今回の旧型レポートは「2代目 日産 プレサージュ X(2004年)」。
2003年にモデルチェンジが行われたMクラスの5ドアミニバンです。
Mクラスセダンのティアナをベースに開発され、両側には便利なスライドドアが装備されます。
2009年、3代目エルグランドに統合される事で、同時に製造・販売も終了しています。
外観
全長4840mmX全幅1800mmX全高1685mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2900mmとなります。
フロント
ベース車両のティアナを彷彿とさせる、直線基調の都会的なフロントフェイス。
サイド
ロングホイールベースに巨大なキャビン。低いルーフが組み合わされ、伸びやかさと重厚感のバランスした美しいシルエットです。サイドからちらりと見えるリアコンビランプが、リアエンドを端的に引き締めています。
リア
ワイド&ローのスポーティなリアエンド。重心の高いリアコンビランプと相まって、抜群のリズム感を産んでいます。シンプルで明快かつ上質、この当時の冴えに冴えた日産デザインを垣間見た思いです。
内装
センターコンソールには、円柱を輪切りにしたような面白いデザインが施されています。デザイン自体はシンプルで合理的、使い勝手の良いインテリアです。
先代の高さのあるフロアから、乗用車ベースの低床フロアへと変更されています。そのため、乗降性などの使い勝手が向上しています。
シート
適度にコシのあるクッションに上質な表皮が組み合わされ、しっとりとした快乗り心地。大きなボディを活かして、ゆったりとした居住空間が確保されています。
セカンドシートは乗員の周りに快適なゆとりを確保するキャプテンシート(独立シート)です。左側のシートを右にスライドすれば、サードシートへのアクセスも楽々です。
サードシートには、平板でストロークの短いクッションが装備されます。シート自体のサイズも小さいため、緊急用として割り切った使い方が必要です。
ヘッドレストを取り外すことで、フルフラットシートも可能です。ロングドライブでちょっと休憩したい時、小さな子どものいる家族連れには嬉しい機能ですね。
荷室
サードシートが装備される割に、荷室にはたっぷりとした容量が確保されています。奥行きはそれほどありませんが、高さがあるため、積み方を工夫するだけでかなりの荷物を積むことができます。家族4人で2泊3日旅行も可能です。
セカンド、サードシートを折りたためば、大きなワンボックスカーのような使い方もできます。
静粛性
エンジンノイズが静かに保たれている事もあり、車内の静粛性は上々です。
エンジンとミッション
3498ccのV型6気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、231ps/5600rpmの最高出力と、34.0kgf・m/2800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1770kg。10モード/10・15モード燃費は、9.1km/lとなります。
エンジン
3.5LのV6エンジンで、前輪を駆動します。低速からたっぷりとしたトルクが立ち上がるため、少々の坂道くらいでへこたれる事はありません。パワフルでスムーズなエンジンフィールです。
トランスミッション
たっぷりとしたトルクを活かして、ゆるゆるとスムーズに変速します。エンジン回転を高めることが少ないため、ノイズが高まることもありません。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
しなやかなサスにがっちりとした高剛性ボディが組み合わされ、快適な乗り心地を実現しています。高速域での安定性も高いです。
ハンドリング
緩慢な反応を示すステアリングフィールです。実用上の問題ありませんが、操る楽しさといったものはほとんど感じられません。
評価のまとめ
Lクラスミニバンとしては低いルーフ。ワイド&ローのゆったりとしたボディが相まって、重厚感のあるスポーティなシルエットを構成しています。
室内は広々として乗り心地も上質。トルクのあるスムーズなエンジンが組み合わされ、乗員には快適な空間が約束されます。ただし、ドライブフィールは緩慢でダル。エンジンはパワフルですが、操る楽しみはありません。
そのため、なによりも運転が好きという人には向きませんが、「大切な家族をゆったりと包み込むように運びたい」と願う優しいお父さんにはこれ以上ない一台となります。
価格
新車当時の価格 | 2,887,500円(税込み)