フィアット バルケッタ(1998年式)【旧型試乗】小粋なスタイリングのオープン2シーター [E-183A1]

今回は「フィアット バルケッタ(1998年式)」を試乗レポートいたします。
このフィアット・バルケッタは、1995年に登場したイタリア製のオープン2シーターです。日本市場では1996年から販売されています。

当時マツダロードスターの成功に触発されて、雨後の筍のように登場したこの種のスポーツカーの中にあって、駆動方式を前輪駆動とする少数派のロードスターです。

前輪駆動の乗用車「プント」のプラットフォームを流量しているため価格を低く抑えることに成功しており、手軽なオープン2シーターとしてマツダロードスターとは違うユーザー層を獲得していました。

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外観

全長3920mmX全幅1640mmX全高1265mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2275mmとなります。

スタイリングは当時フィアットに在籍していた、アンドレア・ザパティナス氏のアイディアによるものです。

バルケッタとはイタリア語で「小舟」を意味する言葉ですが、1950年代以降のイタリアではオープン2シーターのことを「バルケッタ」と呼ぶ伝統があります。

試乗車のフィアット・バルケッタも当時のバルケッタ達とよく似た、小舟のようなユーモラスで美しいボディスタイルが与えられています。

フロント

横置きの4気筒エンジンがフロントに搭載される事で厚みの増してしまったフロントノーズを、バルケッタ特有のゆるやかな曲線で巧みにまとめ上げています。

リップスポイラー部分が、ナンバープレート中央まで引き上げられているため、まるで小さなモーターボートが水を掻き分けて進んでいるような疾走感があります。

この部分は、バルケッタのスタイリングの上で大きな特徴となるポイントなのですが、なぜかビッグマイナーチェンジで普通のリップスポイラーに修正されてしまいました。

サイド

フェラーリ166バルケッタを彷彿とさせるようなキャラクターラインがサイドに描かれ、ちょっとクラシックで美しいサイドビューを構成しています。まるで湖面の波をイメージさせるような優雅な曲線ですね。

リア

フロントから始まる緩やかなラインを、しっとりとした艶やかな曲線でまとめ上げています。リアコンビランプには左右に2つずつのレンズが配置されていますが、内と外でわずかなサイズ分けがしてあり、シンプルながらリズミカルな印象です。

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内装

現代でも通用しそうなシンプルながらモダンでクリーンな印象の内装デザインです。特にステアリングコラムの面取りなどには、イタリア車らしいセンスの良さが光ります。

メーター周りにはメタル素材のプレートが縁取られ、スポーティな雰囲気があります。お金をかけずにオシャレに演出する技術力とセンスの良さには頭が下がりますね。

内装にもボディの鮮やかなイエローが差し色のように入り込み、ポップでオシャレな雰囲気です。

厚みのあるどっしりとしたシートが装備され、サイドサポートにも適度な張り出しが与えられています。バケットシートのような極端なものではないので、乗り降りの邪魔になるようなこともありません。表皮にはゆったりとした「たわみ」と適度な「コシ」が与えられ、長時間のドライブでも苦になりません。

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エンジンとミッション

1764ccの直列4気筒DOHCエンジンに、5速MTが組み合わされます。
エンジンは、130ps/6300rpmの最高出力と、16.7kgf・m/4300rpmの最大トルクを発揮します。車両重量は1090kgとなります。

エンジンはプンントの1.7Lツインカムエンジンがベースとなっているものの、バルケッタに搭載するにあたっては相当の強化が行われています。

アルミ製のヘッドを持つツインカムエンジンにしては、高回まで気持ちよく回るというよりも、たっぷりとした低速トルクを使って力強く走る実用的なエンジンです。

ピックアップのいい5速マニュアルトランスミッションと組み合わされる事で、ダイレクト感あふれる小気味いい走りを披露します。

足回りとハンドリング

前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトレーリングアーム式サスペンションが装備されます。

乗用車として設計されたプントの足回りを強化して使用しているため、コーナリングの続くワイディングで限界まで攻め込んでいくような走りには向きません。

どちらかといえば、街中や郊外の道を法的速度プラスαの速度で、ゆったりと流すような走り方にピッタリとマッチするオープン2シーターです。

評価のまとめ

生活車として開発された前輪駆動のプントがベースとなっているため、当時のマツダロードスターなどと比べるとコーナリング性能やフィールでは若干の物足りなさを感じます。

ただ、このバルケッタはそもそも純粋なスポーツ走行を楽しむためのモデルではありません。小粋なスタイリングやゆったりしたスポーティ感を含めて、雰囲気を楽しむための車です。

そのため、おしゃれな内外装や雰囲気のオープン2シーターを探しているが、汗を流しながら走るような純粋なスポーティ感はいらないという人にピッタリな一台といえます。

価格

新車当時の価格 | 2,800,000円

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)