ステアリング機構は、ブレーキと同様、運転中に不具合が起きると取り返しの付かない大きなトラブルにつながります。
中古車を購入する場合は、前のオーナーの使い方によって大きく劣化が進んでいることも考えられます。そういった事もあって、ステアリング機構は重点的にチェックしておきたいパーツのひとつなのです。
まずは販売店の敷地内で、大きく左右にステアリングを切ってみる
ステアリング機構のチェックを行うには、路上に持ち出して試乗をするのが一番です。
まず、車のエンジンを始動したら、販売店の敷地内で左右一杯まで、ステアリングを切ってみます。この時、僅かに前進しながら行うのがコツです。完全な停止状態でステアリングを限界まで切ってしまうと、ステアリング機構やタイヤに無用の負荷を掛けることになるからです。
いくら自分の車じゃないからといって、車を乱暴に扱うのはマナー違反です。また、その車を気に入った時は、自分の車に故障の原因を作ることにもなります。中古車のチェックといえども、丁寧に扱う事が大切です。
ステアリングを左右いっぱいまで切った時、「シャー」という流体音が聞こえる場合は、ステアリングオイルの作動音ですから問題はありません。ただし、これ以外の異音が聞こえる場合は、ステアリング機構になんらかの異常がある可能性が高いです。営業マンに相談して修理してもらってください。修理を断られるようであれば、そんな業者で車を買う必要はありません。
通常走行時のステアリングフィールのチェック
販売店の敷地内で特に問題が無ければ、そのままゆっくりと公道に乗り出します。
始めはゆっくりと周りの車に合わせて走ってください。その中で右左折や軽いブレーキングを行い、ステアリング機構に異音やゴトゴトとした振動、左右にステアリングを取られないかじっくりと観察してください。
左右にステアリングを取られる場合は、ステアリング機構の不具合だけでなく、タイヤ空気圧の不均衡やアライメントの乱れなど様々な原因が考えられます。
また、ステアリングが思ったように切れない場合も、何らかの不具合が考えられます。特に事故によってステアリング機構にダメージを負っている場合は、修理のために大きな出費をともないますので、修理してもらえない場合は購入を控えてください。
急ブレーキング時のステアリングチェック
通常走行時のステアリングフィールのチェックが終われば、次は急ブレーキング時のステアリングチェックを行います。
まず、巡航状態からキツ目にブレーキを踏み急減速を行います。この時、左右にステアリングを取られて、まっすぐに停止出来ない場合はステアリング機構か、もしくはブレーキになんらかの不具合があります。普段は感じられない振動なども要チェックです。
このチェックは、周りに車の無い見通しの良い広い道で行ってください。こういった道が無い場合は、無理に行う必要はありません。
最後に何度か切り替えして、バックで駐車してみる
最後に販売店に帰ってきたら、何度か切り返しをして、バックで駐車スペースに駐車してみましょう。ゆっくりとした速度で、何度もステアリングを切りかえしていると、「コリッ」とした奇妙な手触りを感じたり、普段耳にする事の無い異音を耳にすることがあります。
こういった場合もその状況を営業マンに伝え、「購入の前に修理を行えないか」、「延長保証を付けることができないか」交渉してみましょう。