中国政府は中国国内で販売されている130万元以上の超高級車に対して、10%の増税を2016年12月1日から適用するとしています。
10%の増税が適用される高級車としては、フェラーリGTC4Lusso、ベントレーBentayga、ストンマーチンDB9などが挙げられています。
目次
- 増税の理由
- 富の再分配
- 世界中から超高級車が中国へ集まる
増税の理由
中国財務省の発表によると、超高級車に追加の税率を適用することで、エネルギーの節約と排ガスの抑制効果が期待できるということです。
ただ、大金持ちの多い中国とはいえ、このような超高級車がエネルギー消費や環境破壊に影響を与えるほど沢山走っているとは思えません。
おそらく、景気後退により厳しくなってきた財政事情を、少しでも緩和するための財政政策の一つであると見るのが妥当でしょう。もしくは、生活の苦しい庶民のガス抜きの意味合いもあるでしょう。
以前、都市部の空気があまりのも汚染されているとして、市街地に侵入できる車を曜日ごとにナンバーで規制したことがありますが、庶民は公共交通機関を利用したり、互いに乗り合わせるなどの工夫で何とか乗り切っていたようですが、このような超高級車を所有できるような大金持ちは、どの日でも運転できるように複数の車を購入して市街地への侵入規制に対抗していたそうです。
このエピソードから、こういう規制は大金持ちにとっては何のペナルティにもならないということが良くわかりますね。
富の再分配
この増税の動きは、中国経済の成長に合わせて富裕層の税率を上げ、貧困層に富を再分配する政策の一環だという人もいます。
確かに中国では、経済成長の初期段階では金持ちを優先的に育て、後になって庶民に富の再分配を行えばいいという考えで経済政策がとられていました。
ただ、中国の富裕層は共産党幹部とズブズブの関係だそうですが、今更この富裕層から何の力もない貧乏な一般庶民へと富が再分配されるとは到底思えませんね。
今月に期限を迎える、小型車両の減税措置もそれに伴って延長されることが決まっていますが、これは「弱者救済」とか「富の再分配」というよりも冷え込んだ国内消費を刺激するためと見た方が正確です。
世界中から超高級車が中国へ集まる
世界中の高級車メーカーやスーパーカーメーカーは、大きくてスポーティな高級車が大好きな中国人のために、中国国内での超高額車両のラインナップをどんどん拡大しています。
アウディは中国市場に占める全販売台数のうち、130万元以上の高額車は1%に過ぎないと言っています。しかも元々潤沢な購買力を持つこの層のユーザーが、わずか10%くらいの増税で購入意欲がなくなるとも思えません。
各メーカーの担当者もこの増税による市場への影響はほとんどないと見ているようです。
(参考:Automotive News Europe)