2017年1月から世界ラリー選手権の初戦モンテカルロラリーに参戦予定の「TOYOTA Gazoo Racing」は、ラリー仕様の「ヤリスWRC(ヴィッツ)」とラリードライバーを発表しました。
またトヨタ自動車では、この「ヤリスWRC(ヴィッツ)」をベースとした市販車の販売も計画しています。
目次
- 生粋のラリーマシン「ヤリスWRC」!
- 市販型のヤリスWRCも同時に発表!
- ラリーカーと市販型ヤリスWRCを同時に発表した理由
生粋のラリーマシン「ヤリスWRC」!
今回TOYOTA Gazoo Racingが発表したラリーカーは、1.6リッター直噴ターボエンジンを搭載した「ヤリスWRC」は、380馬力を誇る2017年のFIA技術規定に準拠したマシンです。
チーム監督のトミ・マキネン氏は、「ヤリスWRCは信じられないくらいのパフォーマンスを持ったモンスターマシンです。2017年のFIA技術規定の自由度の高さを生かしてさらにパフォーマンスを伸ばす余地が残されています。我々チームスタッフはヤリスWRCの活躍を信じています。」と語っています。
ヤリスWRCのドライバーは?
ラリードライバーには、かつて「カローラWRC」でステアリングを握ったこともあるヤリ・マティ・ラトバラと、ユホ・ハンニネンが指名されています。
またヤリ・マティ・ラトバラのコ・ドライバーは、ミッカ・アンティラがつとめます。この二人はかつて「WRCの年間ランキンング2位」を3度も獲得したことがある名コンビです。
ユホ・ハンニネンのコ・ドライバーは、カイ・リンドストロームがつとめます。
市販型のヤリスWRCも同時に発表!
トヨタ自動車ではこの「ヤリスWRC(ヴィッツ)」をベースとした市販タイプのロードカーも計画しています。この市販型「ヤリスWRC(ヴィッツ)」は、トヨタ初の「Gazoo Racing」をバッジを付けたロードカーとなります。
トヨタ自動車がこの平凡なコンパクトカーをWRC用戦闘マシンに選んだ理由は、その軽量なボディとエンジンルームの大きさによる改造のしやすさなどがあります。
ヤリスはハイブリッドカーの「アクア」のベース車両でもあるため、設計当初からエンジン周りにハイブリッド化に対応するための十分なスペースが確保してあります。
気になる市販型ヤリスWRCの発売日は?
ヤリスWRCロードカーの、販売日や価格、性能などについては、まだ詳細が発表されていないので分かりません。
ただし、現在発表されているラリーマシンのスタイリングがそのまま再現されることはないでしょう。これは、今まで発売されたラリーカーの市販ヴァージョンを見れば明らかです。
搭載されるパワーユニットについては、ガソリンエンジンのみとなるはずです。ハイブリッドシステムによる重量増加は、ラリーカーにとって致命的で、わずかなパワーアップと引き換えにするほどのメリットはありません。
(2017年1月13日追記)ヤリスヤリスWRC市販バージョンの詳細
ヤリスWRCロードカー市販バージョンの詳細情報が、「CAR Magazine website」に掲載されましたので追記しておきます。
ボディは軽量化の施された3ドアモデルのみとなり、ターボチャージャーによって過給されエンジンは最低でも210馬力の出力を発揮します。足回りには軽量高剛性の鋳造リンクが使われ、キャラクターとしては、ヤリスWRCとヤリスのちょうど中間グレードといった感じになります。
ラリーカーと市販型ヤリスWRCを同時に発表した理由
トヨタ自動車がこのタイミングで、WRC出場のためのラリーカーと、それをベースとする市販型ロードカーの発表を同時に行ったのには大きな理由があります。
欧州ではWRCラリーの人気が高くこのレースで好成績をあげると、市販車の販売にも大きな好影響を与えることができます。
トヨタはアメリカ市場では好業績を上げているものの、ヨーロッパ市場での人気はいまひとつで、特にコンパクトカークラスでは、フォルクスワーゲンや、フォード、ルノーなどに大きく溝を開けられています。
そこでトヨタが計画したのが、WRC参戦によるイメージアップとそれを足掛かりとしたヤリスの拡販です。今回のラリーカーとロードカーの同時発表には、そうしたトヨタの戦略的な思惑が隠されているのです。
(参考:CAR Magazine website)
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