今回の旧型レポートは「2代目 トヨタ ラクティス G」。
2010年から2016年に渡って製造販売されていた、コンパクトな5ドア・トールワゴンです。
3代目ヴィッツのプラットフォーム(基本構造)を元に、背の高いトールボディに組み上げられています。5ナンバーサイズのコンパクトカーでありながら、室内には広々とした空間が拡がります。
現在ラクティスの名を受け継ぐモデルはありませんが、実質的な後継車として「トヨタ・ルーミー」と「トヨタ・タンク」が販売されています。
また、スバル・トレジアはフロントフェイスとバッジを変えただけのOEM車です。
外観
全長3995mmX全幅1695mmX全高1585mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2550mmとなります。
先代よりもルーフが低くなり、全体的にエッジの立ったシャープな外観が与えられています。
フロント
短いノーズに、シャープなデザインのヘッドライトとフロントバンパーが組み合わされます。凝縮感のあるスポーティな外観です。ベースとなった3代目ヴィッツよりも、明快でカッコいいスタイリングです。
サイド
ノーズとルーフが一体となったスポーティなワンモーションフォルム。コンパクトなボディに大きなキャビンスペースが組み上げられ、一見すると軽自動車のようにも見えます。
リア
大地を踏みしめるように張り出したリアフェンダーと、小さく絞り込まれたキャビンにより、力強い塊感が表現されています。
内装
プラスチックの質感が丸出しのチープな内装。デザインが煩雑でまとまりがないため、座っていると落ち着きません。もうちょっとリズム感や、ラインの曲がり方に共通性を持たせるだけで、随分と落ち着いた印象になるはずですが。なぜか最近のトヨタはこういったデザインがお好きなようです。
ボディの見切りが良く、見晴らしも広々としているため、運転はしやすいです。
シート
ルーフが低くなったとはいえ、先代同様、室内には広々とした空間が確保されています。
フロントシートは、適度な硬さはあるものの肝心なところにコシがないため、長時間座っていると腰や首が痛くなります。とはいえ、中距離(30km)程度の移動であれば大きな問題ありません。
リアシートの座面、シートバックの高さともに、充分なサイズが確保されています。足元、頭上空間にも程よいゆとりがあり、大人二人が適切なシートポジションで座れます。
荷室
広々とした巨大な荷室空間が確保されています。家族4人であればキャンプ遊びも充分可能です。
さらに、レーバー操作ひとつでリアシートを床下に収納すれば、ステーションワゴンのように広々とした荷室が出現します。
静粛性
エンジン透過音は小さめですが、ロードノイズが気になります。
エンジンとミッション
1496ccの直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、109ps/6000rpmの最高出力と、14.1kgf・m/4400rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1110kg。10モード/10・15モード燃費は、20.0km/l。JC08モード燃費は18.4km/l。
エンジン
1.5Lのツインカムエンジンで前輪を駆動。低速からフラットなトルクを発生する扱いやすいエンジンです。エンジンそそれほど回さなくても充分なパワーが得られるため、エンジンノイズやバイブレーションが増大することはありません。
この他に1.3Lエンジンも用意されますが、フル乗車で坂道を駆け上がるようなシーンではパワー不足を感じます。ただし、街中であれば、この小さなエンジンでも不足はありません。
トランスミッション
ベルトとプーリによって連続的に変速するCVTを装備。レスポンスをスポーティに変更する「SPORT」モードと、擬似的にマニュアルシフトを可能にする機能が備わります。ただし、エンジン回転と車速がリンクしないため、スポーティ感はいまひとつです。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
若干引き締まったスポーティな乗り味。といっても快適性を損なうほどではありません。高速域ではやや不安定な印象です。
ハンドリング
しっかりとした手応えのある、自然なステアリングフィールです。ドライバーの操作に対して、正確に反応して旋回します。
小回り性能が高く、狭い路地でも簡単に切り返すことができます。
評価のまとめ
よくできたヴィッツの基本骨格をベースに、高効率のトールワゴンボディが組み付けられ、広々とした室内とコンパクトな外観を両立しています。
力強いエンジンと素直なハンドリングを持つ、完成度の高いクルマです。といってもファンカードのような、ユーモラスな個性はありません。あくまでも「真面目で効率性を追求した移動ツール」という枠内に収まります。
そのため、「ヴィッツではちょっと荷室や室内が狭い」とか、「コンパクトで効率に優れたパッケージングのクルマを探している」という人にピッタリなクルマです。
具体的には、「子育て世代のお母さんが、買い物や子どもの送り迎えに使う」とか、「若い人が通勤や通学に使う」といったシーンに合いそうです。
価格
新車当時の価格 | 1,680,000円(消費税込み)