トルクスレンチとは、普通のマイナスドライバーやプラスドライバーと異なり、先端形状が星のような特殊な六角形をしているレンチのことです。
当然、このトルクスレンチで回すことのできるボルトにも星型の凹みがあり、この部分へピッタリとトルクスレンチをはめ込むことでボルトを回します。
元々はアメリカの「Camcar」という会社が開発したもので「トルクス」という名称もこの会社の商品名として登録されています。
トルクスレンチの特徴
通常のマイナスドライバーやプラスドライバーでは、ネジ山との接触部分が点となるため、常にドライバーをネジに押し付けるように回す必要があります。うっかりこの力を緩めてしまうと、ドライバーとネジ山の接触面が滑って、ネジ山やドライバーを破損することがあるからです。
その点トルクスレンチであれば、特殊な星型形状のボルト形状により、常にトルクスレンチとボルトが面として接触しているため、安定してボルトを回す事ができます。
結果的に、ボルトに不要な力を加える必要もありませんので、レンチ自体やボルトの破損は少なくなり、道具としての寿命も長く保つことができます。
このトルクスレンチがまだそれほど普及していなかった時代では、その特殊な形状から、重要な部分にいたずら防止として使っていた事もありましたが、現在は日本中どこへ行っても入手することができる程メジャーな道具となりましたので、そのような目的で使われる事はありません。
自動車では、エンジンルームや、ドアストライカーの留め具として使われる事が多いのですが、マッキントッシュを始めとするパソコンにもよく使われています。
工具の種類には、色々なサイズが一つにまとめられている十得ナイフのようなものから、狭い部分にも届きやすいドライバータイプ、電動工具に取り付けて使うビットタイプ、L字型レンチなど様々なタイプが用意されています。
また回す対象のボルトに凹みのあるタイプを「T型トルクスレンチ」と呼び、凸のあるタイプを「E型トルクスレンチ」と呼びます。
トルクスレンチの使い方
使い方は普通のレンチやドライバーと同じです。ボルトにピッタリと合ったサイズのレンチを使い、ボルトの奥まできっちりとレンチをはめ込みます。普通のレンチやドライバーと違うところは、レンチを回す時に「奥へ押し付けるような力を加える必要が無い」という点です。
これこそ、トルクスレンチ最大の長所ですが、同時に、仕事として1日に何百回となくボルトを回す人にとっては、大きな疲労軽減効果が期待できます。そのため、欧州では普通のドライバーを抑えて、徐々に主流のツールとしてその利用される場所を広げています。
トルクスレンチの使用上の注意
他のレンチやドライバーと同じく、ボルトの凹みにしっかりと奥まで先端を差し込んでから、ボルトを回してください。接触面の安定しやすいトルクスレンチといえども、ボルトとうまく噛み合っていなければ、レンチやボルトを破損することになります。