ラジエターとは
水冷式エンジンでは、冷却水はシリンダーブロックの中を通り、エンジンの熱を吸収し冷却します。
その過程で温度の上昇した冷却水を、放熱により冷ます装置が「ラジエター」です。
ラジエターは放熱性を高めるため、細かい無数の小さなフィンと、冷却水を全体へ循環させるための細いパイプで構成されています。
この細かいフィンへ送風機で強制的に風を当て、冷却水を効率的に冷却しています。
空冷式エンジンから水冷式エンジンへ
排気ガス規制が厳しくなると、より厳密なエンジンの温度管理が必要になります。
温度の厳密なコントロールと、排ガスの量が密接に関係しているからです。
空冷式エンジンではこの温度コントロールが難しく、排気ガス規制が厳しくなるに従い、徐々にエンジンの温度管理が容易な水冷式エンジンへと移行していきました。
しかし完全に空冷式エンジンが無くなった訳ではありません。今でもコンパクトで頑丈な事が求められる、草刈り機などの汎用エンジンで細々と生産が続けられています。
ラジエターの構造
水冷式エンジンは、シリンダーヘッドとシリンダーブロックの中に細かい水路が設けてあります。
この水路は「ウォータージャケット」と呼ばれ、燃焼室とシリンダーを取り囲むようにレイアウトされています。
このウォータージャケットの中を冷却水が通り、エンジンの熱を吸収し温度を下げます。
エンジンの熱を吸収して暖められた冷却水は、ウォーターポンプの圧力によって、細いパイプを通りラジエターへ運ばれます。
この経路の途中にはサーモスタットと呼ばれる水温系が装備されており、冷却水の温度が低い場合はラジエターに送らず、再びウォーターポンプを循環します。
冷却水はラジエターの細かい水路の中を通る事で、放熱し冷却されます。
温度の下がった冷却水は再びウォータージャケットまで運ばれ、エンジンを冷却することを繰り返すのです。
インタークーラーとは
エンジンルームの中を覗いてみると、ラジエターと似た形状の部品が装備されている事があります。
ターボチャージャー搭載のエンジンに装備されている「インタークーラー」と呼ばれる部品です。
ラジエターが冷却水を冷却するのに対して、空気を冷ますのがインタークーラーの仕事です。
ターボチャージャーでは、空気はコンプレッサーで圧縮され燃焼室に送られます。
この時、圧縮された空気はそのコンプレッサーの圧力によって、適正値以上の高い温度になっています。
この温度の上がり過ぎた空気を冷まして、効率よく燃焼できるように温度を下げるのが「インタークーラー」の役割です。
よって装備される場所は、コンプレッサーから燃焼室に繋がる吸気管の途中となります。