パッシングには「お先にどうぞ」という意味の他に「俺の前に入るな!」という警告の意味があるという事は、前回の『パッシングによって「お先にどうぞ」を伝えるには【運転のコツ】』で紹介しました。
今回は、これ以外に暗黙のサインとして使われているパッシングをいくつか紹介したいと思います。
追い越し車線で後ろから浴びせられるパッシング
高速道路の追い越し車線は、走行車線を走っている車を後ろから追い抜くために設置されている車線です。そのため、通常であれば走行車線を走っている車より少し速いペースで走っていることでしょう。
こんな時、後ろから猛スピードで追い上げてくる車が、「どけどけ!」と言わんばかりにパッシングを浴びせかけてくることがあります。
追い越し車線を走りながら前車に「道を譲ってください」と伝える方法には、「右ウインカーを出しながら走る」というものがあります。しかし、パッシングで同じ意味を伝える時は、右ウインカーよりも強い意味が込められています。さしずめ「俺の前を走るな!」といったところでしょうか。
自分はすでに法定速度プラスアルファで走っているのに、こんな乱暴なメッセージを送られたらちょっと腹が立ってしまいますね。しかも相手は法定速度を大きく超える暴走運転です。
ただ、腹が立つからといっていつまでもブロックしていれば、自分が危険にさらされるばかりで何の得もありません。こんな時は素直に道を譲るのが一番です。これは、普通の道を走っていて後ろから煽られた時も同じです。
まぎらわしい右折待ちのパッシング
前回も紹介したように、一般道で右折待ちの時、渋滞している対向車から軽くパッシングをされた場合は、「お先にどうぞ」という意味になります。
これに対して、対向車線が通常の速度以上で流れている時、対向車からパッシングされた場合は、「俺の前を横切るな!」という全く逆の意味になります。こんな時にうっかり右折してしまえば、何台も車を巻き込む多重事故になりかねません。
特に相手のパッシングが軽めで分かりづらいとか、対向車線の流れが中途半端に遅いといった時は、相手の意思を正確に読み取ることは困難です。こんな時は、スパッと右折するのではなく、相手の様子を伺いながらジワジワと右折してください。
後続車にバトルを申し込まれた時は
スバルWRXや三菱ランサーエボリューションなど走り屋系の車に乗っている時、後続車からバトルを申し込まれることがあります。
サーキットを普段から走り込んでいるような人は、公道でのバトルがどんなに危険なものかご存知でしょうから、こんな誘いに乗ることはありません。しかし、中途半端に腕に自信があるような人の場合は厄介です。ついつい誘いに乗ってしまって大事故になんて事も考えられます。
このバトルの誘い、ホーンによって「プッ、プッ、プッ」と3回鳴らすことが通例となっています。バトルを受ける場合は「プッ、プッ」と2回ホーンを鳴らし、断る場合はブレーキランプを軽く3回点灯させます。
自慢のマシンを使ってバトルをするなんて事は、速い車を持っている人なら誰もが一度は妄想することです。しかし、本当に速く走りたいならサーキットで腕を磨く方が確実ですし、何より安全です。
どうしてもサーキットを走るのが嫌だという人は、ゲームか妄想の世界で走りを楽しむ事をオススメします。