ワンボックスと言われるタイプの車は、一見ミニバンと似ていますが、その構造はまったく違います。
ミニバンは、フロントノーズにエンジンルームがあり、その後ろに居住空間や荷室空間が確保されるボディ形式です。これに対してワンボックスは、運転席の下にエンジンルームがあるため、ミニバンのようにボディ前面に突き出した構造物がありません。その結果、エンジンと居住空間、荷室空間のすべてが一つの箱の中に収まる構造をしています。
メリットとしては鼻先が無い分、広々とした居住空間や荷室を確保することができます。デメリットとしては、運転感覚が特殊で乗り心地が悪い、といった事があげられます。
ワンボックスを使った車中泊は、広大なフロアが大きな魅力
ワンボックスは、商用車がベースとなるため、シートの座り心地は今ひとつです。ただし、セカンドシートが簡易なベンチシートとなるため、簡単に折りたたむことができます。本来、ワンボックスは沢山の荷物を積んで運ぶために考えられた車です。そのため、セカンドシートを折りたたむだけで、フラットなフロアと広大な荷室スペースを作り出すことができます。
車中泊に使う場合は、この広大なフロアが大きな武器となります。フロアに直接エアーマットを敷くだけで、すぐにベッドルームとして使うことができるのです。ミニバンのように、クッションで隙間を埋めたり、シートをフラットにする必要もありません。
また、エアーマットを敷いても、その下にシート自体がありませんので、室内高を損なう事もありません。立ったままの移動も簡単です。
就寝可能人数は、大人二人+子供二人の計4人
ミニバンよりも室内に余裕があるといっても、就寝可能人数が増えるわけではありません。ただし、大人一人に対する室内スペースは大きくなりますので、ゆったりと快適に眠ることができます。
また、ミニバンと同じように、パイプやフレームで組んだ簡易二段ベッドを大人の足元に組み上げれば、大人二人+子供二人の計4人で就寝することも可能です。
ハイエースの場合、乗車人数は、3人乗りから6人乗り、9人乗りまであります。就寝可能人数とシートアレンジの簡便性を考えると、6人乗りがオススメです。
荷物を沢山積むことが出来る
室内空間に余裕があるため、ミニバン以上に沢山の荷物を積むことができます。また、フロア自体にエアーマットを敷くのではなく、パイプや木材で高台を組んでその上に床を作れば、床の下に大きな荷室スペースを確保することもできます。
また、ワンボックスには屋根の高い「ハイルーフタイプ」もあります。このタイプのワンボックスを使えば、屋根の下に荷室スペースを作ることも可能です。また、ルーフ自体も大きく長いので、ルーフボックスやキャリアも余裕を持って設置することができます。
といっても、これだけのスペースを全て荷物スペースとして使ってしまうと、当然ながら車重が大幅に増え、操縦安定性や燃費が極端に悪化してしまいます。荷室スペースを作る時は、このあたりのバランスも考慮に入れて設計する必要があります。