今回の旧型レポートは「初代 スバル ジャスティ マイム(1992年)」。
1984年から1994年に渡って製造販売されていた、コンパクトな5ドア・ハッチバックです。
軽自動車の「スバル・レックス」をベースに開発され、フロアを引き伸ばしてコンパクトカーに仕立てられています。
このFF・5ドアハッチバックの他に、4WDモデルや3ドアハッチバックもラインナップされていました。
1988年にビッグマイナーチェンジが行われ、フルモデルチェンジに近いスタイリングの変更が行われています。
外観
全長3695mmX全幅1535mmX全高1420mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2285mmとなります。
軽自動車のスバル・レックスをベースに開発されているため、その当時のコンパクトカーとしても少し小さめのボディを持ちます。
フロント
しっかりと立ち上がったAピラーに、直線的なノーズ、小じんまりとした角型ヘッドライトが装備されます。初代レガシィに通ずる、真面目で端正なフロントフェイスです。
サイド
短いホイールベースに、シンプルな台形型のキャビンが組み合わされ、キビキビとした軽快感と可愛らしさを感じさせるサイドビューです。
リア
大きなリアウィンドウに、小さなリアコンビランプと若干尻下がりのリアエンド、直線基調で構成された道具感あふれるリアビューです。
内装
1980年代の日本車によく見らる、シンプルな直線で構成されたプラスチッキーな内装です。
ベース車輌に軽自動車が使われているため、大人4人が乗るには少し窮屈な印象です。
シート
体圧がグッと一部に集中する疲れやすいシート。短距離(10km)程度の移動であれば問題ありません。
後席はCピラーが大きく傾斜していることもあり、大人が座るには少し狭い印象です。成人男性の場合は、頭がルーフに接触してしまうかもしれません。
荷室
軽自動車レベルの荷室容量。それでも、家族4人で1泊旅行くらいであれば充分に可能です。
静粛性
エンジン透過音、ロードノイズ、風切音ともに盛大に車内に侵入を許します。
エンジンとミッション
1189ccの直列3気筒OHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、73ps/6000rpmの最高出力と、10.0kgf・m/3600rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量800kg。10モード/10・15モード燃費は、15.6km/lとなります。
エンジン
当初、このジャスティには、1.0Lエンジンが搭載されていましたが、ユーザーからパワーに関する要望が沢山寄せられたため、3バルブ化された1.2エンジンに換装されています。
そこそこ低速トルクのあるエンジンと、ダイレクト感に乏しいCVTが組み合わされ、なんとなくモア~と力強く走ります。マニュアルトランスミッションを選択すれば、コンパクトなボディを活かしてさらにキビキビと走れるはずです。
トランスミッション
量産車としては世界初の搭載となる、無段階変速機の「CVT」が搭載されます。ただし、この高価なトランスミッションが原因となって、クラス平均以上の価格となっています。
足回りとハンドリング
前後ともにストラット式サスペンションが装備されます。
足回り
長い年月を掛けて地道に改良を積み重ね、クラス標準レベルの直進安定性と乗り心地を得ています。
ただし目地段差では、ゴツゴツと不快な衝撃を車内に伝えます。
ハンドリング
パワーステアリングが装備されていないため、ステアリングが異様に重いです。
ダイレクト感あふれるステアリングフィール。操舵に対する反応も素直で、大きな違和感を感じさせる事はありません。
評価のまとめ
長いモデルライフの中で熟成を重ね、こなれた走りと乗り心地、よくまとまった外観を持つ正統派のコンパクトカーに仕上がっています。
軽自動車をベースに開発されたため、ライバルよりも小さなボディは、狭い市街地で足代わりとして使う人には大きな魅力となります。
ただし、当時ライバル他車がドンドン新しい車を刷新してくる中、古色蒼然としたこのジャスティスではあまりにも古すぎます。
この後、新型ジャスティスも計画されていましたが、経営資源の限られた富士重工では新しいコンポーネンツを開発する事は難しく、計画は立ち消えとなってしまいました。
それから時を経て、現在、20年ぶりに「2代目ジャスティス」が発売されています。軽自動車をベースに開発されたコンパクトカーという成り立ちも良く似ています。
ただし、これはダイハツからOEM供給されるコンパクトカーです。厳密には初代ジャスティスとの繋がりはありません。
価格
新車当時の価格 | 1,026,000円