今回の試乗レポートは「2代目 トヨタ ラウム Gパッケージ(2004年)」。
2003年から2011年に渡って製造販売されていた、5ドアのマイクロミニバンです。
エンジン、サスペンションなど、シャシーの一部を初代ヴィッツと共有しています。
「ユニバーサルデザイン」をテーマに車作りが行われており、老若男女あらゆる人にとって使いやすいよう、様々な配慮が施されています。
外観
全長4045mmX全幅1690mmX全高1535mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2500mmとなります。
嫌味の少ない実用的なデザインでそつ無くまとめられています。
フロント
厚みのあるフロントノーズに、大らかなラインで構成された大型ヘッドライトが装備されます。嫌味のない穏やかな表情のフロントフェイスです。
サイド
ズングリしたボディに大きなキャビンが組み合わされます。ちょうどミニバンとハッチバックの中間にあたるシルエットです。
リア
ぐるりとDピラー(一番後ろの柱)を回り込むようにレイアウトされたリアウィンドウに、角型のリアコンビランプが組み合わされ、塊感のあるドッしりとしたリアエンドです。初代カローラ・フィールダーとの共通点が、あちらこちらに垣間見えて興味深いです。
内装
コラムシフトが装備され、左右でウォークスルーが可能です。合理的に整理された清潔感のあるデザイン。巨大なセンターメーターが中央に装備され、使い勝手もばっちりです。
マイクロミニバンの中では、比較的広々とした室内を持ちます。見晴らしがよくボディの見切りも良好です。
両側にスライドドアが装備されますが、左側だけはセンターピラー(前ドアと後ろドアの間にある柱)が無いため、前と後ろのドアを同時に開けると広大な開口部が拡がります。そのため、ベビカーの出し入れや小さな子供の乗り降り、大きな荷物の上げ下ろしが簡単に行えます。
シート
たっぷりとしたサイズとストロークを持った座り心地の良いフロントシート。中距離程度の移動であれば大きな問題はありません。
リアシートはクッションが薄く、硬い座り心地。後席には成人男性が座れるだけの充分なスペースが確保されています。
荷室
マイクロミニバンとしては、たっぷりとした奥行きのある荷室が用意されます。リアシートを倒すことで、さらに広い荷室として使うこともできます。
ただし、リアゲートが横に開くタイプなので、後ろに壁があるとちょっと使いにくいです。
静粛性
日常領域では比較的静かです。クラス標準レベルの静粛性です。
エンジンとミッション
1496cc直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、109ps/6000rpmの最高出力と、14.4kgf・m/4200rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1150kg。10モード/10・15モード燃費は、16.2km/lとなります。
エンジン
1.5Lのツインカムエンジンで前輪を駆動します。中低速域からフラットな力を発揮するエンジンに、効率の良いトランスミッションが組み合わされ、日常領域ではスムーズでそつの無い走りを披露します。
急な坂道や加速を必要とする合流ポイントでは、力が不足してガーガーとエンジン音が高まります。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。前後ともにスタビライザーで強化されています。
足回り
柔らかで快適な乗り心地です。路面の段差を通過しても嫌な衝撃を車内に伝えることはありません。
ハンドリング
楕円形のステアリングが装備され、ドライバーが乗り込みやすいように配慮されています。
ステアリングは軽く操作のしやすいセッティングです。ただし、フィールがぼんやりしているため、操る楽しさはありません。
評価のまとめ
「ユニバーサルデザイン」がテーマとされるだけの事はあり、誰が使っても使いやすい様々な配慮が施されています。室内空間、荷室ともにこのクラスのマイクロミニバンとしては余裕のある広さを持ちます。
必要十分のパワーを持ち、クセのない乗り味により運転も快適です。
ちょっとスタイリングにアクがなく、個性が無い点が気になりますが、車を完全に道具として割り切って使う人にとっては、大した問題ではないでしょう。
小さい子どもの送り迎えや日常の買い物用として、または現役を引退した高齢者の足代わりとして、広くオススメしたい車です。ただし、「車に運転の楽しさを求める」という車好きの人にはオススメできません。
あくまでもこの車は使い勝手の良い実用車なのです。
価格
新車当時の価格 | 1,698,900円(消費税込み)