タイヤは車の車重をはがき1枚分の面積で支えています。つまり、車には4つのタイヤしかありませんから、車の全車重をはがき4枚分で支えている事になります。
しかも車が動きだせばその車重だけではなく、エンジンから出力されるパワー、ブレーキング時の制動力、ステアリングを操作した時の操舵力など、さまざまな力を受け止める事になるのです。
こんな過酷な状況で使い続けられるタイヤは、5年(5万キロ)以上も経つと路面との摩擦によってツルツルとなってしまいます。加えて、紫外線や酸性雨、温度変化などの外敵要因によって劣化が激しく進みます。
こうなるとそのまま使い続けることはできません。数万円のコストを払って新しいタイヤに交換するしかありません。
しかし、この走行距離によって摩耗や劣化が進むというタイヤの特性は、中古車を選ぶ時の便利なバロメーターとなります。加えて、タイヤは外からも簡単に確認することができるため、知識や経験の少ない人でも比較的容易に車の状態を知ることができるのです。
まずはタイヤの製造年週を確認する
タイヤの状態から車の状態を推測するには、まず、タイヤの製造年週を確認します。
最近になってタイヤを交換している場合は、そこから得られる情報は少ないですが、新車登録時から登録されているタイヤの場合は、車の状態がそのままタイヤにも現れていることになるからです。
タイヤの製造年週を確認するには、タイヤのサイドウォールに刻印されている4桁の数字を見ます。例えば、「0112」の場合は下二桁の「12」が2012年、上二桁の「01」が第一週、つまり1月の初め頃を表しています。自動車の登録年が2012年の場合は、そのタイヤはほぼ新車の時に装着されたタイヤだと推定することができるのです。
もちろん、2012年の新しいタイヤを保管しておいて、2017年に装着するという可能性もありますが、中古車業者がそこまでのコストと手数を掛けるとは思えません。
走行距離のごまかしを見破る
以前もこのコーナーで紹介した通り、悪徳な中古業者の中にはメーターを巻き戻したり交換して、5万キロから10万キロ以上の「過走行車」を1万キロとか2万キロの極上中古車として販売する場合があります。
こんな時はタイヤの摩耗状態を確認してみましょう。1万キロ程度の走行距離にも関わらず、タイヤがズルズルに摩耗している場合は明らかに異常です。そんな時は業者に文句を言っても始まりません。体よく誤魔化されるだけですので他の販売店に移動しましょう。
ただしこのチェック方法が使えるのは、タイヤがズルズルに摩耗している場合です。タイヤが新品に交換されている時は、そのタイヤの状況から走行距離を推定することはできません。
もちろん、タイヤの製造年週と車の登録年が合っていて、走行距離が短くタイヤの山が充分に残っている場合は問題ありません。
タイヤの摩耗状態からアライメントの狂いを判断する
その他に、タイヤの摩耗状態からは車のアライメントの狂いも判断する事ができます。タイヤのトレッド面が均一に摩耗している場合は特に問題ありませんが、タイヤの内と外で極端に摩耗状態が違う場合はアライメントの狂いが疑われます。
アライメントが狂っていると、ハンドルを取られたり直進安定性が悪くなったりとまともに運転することができません。こんな時は、販売店に申し出てアライメント調整をしてもらいましょう。
タイヤの劣化や摩耗が著しく進んでいる場合
タイヤが走行距離に応じて摩耗している場合も、そのまま車を購入する前に一言タイヤの交換を交渉してみましょう。場合によっては、アジアンタイヤなど価格の安い新品タイヤに交換してくれる場合もあります。