シトロエン ZX シュペール【試乗評価】程よく薄まったシトロエンのエスプリ [E-N2DK]

今回の試乗レポートは「シトロエン ZX シュペール」。
1991年から1997年に渡って製造販売されていた、コンパクトな5ドア・ハッチバックです。日本市場では、マツダ系のユーノス店と西武自動車販売により、1992年から販売されています。

プラットフォームにはプジョー205と同じモノが使われ、そこにパッケージングに優れた効率の良いボディが組み合わされます。

このモデルの他に、「クーペ」の3ドアハッチバックと、「ブレーク」と呼ばれるステーションワゴンが存在していました。

コストダウンと効率化のため、シトロエン独自の凝ったメカニズムは省略され、日本車のようなシンプルな構造にまとまられています。その結果、シトロエンとしては故障の頻度が異例に低くなり、当時の日本市場でもそこそこの人気を得ていました。

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外観

全長4085mmX全幅1690mmX全高1390mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2540mmとなります。

この「ZX」は、エントリーモデルの「AX」と「BX」の間を埋めるため、開発されたコンパクトカーです。そのため、外観もそのちょうど間といった印象です。

「BX」のような強い個性はありませんが、「AX」のように簡素でもありません。ほどよくシトロエンのエスプリを感じさせる、シンプルなおしゃれ加減が絶妙です。

フロント

緩やかな直線で描かれたフロントノーズに、角型のシンプルなヘッドライトが組み合わされます。これだけシンプルなラインで構成されているにも関わらず、「おっ、シトロエンだ」と感じさせるのは流石としか言いようがありません。販売から25年以上経過した現在でも、充分モダンなスタイリングです。

サイド

大きなキャビンに、ちょっと先端が浮き上がったようなノーズ、傾斜の強いDピラー(前から4番目の柱)が特徴的です。カクカクとした直線で構成されながらも、全体の印象はまろやかでモダン、ちょっとユーモラスです。

リア

強く傾斜したリアウィンドウにヒップアップされたリアエンド、角型のリアコンビランプが組み合わされ、近未来を感じさせるスポーティなリアビューです。

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内装

テカテカとしたプラスチッキーな質感ですが、シトロエン独自の近未来的なデザインが与えられ、貧乏くさい印象はまったくありません。

プジョー205と共通のプラットフォームを持ちながらも、優れたパッケージングにより室内には広々とした空間が拡がります。見切りの良いボディと広々とした視界を持つ、運転のしやすいクルマです。

シート

フロントシートには、柔らかな表皮とコシのあるクッションが組み合わされます。モチっとした感触の快適な座り心地です。

リアシートにも、フロント同様、快適なシートが装備されます。足元、頭上空間ともにしっかりとスペースが確保されており、成人男性二人が余裕を持って座れます。

荷室

若干底が浅いものの、そこそこの容量が確保されています。家族4人であれば、2泊3日旅行くらいは充分可能です。

静粛性

エンジン回転が高まりにくいため、エンジン透過音は低く抑えられています。ロードノイズ、風切音は標準的なレベルです。

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エンジンとミッション

1904ccの直列4気筒OHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、120ps/6000rpmの最高出力と、15.6kgf・m/3000rpmの最大トルクを発揮します。

車両重量1120kg。10モード/10・15モード燃費は、7.1km/lとなります。

エンジン

1.9Lの4気筒エンジンで前輪を駆動。低速から力強いトルクを発揮するため、日常領域での不足はまったくありません。

トランスミッション

トルコン式の4速ATを装備。たっぷりとした低速トルクを活かして、エンジン回転を低めに保ちます。スムーズかつダイレクトなトランスミッションです。

足回りとハンドリング

前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトレーリングアーム式サスペンションが装備されます。

足回り

この当時のシトロエンとしては珍しく、「ハイドロニューマチック」と呼ばれる油圧式サスペンションは装備されていません。一般的な金属バネ式のサスです。

足回りは、若干引き締まった印象でスポーティな乗り味。「ハイドロニューマチック」のような極上のフィールは感じられませんが、金属バネとしては充分しなやかで快適です。

ハンドリング

キビキビとしたスポーティなハンドリング。コーナリングでは安定した姿勢を保って旋回を続けます。

評価のまとめ

コストダウンと効率化のため、シトロエン独自の凝ったメカニズムは随分省略されています。

といっても、シトロエンのエスプリが完全に失われたわけではありません。そのおしゃれでモダンなスタイリングは、現代でも充分に通用する完成度の高いものです。

また、エンジンにはたっぷりとした低速トルクがあり、切れ味の良いハンドリングも楽しめます。加えて、優れたパッケージングにより室内には快適な空間が維持されています。

独身者が通勤のために購入しても良いですし、リタイヤした高齢者が普段の足として乗っても素敵です。

価格

新車当時の価格 | 2,850,000円

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)