今回の旧型レポートは「2代目 日産 プレーリー J7(M11)」です。
この日産プレーリーは、1988年にモデルチェンジが行われ、その後1998年まで生産が続けられたMクラスのFFミニバンです。
先代のプレーリーは国産車として初めて製造されたミニバンとして、センターピラーレスドアや、オフセットされたリアサスによる低床レイアウトなど革新的な構造を持っていました。
この2代目プレーリーではその革新的な構造は活かされないものの、現代の一般的なミニバンに繋がる普遍的なスタイリングを確立しています。
外観
全長4350mmX全幅1690mmX全高1625mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2610mmとなります。
旧型の泥臭いイメージから一新され、現代的なワンモーションフォルムを持ちます。
ただ、このスタイリングは当時の消費者からあまり支持を集めることができず、1995年のマイナーチェンジによってノーズのハッキリとしたフォルムにフェイスリフトされています。
フロント
ノーズとAピラーがスムーズに一体化したモダンなスタイリングに、角型の小さなヘッドライトが装備されます。旧型の野暮ったいイメージを一新するスタイリッシュなフォルムです。
サイド
初代プレーリーのスタイリングは、セダンとワンボックスを足して2で割ったような奇妙な形をしていました。この2代目ではスタイリングの落とし所が大分掴めてきたとみえ、ごく一般的な6ライトのミニバンボディを構築しています。
リア
ボクシーなフォルムの低い位置に薄型のリアコンビランプが横一列にレイアウトされ、安定感のあるモダンなスタイリングです。
内装
1980年代の日本車特有のチープで直線的な内装デザインです。その分、奇妙な工夫もされていないので、使い勝手は良好です。
シート
しっかりとした座り心地の良さそうなシートがレイアウトされます。スプリング、クッションともにいまひとつで、長時間座っていると腰が痛くなります。
この世代のミニバンとしては珍しく、3列シートによる7人乗りが実現されています。ただし、パッケージングのツメが甘く、ぎっしりと詰め込まれている感じが強いです。3列目シートは小さく薄いため、緊急用と割り切った使い方が必要です。
荷室
リアオーバーハングが短いため、荷室容量は限定的です。
その後1995年のマイナーチェンジにより、リアオーバーハングが拡大され、室内スペースと荷室が拡大されています。
静粛性
乗用車用プラットフォームがそのまま使われているため、リアタイヤ周りからのロードノイズの進入があります。エンジンノイズも大きいため、室内の静粛性は今ひとつです。
エンジンとミッション
1973ccの直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、91ps/5200rpmの最高出力と、14.8kgf・m/2800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1310kgで、10モード/10・15モード燃費は、10.0km/lとなります。
エンジン
設計の古い2.0Lエンジンが搭載されます。しっかりとしたトルクが低速から立ち上がるため、使い勝手は良好です。
ただし、ノイズとバイブレーションが大きく、ライバル他車と比較すると古さはいなめません。
トランスミッション
エンジンをしっかりと回して適切なトルクを取り出す設定がほどこされているため、かえってエンジンの低級ノイズが目立ちます。
足回りとハンドリング
前輪にトランスバースリンク・ストラット式サスペンション、後輪にはパラレルリンク・ストラット式サスペンションが装備されます。
足回り
ただ軟らかいだけのサスに大きなボディが乗せられるため、段差の衝撃を一発で収めることが出来ず、フワフワと落ち着きません。
ハンドリング
ゆったりとしたロールを伴ったプアなハンドリングです。ステアリング量に応じて緻密に向きを変えるようなリニアなフィールはありません。車を運転する楽しさはありません。
評価のまとめ
乗用車用のプラットフォームをそのまま流用しているため、室内、荷室容量ともにミニバンとしては狭めです。このあたりは、ミニバンのノウハウがまだ蓄積されていなかったのが理由でしょう。
ただし、その分スタイリッシュに設計を振っており、現代にも通じるようなかっこいいボディを持ちます。
狭いながらも7人がなんとか乗れるシートが装備され、発売当時は大きな話題となっていました。その後、パッケージ効率に優れる7人乗りミニバンが次々に現れ、このプレーリーのアドバンテージも除々に失われていくことになります。
価格
新車当時の価格 | 1,959,000円