッティングと「ECONモード」の追加なども行われてます。同じタイミングでコンパクトカー初となる「ハイブリッド仕様」も追加されました。

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外観

ボディサイズ、全長3900mmX全幅1695mmX全高1525mm。ホイールベース、2500mm。

大ヒット作となった初代のデザインコンセプトをそのまま引き継ぎつつ、ボディを一回り拡大。といっても、5ナンバーサイズギリギリに収まってるんで、「取り回しの良さ」とか「キビキビとした走り」といった美点は失われてません。

シャープさを増したディティール処理とか、ボディサイズを活かした伸びやかなプロポーションなんかの影響もあって、全体としては近未来的な感じに仕上がってます。

フロント

モチーフとしては先代のままなんだけど、ボディが大きくなった分、少しだけどっしりとした重厚感とか安定感があります。ヘッドライトやグリルの処理もシャープで、近未来のクリーンカーって感じです。これなら「アクアと同じハイブリッド専用車だよ」と言われても、違和感はありません。

サイド

短いノーズと大きなキャビン(居住スペース)が一体化したように見える、「ワンモーションフォルム」になってます。

先代よりボディが拡大されたといっても、所詮はコンパクトカーですから、絶対的なボディサイズは小さいです。といっても、「タイヤをボディの四隅ギリギリに配置する」とか、「Aピラー(一番前の柱)をなるべく前に配置する」、「ガソリンタンクをフロントシート下に配置する」といったアレヤコレヤの工夫で室内はかなり広くなってます。

リア

台形型のリアウィンドウと、おにぎり型のリアコンビランプ(LED)によって、どっしりとした重厚感があります。シャープなディティール処理のおかげで、全体としてもスッキリまとまってます。

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内装

曲線を活かした有機的デザインの室内。不思議なことに、直線基調の外観とはまったく逆のイメージになってます。プラスチックの質感がそのまま表現されてるんで、上質感はありません。

カップホルダーとか、オープンタイプのトレーなんかが設置されていて、使い勝手が良いです。日常の足として買い物や仕事、子供の送り迎えなど、便利に使える工夫がいっぱいしてあります。

Aピラーの傾斜はかなりキツイけど、ドアミラーが若干後に下がって「三角窓」を開けているんで、斜め前方の視界はまずまず。ノーズは直接目視できないけど、ノーズが短く、目線が適度に高いんで、車幅感覚は結構掴みやすい方だと思います。わりと運転のしやすい、初心者にやさしいです。

メーターナセル

メーターナセルには三眼メーターをレイアウト。文字盤がかなり奥まったところにあるんで、自発光する文字がクッキリとして(影になるから)見やすいです。これには、「外から文字盤への焦点移動がしやすい(焦点移動距離が小さいから)」というメリットもあります。

センタークラスター(ダッシュボード中央)

センタークラスター最上段には、エアコンの吹出口。直下には、ナビゲーションやオーディオを表示するディスプレイがあります。そのディスプレイの周囲をグルリと囲むように、エアコンのコントロールユニットが設置されてます。風量や温度調整、送風モード切り替えなんかは、大きなダイヤル式のスイッチになっていて、手探りでも操作できます。ダイヤルが大きく、つまみもハッキリとしているんで、手袋をしたままでもいけそうです。

シート

フロントシートは、大柄なフレームにむっちりとしたクッション、適度なサイドサポートを組み合わせた座りやすい構造です。

リアシートは、「センタータンクレイアウト」のせいで、フロントシートと床の間が狭く、ここにつま先を入れると足の甲がシートにあたります。まあ、ホイールベースが長く、足元のスペースも十分なんで普通は困りませんが、ちょっと足を伸ばしたい時に「うーん」って感じになっちゃいます。

ただし、この「センタータンクレイアウト」のおかげで、リアシートの下は何もありません。ということで、リアシートの座面を跳ね上げると、床から天井までをつかって背の高い荷物を積めるんです。横にすると台無しになる、鉢植えの花とか木、ベビーカーなんかを積む時に便利そうだなと思いました。

荷室

荷室スペースは、拡大されたボディのおかげでコンパクトカークラスとしては大きめ。家族4人で1泊旅行くらいなら十分行けそうです。さらに、床下には小さなアンダーボックスもあります。

センタータンクレイアウトのおかげで、リアシートの下にガソリンタンクはありません。つまり、リアシートを畳んで収納すると、シートが低い位置に収納されてフルフラットとなるんです。ということで、ライバルと比較すると荷室の高さ方向への余裕が大きいんで、かなり大きな荷物(組み立て家具とかソファ)も積めちゃいます。

