昔のMT車はAT車と比べるとスポーティで燃費が良いとか、車両価格がちょっとだけ安いなど色々なメリットがありました。しかし、現在ではATの性能が向上して、そんなメリットも相対的に少なくなってます。
AT(オートマチック・トランスミッション)の中には、「デュアルクラッチ・トランスミッション」のように、燃費性能やスポーティなフィールでMT車を凌駕するモノも現れてます。
ただし、ATの一種「トルコン式」や「CVT」と比較すれば、まだまだ燃費性能やスポーティフィールでMTの方が優れている場合も多いです。「デュアルクラッチ・トランスミッション」より操作が難しいというのも、人によっては他のものに代えがたい魅力になりますしね。そのせいで、今でも一部の愛好家に根強い人気があります。
今回は、そんなMT車の燃費効率を最大限まで引き出す方法とコツ、走り方などについて詳しく解説していきます。
MT車の燃費を向上させるには、とにかく早めにシフトアップする
低いギアでエンジン回転を高めて走ると、高いギアでエンジン回転を低く抑えて走るよりも燃費は悪くなります。
エンジン回転が高ければ燃料の噴射回数が増え、結果的に消費する燃料も多くなるからです。
そのためMT車の燃費を向上させるには、なるべくギアを高めにキープしてエンジン回転を低く抑えることが大切なのです。
エンジンを始動したら、すぐに走り出す
それでは、具体的な運転方法について説明していきましょう。
まずはじめに、適正なシートポジションの設定やシートベルトの装着を済ませ、エンジンを掛けたらすぐに出発できるようにしておきます。
エンジンを始動したらウォーニングランプなどの確認や周りの安全確認を手早く済ませ、すぐに走り出してください。現代の車はAIで完全に制御されているため、昔のような暖機運転は必要ありません。無駄な暖機運転はかえって燃費を悪くさせることになります。
シフトアップの回転数を探る
1速で走り出したらアクセルを軽く踏み込み、エンジン回転数が2000回転前後を目安に次々とシフトアップしていきます。現在の車は低速トルクがしっかりとしているため、これくらいの回転数であれば十分スムーズに加速していけるはずです。
低速トルクの分厚い車であれば、さらに低い回転数でも問題ありません。逆に低速トルクが細い車の場合は、多少エンジン回転を高めてやる必要があります。このあたりのサジ加減は、自分の車を運転しながら柔軟に調整してください。燃費を向上させるには、スムーズに加速できるギリギリの低い回転数を狙うのがコツです。
エンジン回転とギア、速度が合っていない場合は車がギクシャクとしたり、加速しなくなったり、もしくは「カラカラ」とか「チリチリ」といったノッキング音を発生するのですぐに分かります。
ニュートラルを有効活用する
最後に、MTならではのとっておきの低燃費走行についてご紹介します。ただしこの方法を急な坂道で行うと危険です。あまり勾配の無いなだらかな坂道だけで行ってください。
市街地や住宅街などを走行していると、なだらかな下り坂に遭遇することがあります。
こんな下り坂に遭遇したらMTならではの低燃費走行をするチャンスです。MTのギアを「ニュートラル」に入れ、エンジンの駆動力がタイヤに伝わる経路をカットして惰性で進みましょう。エンジンがアイドリング状態となり、最小限の燃料消費で走行できます。
下り坂が終わり車速が落ち始めたらギアを適切なポジションに入れ、通常の駆動走行に切り替えます。この時も、なるべく高めのギアを選択してエンジン回転を低く抑えてください。
ニュートラル走行の注意点
始めにも書いたように、このテクニックを山道のような急な下り坂で使ってはいけません。ブレーキに異常な負荷が掛かり、故障することがあるからです。
急な下り坂では教習所で教えられた通り、低いギアに入れてエンジンブレーキを掛けながら下りましょう。
最近の車はエンジンがAIで自動制御されているため、下り坂でエンジンへの負荷が軽減すると自動的に燃料噴射を抑えてくれます。つまり、下り坂であればエンジン回転が高くても、それなりに低燃費走行が可能になるのです。
急な坂道でのニュートラル走行よりもさらに危険なのが、エンジンを完全に停止して坂道を下るという荒業です。「そんな無茶する人いる?」と言われそうですが、実際に僕の知人の友達にそんな人がいるという話を聞いたことがあります。
エンジンをカットするとパワーステアリングやブレーキアシスト、その他の安全装備や電子化されたすべての機能も停止してしまいます。非常に危険な行為ですので、絶対にやらないでください。