ガソリンエンジンはガソリンを燃やすことで熱エネルギーを取り出し、その熱エネルギーをピストンで受け止めて機械的な往復運動に変換し、最終的ににクランクシャフトによって回転エネルギーとして出力する仕組みです。
このようにエンジンは熱エネルギーを機械的な運動エネルギーに変換しているため、熱損失によってどうしても50%以上のエネルギーを失うことになります。そのほかにも機械損失など様々なエネルギー損失が起きるので、実際のエネルギー効率はさらに下がります。
これに対して電気モーターは、ガソリンエンジンのように熱力学的なエネルギー損失がほとんど起きないため、ガソリンエンジンと比べると相対的に高いエネルギー効率を誇ります。
目次
- ガソリンエンジンは多くのエネルギーを無駄に捨てている
- 電気モーターのエネルギー損失
- 市街地走行ではさらにエネルギー効率が下がる
- 電気モーターは走行状況に関わらず高いエネルギー効率を誇る
ガソリンエンジンは多くのエネルギーを無駄に捨てている
自動車に積まれているガソリンエンジンの場合は、機械的な損失や排気損失、冷却損失などにより多くのエネルギーが失われますので、実際のエネルギー効率は30%前後にまで落ち込んでしまいます。条件のいい時でもせいぜい35%もあれば上出来でしょう。
このエネルギー損失の内訳を大まかに数値化すると、排気損失として40%、冷却損失として20%、機械的な損失が10%といった具合です。
電気モーターのエネルギー損失
これに対して電気モーターの場合は、熱力学によるエネルギー損失がほとんど起きません。実際に電気自動車に搭載されて運用される場合であっても、エネルギー効率は95%前後と非常に高くなるのが普通です。
電気モーターのエネルギー損失は、インバーターによる回路損失、モーターによる熱損失、過電流による鉄損、ローターやベアリングの回転による機械損失などが主なものです。これらの損失はエンジンの損失に比べて小さいのが特徴であるため、すべての損失を合算しても5%前後にしかなりません。
市街地走行ではさらにエネルギー効率が下がる
このようにガソリンエンジンは理論最大値において大きなエネルギー損失を起こしていますが、市街地における低速走行では、さらに大きなエネルギー損失を起こしてしまいます。
ガソリン自動車の場合、市街地ではエンジンの能力の10%前後しか必要としないため、低回転で少ないガソリンを燃やして走ることになります。この時、燃焼させるガソリンに対して得られるエネルギーが相対的に少なくなるため、エネルギー効率は15%前後まで悪化することになります。
特にガソリンを燃やすだけで車を動かさないアイドリング状態においては、エネルギー効率が0%となります。そのため最近のハイブリッドカーやガソリン車には、エネルギー効率を少しでも向上させるために「アイドリングストップ」が装備されています。
電気モーターは走行状況に関わらず高いエネルギー効率を誇る
これに対して電気モーターは、必要とされるエネルギーに応じて最小限の電気を供給すればいいので、市街地走行や高速走行などの状況に関わらず全域で高いエネルギー効率を誇る事ににます。