静粛性

エンジンノイズは控えめで、ロードノイズの抑え方もまずまず。クラス標準レベル以上の静粛性があります。

エンジンとトランスミッション

1339cc・直列SOHCエンジンに、CVTを搭載。
エンジンは、最高出力99ps/6000rpm、最大トルク12.8kgf・m/4800rpmを発揮。

車両重量1020kg。JC08モード燃費、21.0km/l。

エンジン

1.3リッターの自然吸気エンジンで前輪を駆動(FF)。

最大トルクを4800回転で発生していることからも分かる通り、どちらかといえば高回転型のエンジンです。ただし、組み合わされるトランスミッションが優秀なんで、低速域でもそんなにもっさりした感じにはなりません。街中など日常モードで使うなら必要十分。1020kgの軽量ボディを過不足なく走らせます。出足も良く軽快。実用燃費を向上させながら低速トルクと出力を向上させてる感じです。

といっても、さすがに「ECONモード」を選択するとちょっと「穏やかな」感じにはなります。まあ、こういったモードを選んどいて、「キビキビ走らないじゃないか!」なんて怒る人はいないでしょうけど。

それに、「ECONモード」のままでもアクセルを強く踏み込めば力強く加速しますし、「パワーモード」に切り替えれば、そこそこの坂道でもグイグイと駆け上がります。心配はいらないです。

燃費を向上させるため、エンジンブレーキは弱めに設定されてます。アクセルオフですぐに「滑空状態」になる感じです。といいつつ、時にエンジンブレーキが強く効く時もあって、少々ギクシャクした感じがしました。

トランスミッション

ベルトとプーリーによって無断階に変速するCVTを搭載。

走り出しに使うクラッチをギクシャクとしやすい「油圧式」から「トルクコンバーター式」に変更してます。先代フィットに比べると、走り出しがグッとスムーズになりました。

高回転型エンジンと組み合わされている割には、エンジン回転を無闇に高めないセッティングです。特に高速巡航では、早め早めにシフトアップを終わらせて、エンジン回転をなるべく低めに保ちます。そのおかげで車内はわりと静か、燃費効率も高いんです。

乗り心地とハンドリング

前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪には車軸式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、175/65R14。適度に引き締まったしなやかな乗り味です。

初代の突き上げ感の強さとか、ピョコピョコ跳ねがちな悪癖なんかはキレイに無くなってます。ボディ剛性の向上や、サス自体の改善とかが効いているんでしょう。

凸凹した路面を通過すると車内に衝撃を伝えがちですが、衝撃の角が丸いんで不快な印象はありません。上質なサスと硬いボディによって、嫌な周波数がキッチリと遮断されている感じです。

モデルチェンジでホイールベース(前輪と後輪の間)が長くなったこともあって、高速域での安定性が向上しました。横風とか轍の影響も最小限で、フラットな姿勢を維持して真っ直ぐに走ります。

ハンドリング

やや軽めのステアリングフィール。個人的にはもう少し重めの方が好きですが、駐車場や街中での切り返しなんかでは、こっちのほうが扱いやすいと感じる人も多いでしょう。まあ、このあたりは好みの問題もあるんで、気になる人は買う前にしっかりと試乗してみてください。

ドライバーの狙い通りにノーズが動いていく感じで、基本的な挙動は素直。軽いステアリングフィールと相まって、気持ち良く旋回していきます。

コーナリング中はロールも少なく、動きも予測しやすいんで、「グラついて不安」とか、「思うように曲がれない」なんてことはありません。曲がりくねったワインディグに持ち込んでも、安定した姿勢で走り抜けちゃいます。

最小回転半径は、4.7m。ホイールベースの割には小回りが効きます。ボディサイズも小さいんで、狭い路地での切り返しに苦労することもありません。

【試乗評価】のまとめ

「ホンダ フィット 13G(GE6・2代目)」は、5ドアハッチバックの国産コンパクトカーです。

大ヒット作となった「初代フィット」のコンセプトをそのまま受け継ぎつつ、「良いところは伸ばして欠点はつぶす」というそつの無い車作りが行われてます。

独創的な「センタータンクレイアウト」によって、取り回しの良いコンパクトなサイズと、広々とした室内、使い勝手の良さを両立した完成度の高いクルマになってるんです。使われている部品も初代からのキャリーオーバー(継続使用)が多く、コストが安く抑えられているってのもポイント。

初代にあった数少ない欠点、乗り心地の粗さとか、あいまいなステアリングフィールなんかも解消され、適度に引き締まった乗り味と、素直で運転のしやすいステアリングフィールを手に入れてます。

しかも、クリーンで近未来的なスタイリングには、ホンダならではの「クラスレスな魅力」があるんで、アコードやシビック、オデッセイなんかと並べても見劣りしません。

「今まで大きな車に乗っていたけど、取り回しの良さとかコスパを考えて次はコンパクトな車にしたい」とか「足車として小さめの車を探しているけど、室内はなるべく広い方が良い」なんて人にピッタリな車だと思います。

中古車市場では

2013年式「ホンダ フィット 13G(GE6・2代目)」で70万円前後(2019年4月現在)。古い車は状態のばらつきが大きいんで、過走行車(10万キロ前後
)を探せばもっと安くなります。

新車当時の価格

1,230,000円(消費税込み)

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ABOUTこの記事をかいた人

akiroo

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

現在、古い「試乗関連」の過去記事を全面書き換え中。その分、新しい記事の投稿が少なくなります(2018年4月〜)