今回は「新型 キャデラック エスカレード プラチナム」を試乗レポートいたします。
キャデラック・エスカレードは、2015年のモデルチェンジで第4世代へと生まれ変わったフルサイズのプレミアムSUVです。
先代モデルよりボディサイズが拡大され、それに伴って車両重量も増加しています。
外観
全長5195mmX全幅2065mmX全高1910mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2950mmとなります。
力強い直線的なスタイルに堂々とした大型専用グリルが与えられ、まさにアメリカンSUVの王様といった風情があります。
フロント
どっしりとした重厚感のあるフロントマスクです。近づいてみるとヘッドライトには5個のクリスタルレンズにフルLEDが組み合わされ、重厚感の中にも上質な美しさが感じられます。
サイド
典型的なSUVルックのサイドビューですが、直線基調のなめらかなラインと、若干小さめのキャビンが対比されエレガントな雰囲気が漂います。
電動式のサイドステップが装備され、アップライトな乗車位置でありながら乗降性のしやすさに配慮がみられます。
リア
大きな箱型ボディに、極限まで薄くデザインされた縦型LEDリアコンビランプが配されます。その結果、無表情な「厳つさ」のようなものがさらに強調されています。
内装
小さなパーツをグループ内の車と共用しているものの、ウッドとレザーがふんだんに使われており内装の質感自体は大幅に向上しています。アメ車らしい有機的なラインを基調としながらも、大味な素っ気なさは皆無です。
メーターには表示内容を任意に変更できる「12.3インチ」のカラー液晶ディスプレイが装備されます。さらに、センターコンソールには8インチ液晶モニターの「CUTインフォテイメント」が全車に標準装備されます。
フロントシートには大柄でゆったりとしたサイズのシートが装備されます。しっかりとしたフレーム構造に上質なスポンジが組み合わされ、どっしりとした快適な座り心地です。
セカンドシートは左右が独立しており、左右独立エアコンやシートヒーターが装備されます。大きさもフロントシートと遜色のないレベルで、クッションの張りや硬さにも不満はありません。長時間乗っていても疲れることのない快適なシートです。プレミアムSUVの場合、セカンドシートに一番大事な人を乗せることが多いと思いますが、そういった状況でも十分期待に応えてくれます。
サードシートは幅、奥行きともに小いさめで、子供専用のシートといえます。ただ、空間に余裕があるため、大人でも中距離(30km)程度であればなんとかなりそうです。
大きなボディから想像する通り、荷室の容量にはたっぷりとしたサイズがあります。単身者の引越しくらいなら平気でこなせそうです。小物入れなども装備されており、使い勝手の良さが感じられます。
サードシートはボタンひとつで簡単に畳むことができる電動式です。折りたたむことでさらに広い荷室スペースを確保することができます。
ラミネートガラスや3重ドアシールド、BOSE社による「ノイズキャンセラー」などが施されており、車内の静粛性は高級SUVにふさわしい圧倒的なものがあります。
エンジンとミッション
6153ccのV型8気筒OHVエンジンに、6速ATが組み合わされます。
エンジンは、426ps/5600rpmの最高出力と、63.5kgf・m/4100rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は2650kgとなります。
搭載されるV8ユニットは最高出力がわずかに抑えられているものの、基本的にはシボレー・コルベットと同じエンジンが使われています。低速域から太いトルクを発揮して巨大なボディをゆるゆると力強く加速させます。急な坂道や合流ポイントなど、加速を必要とする場面でもパワーに不足を感じることは全くありません。
その為、ゆったりと右足をアクセルペダルに乗せているだけで、必要十分な加速を得ることができます。
また、このエンジンには最新のダイレクトインジェクションが装備され、負荷の少ない高速巡航時には4気筒を停止させる「片側休止機構」まで装備されます。
若干のドロドロ感と上質なスポーティさを併せ持つ、V8エンジンらしいエンジンサウンドが印象的です。
組み合わされる6速ATは、ゆったりしたフィールでのんびりとした変速処理を行います。最新型のデュアルクラッチトランスミッションのようなダイレクトなフィールはありませんが、おおらかなこのエスカレードにはぴったりなトランスミッションといえます。太いトルクのエンジンと相まって、スムーズで力強い走りを披露します。
足回りとハンドリング
前輪にダブルウィッシュボーン式サスペンション、後輪には5リンクリジッド式サスペンションが装備されます。
新型のエスカレードには、「マグネティック・セレクティブ・ライドコントロール」が与えられた為、優れたダンピング性能を持ちます。ただ、大きな周期の揺れに対してはあまり効力がなく、大型のSUVらしくゆさゆさとボディが揺すられます。
このサスペンションには「スポーツ」と「ツアー」の2つのモードが備わりますが、より硬めの設定となる「スポーツ」でもこの揺すられ感は変わりません。
直進時はスタアリングフィールが軽すぎて落ち着きませんが、低速では一転してずっしりとした重みが与えられます。このセッティングは、高速走行での疲労軽減と、低速時における正確なステアリング操作を意図しています。
そのおかげで、ゆったりした余裕のある走りと、大柄なボディからは想像できないほどの取り回しのしやすさを実現しています。
その他
プレミアムSUVらしく、最新の先進安全技術が装備されています。
このうち「アダプティブ・クルーズコントロール」は、先行車に合わせて速度の調整からブレーキングまでを一手に行う便利な機能です。
またドライバーズシートには「セーフティ・アラート」が装備され、「レーンチェンジアラート(車線逸脱警報)」や「リアクロストラフィックアラート(後続車接近警報)」と組み合わされて、警報を知らせる側の座面が振動します。例えば、左の車線をタイヤが踏み越えようとした場合には、座面の左側面が振動してドライバーに注意を喚起するというわけです。
評価のまとめ
このキャデラック・エスカレードには、この車にしか感じられない「フルサイズ・アメリカンSUV」ならではのゆったりとした風情があります。こういった雰囲気やキャラクターに強い魅力を感じるならば買って損はありません。
ただ、先代よりも質感、動力性能ともに進化しているものの、基本シャーシーに古さが見られるため、最新型のライバルSUVと比べるとどうしても見劣りしてしまいます。
また、基本的に広大なアメリカ大陸で使うために設計された車ですので、狭い日本で使うとどうしても不便なことがあります。そのため購入の際には、一度しっかりと自分で試乗してみる事をオススメします。
価格
価格 | 12,490,000円(税込み)