クランクシャフトとは
シリンダーブロックの下部もしくは、クランクケースに取り付けられた部品です。
エンジンの主要な構成部品のひとつで、ピストンからコネクティングロッドに伝えられた往復運動を回転運動に変換して、ドライブシャフトに伝える役目を負っています。
エンジン作動に伴うねじりや曲げなどの様々な強い力にさらされ、また高速で回転する部品である為、「ねじり剛性」や「曲げ剛性」を持った「高い強度」と、ミクロン単位の「高い精度」が要求されます。
実に280馬力のエンジンの場合はクランクシャフトに10t以上の力が加わると言われます。そのため製造に多くのコストが掛かり、エンジンの構成部品の中で一番高価な部品となっています。
製造工程
高い強度を持たせるためクロームモリブデン鋼を鍛造(たんぞう)で打ち抜き、精密な機械加工で製造されます。
鍛造とは、高温に熱した金属を強い力で叩いて成形することで、内部の金属結晶の向きを揃え高い強度を与える事ができる特殊な成形方法です。刀鍛冶が熱した金属を叩いて日本刀を錬成するのと基本的に同じ製造方法です。
構成パーツと構造
一部の高性能エンジンでは組み立て式のクランクシャフトが用いられますが、一般的な乗用車には一体式のクランクシャフトが用いられる事が多いです。
シリンダーブロックに直接組付けられる「メインジャーナル」と、コネクティングロッドの大端部に取り付ける「クランクピン」、その二つを取り付ける「クランクアーム」および「カウンターウエイト」で構成されています。
またエンジンの振動を抑える為に、クランクピン反対側のクランクアームには「カウンターウェイト」が取り付けられます。
そのためクランクシャフトの設計は複雑な形となり、製造工程も手間の掛かる多くの工程が必要になります。
振動が大きくなる4気筒以下のエンジンでは振動を小さくするため、「バランスシャフト」が取り付けられる事が多いです。
この「カウンターウェイト」と「バランスシャフト」ですが、スバルの4気筒エンジンには装備されていません。
スバルの4気筒エンジンは、ピストンが左右で振動を打ち消し合うようにレイアウトされている為、バランスの悪さから発生する振動が起こらないからです。
また左右に2気筒ずつシリンダーがレイアウトされているためエンジンの全長が短くなり、直列エンジンよりクランクシャフト自体も短くて軽くなります。これは高速で回転するクランクシャフトにとって優れた特性となります。