今回の旧型レポートは「初代 ボルボ V40 2.0T(1997年)」です。
このV40は、1995年にデビューしたMクラスの5ドア・ステーションワゴンです。
三菱自動車とボルボ、オランダ政府の三者共同で設立した「ネッドカー」で開発され、ボルボからは「V40」として、三菱自動車からは「カリスマ」として販売されていました。
内容はほとんど同じ車にもかかわらず、ボルボ向けは60%、三菱自動車向けは40%と販売比率に大きな開きがありました。両車ともにオランダ工場で生産されます。
外観
全長4485mmX全幅1720mmX全高1450mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2550mmとなります。
オーソドックスな形状のステーションワゴンです。
フロント
角型ヘッドライトと角型グリルが装備され、かつて日本でステーションワゴンブームの火付け役ともなった、「850エステート」を彷彿とさせるようなスタイリングです。
サイド
長いフロントオーバーハングに、大きなキャビンが組み合わされます。張りのあるボディパネルと、丁寧な曲線で構成されたウィンドウグラフィックスによって、モダンかつスポーティなサイドビューを形作っています。
リア
直線で形成されたリアエンドに角型のリアコンビランプが組み合わされます。端正な重厚感と適度な俊敏さを感じさせるリアビューです。
内装
しっとりとした高級感のあるプラスチック素材に、上質な本皮シートが組み合わされます。シンプルでありながら、丁寧な曲線で形成されているため、なんともいえない上品な雰囲気があります。
アップライトな姿勢で座るため、アイポイントが高く運転のしやすいレイアウトとなっています。ただし、ステーションワゴンは遠い位置に小さなリアウィンドウが装備されるため、若干後方視界が確認しにくいです。
シート
むっちとした張りのあるいかにも座り心地の良さそうなフロントシートです。実際の座り心地も良く、どっしりとした重厚感のある快適なシートです。
リアシートの座り心地も文句ありません。ただし、足元のスペースが少し狭いのが気になります。
荷室
ステーションワゴンづくりに長けたボルボのエステートですから、荷室スペースには使い勝手の良い形状と、広大なスペースが確保されています。家族4人のキャンプでも平気でこなすことができます。
静粛性
若干ロードノイズが大きいですが、エンジンノイズや風切音はよく抑え込まれています。
エンジンとミッション
1947ccの直列4気筒DOHCターボエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、160ps/5100rpmの最高出力と、23.5kgf・m/1800-4800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1380kg。10モード/10・15モード燃費は、9.2km/lとなります。
エンジン
2.0Lのツインカムターボエンジンで、前輪を駆動します。ロープレッシャーターボで過給され、低速からたっぷりとしたトルクを発生します。力強さと燃費が高い次元でバランスした塚勝手のいいエンジンです。
同じプラットフォームを使った「ボルボS40シリーズ」には、三菱自動車製のGDIエンジンが搭載され、将来の厳しい環境基準を見据えたクルマ作りが行われています。
トランスミッション
中低速トルクのたっぷりとしたエンジンと組み合わされ、スムーズで力強い加速を行います。エンジン回転をあまりあげる必要がないため、結果的に高い燃費効率を誇ります。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
適度に引き締まった重厚感のある乗り心地です。高速域ではさらに安定感を増します。
ハンドリング
切った分だけ正確に向きをかえる素直なハンドリングです。
評価のまとめ
同時期に生産されていた「メルセデスベンツCクラス」に近い値つけが行われています。ほぼ同じ内容の「三菱自動車カリスマ」が100万円以上安いことを考えると、その値段差は全て「ボルボ」というブランド価値に対して支払われるコストという事になります。
実際に市場でもボルボ製のV40の方が圧倒的に売れており、三菱自動車のブランド価値の低さには悲しいものがあります。逆に言いうと「カリスマ」はV40そのものですから、内容を分かって買う人には大変お得な車となります。
ボルボは安全対策に力を入れている企業です。そのデータの蓄積には長年の膨大なアドバンテージがあります。当然ながらこのV40にもそのノウハウが惜しみなく投入されていますから、何よりも安全を重視するという人にはオススメの車です。
その上で、ボルボのブランドとグリルに価値を見出す人には「V40」を、なるべく安く買いたいという人には「カリスマ」をオススメします。
価格
新車当時の価格 | 3,750,000円