スーパーチャージャーとは
ターボチャージャーは燃焼した排気ガスの力でタービンを回し、そのタービンの回転力で空気を過給圧縮して大量に燃焼室に送り、大きなパワーを生み出す装置でした。
このターボチャージャーも広義にはスーパーチャージャーの一種で、正確には「ターボ式のスーパーチャージャー」と呼ばれます。
これに対して今回解説する「スーパーチャージャー」は、クランクシャフトや電気モーターの力を直接使って空気を過給するため、「機械式のスーパーチャージャー」や「メカニカル・スーパーチャージャー」もしくは単に「スーパーチャージャー」と呼ばれます。
クランクシャフトや電気モーターの力を使って空気を過給する方法は違いますが、「空気を過給圧縮して燃焼室に送ることで大きなパワーを得る」という基本的な考え方は同じです。
スーパーチャージャーの歴史
スーパーチャージャーは第二次世界大戦中の爆撃機や戦闘機に、空気の薄い高高度でも安定してエンジンが作動できるようにと装備されていました。
しかし、さらに効率の良いターボチャージャーが登場すると、徐々にその採用数を減らしていきました。
かつて日本の自動車業界では、大きなパワーであっても排気量が小さければ税制上の優遇を受けられるという事があり、過給機としてターボに次いで使われていました。
ただその後は、税制が改訂され優遇が受けられなくなってしまい、スーパーチャージャーは次第に市場から消えていきました。
スーパーチャージャーの仕組み
スーパーチャージャーの仕組みは、まずクランクシャフトや電気モーターから直接駆動力を取り出し、スーパーチャージャーのハウジングの中にある2枚のローターを回転させます。この2枚のローターの断面はひょうたんの様な形をしています。
次にこの2枚のひょうたん型のローターが交互に組み合う様に回ることで、空気を燃焼室の中へ送り込むという仕組みです。
この後はターボチャージャーと同じで、過給圧縮された空気に燃料を吹き付けることで密度の高い混合気を生み出し、この混合気を燃焼させ大きなパワーを生み出すというものです。
ターボチャージャーのデメリット
ターボチャージャーでは、排気ガスの力でタービンを回すという構造上、タービンが本格的に回転するまで時間がかかります。
その結果、パワーの立ち上がりが若干遅れるというデメリットがあります。これをターボラグといいます。
スーパーチャージャーのメリットとデメリット
逆にスーパーチャージャーでは、直接クランクシャフトや電気モーターから駆動力を取り出しているため、即座にローターが回転して瞬時に大きなパワーを得ることができるというメリットがあります。
その反面、ターボは捨てられていた排気ガスを使っているので、エネルギーロスがありませんが、スーパーチャージャーではクランクシャフトから駆動力を取り出すため、機械的なエネルギーロスが発生してしまいます。
ターボのデメリットは技術革新で次第に克服されましたが、スーパーチャージャーのデメリットはなかなか解決できないため、今ではあまり使われていません。
ところが最近になって、徐々にスーパーチャージャーにも技術革新が起こり、新型日産ノートではミラーサイクルエンジンで高効率化をはかるとともに、トルクの少なさをカバーするためにスーパーチャージャーが採用されています。