エアバッグの不具合が原因で経営不振に陥っているタカタ株式会社は、「裁判所主導の会社再建が行われれば、世界的な規模での部品供給に滞りが発生するため、何としても会社の法的な破綻だけは避けたい」という内容の声明を発表しました。
タカタでは会社の破綻を避けるためのスポンサー探しが行われていますが、一時スポンサーとして有力視されていたアメリカの投資ファンド「KKR」との交渉はあまり上手くいっていないようです。
タカタは10月下旬に自動車メーカー各社と、スポンサー候補の数社を集めて、今後のリコール対策について話し合う場を設けていましたが、この会合に「KKR」の姿はありませんでした。
そのため、11月下旬をめどに残りのスポンサー候補の中から、幾つかの候補に絞り込みをかける予定ですが、今後のリコール対策費などの膨らみを警戒して、この話も上手く進むかどうかは未知数です。
目次
- ホンダがタカタ製エアバッグを排除
- 気になる中国系スポンサーの動き
- 自動車技術はコピーされにくい
- 電気自動車は比較的簡単に作れる
- 理想的な解決方法は
ホンダがタカタ製エアバッグを排除
シートベルト製造を手掛けていたタカタが、エアバッグを製造するようになったのは自動車メーカーのホンダによる働きかけによるところが大きいのですが、今回のエアバッグリコール問題を受けて、ホンダはエアバッグの供給元を完全にタカタ以外の会社に切り替えるとしています。
タカタは一時、世界のエアバッグの20%を製造していましたが、ホンダのシェアはこの中でも最大規模です。残る他社もタカタ製のエアバッグを積極的に採用してくれるとは思えません。
そんな中で巨額のリコール対策費を拠出してくれる、有望なスポンサーを見つけるのは難しいでしょう。
気になる中国系スポンサーの動き
このスポンサー企業候補の中には、中国資本による部品会社の名もあります。家電メーカーの白物家電部門やパソコン部門、またはシャープのように、今回も最終的に中国系企業の傘下になるのだけは避けてもらいたいですね。
日本の家電メーカーはバブル後の不況から大規模なリストラを繰り返し、その度に優秀な人材が韓国や中国のメーカーに流出しています。その後、安くて高品質な商品で徐々に追い上げられ、結果的にはブランドや会社そのものまで買い取られることになりました。
自動車技術はコピーされにくい
それに対して自動車メーカーは、韓国にある程度の追い上げを受けているものの、未だに日本のメーカーに優位性があります。
自動車の製造は、数多くの部品をすり合わせて作るため、マニュアルや設計図に現れない目に見えないノウハウの塊だと言われています。そのため、リバースエンジニアリングの得意な韓国や中国であっても、なかなか上手くコピーしきれないというのが実情です。
現に韓国ヒュンダイ自動車のエンジンは、未だに三菱自動車が提供したエンジンが元になっています。中国製の自動車もその多くが三菱自動車からエンジンの供給を受けています。リコール隠しや燃費偽装を繰り返す三菱自動車が、中国や韓国の自動車技術を支えているというのも皮肉な話ですね。
電気自動車は比較的簡単に作れる
しかしこれは、ガソリンエンジンという複雑な機械が使われているからであり、電気自動車のように電気的なデバイスの組み合わせにより作れるようになると、家電製品並みに製造の難易度が下がります。
加えて、エアバッグのような重要部品のメーカーまで抑えられてしまうと、自動車メーカーの勢力図はあっという間に塗り換えられる可能性があります。
理想的な解決方法は
自動車メーカー各社はすでにこの「エアバッグ不具合によるリコール」のため、数十億ドルの費用を拠出しています。一番理想的な解決方法は、日本の自動車会社や政府で資金を出し合い、共同持ち株会社やファンドを作ってタカタを支えるプランではないでしょうか。
自動車が電気自動車や燃料電池車に移行しても、内装やシートベルト、エアバッグなどの部品は使い続けられます。特に複雑な制御の伴うエアバッグ製造のノウハウは、なんとしても日本国内で抑えてほしいものです。
(参考:Automotive News Europe)