車はスピードが速ければ速いほど、横風に流されやすいという特徴があります。速度が上がるとボディの下に風が流れ込み、僅かにボディが浮き上がってしまうからです。
浮き上がるといっても、実際にタイヤが路面から離れてしまうわけではありません。負圧によってボディが持ち上がり、タイヤに掛かるグリップ力が弱まるのです。
そのため、この状態で横から強い風を受けると、車はその風に対抗する力を十分に持つことができず、横に流されてしまうという訳です。
横風の発生を周りの景色から察知する
速度60km/hくらいで巡航する一般道では、風の強さによっては30cmくらい流されることは普通です。
これに対してさらに速度の増す高速道路では、一般道以上に風に流される危険が増します。強い横風の日であれば、数メートル横に流されても不思議はありません。
こんな突然の横風に対処するには、まず、周りの景色をしっかりと確認して、風の動きを把握しておく事が重要です。
風の強い日は、木々や草、店頭に設置してあるのぼりなど、風の強さに合わせて激しく揺れ始めます。風と共に雨や雪が降り出せば、車のウィンドウにバシバシと叩きつけられるように降り方が変化するのですぐに分かります。
さらにここから風が強くなると、大きな木が揺れたり、普段ビクともしないような鋼鉄製の信号機や街灯まで、ユラユラと不気味に揺れ始めます。
こうなったら無理は禁物です。速度を落としてゆっくりと走ってください。
横風の発生しやすい場所
横風の発生しやすい場所としては、「大きなビルの谷間から抜ける所」や「トンネルの出口」といったポイントがあげられます。
大きなビルの谷間から抜ける場所では、それまでビルによって遮られていた横風が急激に車へと吹き付けます。トンネルの出口でも同じように、山やトンネルによって遮られていた横風が急激に車へと当たる訳です。
こんな場所で急激な横風を受ければ、車は安定性を失って横方向へ大きく流されることになります。
横風が予想されるポイントでの安全な走り方
木々や信号機など周りの様子と、横風の発生しやすいポイント、この2つの情報があればかなり高い確立で横風を予想する事ができます。
そんな横風の予想されるポイントでは、十分に車を減速して、ステアリングを軽く押さえ付けながら、しっかりとグリップ全体を包み込むように握ります。握力だけを使って強くステアリングを握り込むと、肩に力が入りすぎて逆効果となりますので注意してください。
この態勢で車に強い横風を感じたら、ステアリングを車の流される方向と逆方向に少しだけ押し込みます。この時、慌てて強くステアリングを切りすぎてはいけません。強く切りすぎると車はかえって車線をはみ出したり、センターラインを超えたりといった危険な動きをしてしまいます。
あくまでもステアリングを軽く押し込むというのがポイントです。後は車の動きを見ながらステアリングを調整し、車の挙動が安定する速度までスムーズに減速します。
車の速度が十分に落ちれば、もう心配はいりません。そのままの速度で安全運転を続けてください。