最近販売されている自動車は、ほとんどがAT車で、車種によっては始めからMTの設定が無いものも多いです。
秋ろーがクルマの免許を取った20年以上前の時代は、「車好きならMTだろう」といった意見も多く、AT限定免許しか取れない人に対してバカにするような風潮もありました。
しかし、最近は安く早く免許の取れるAT限定免許をバカにするような人はいません。20年以上前からは想像もできないほどAT車が普及し、AT車というのがもはや特別なものでは無くなったという事ですね。
こんなに広く普及しているAT車ですが、その操作方法を正確に知っている人は少ないです。今回はそんなAT車について、代表的な機能の使い方を説明したいと思います。
「OD(オーバードライブ)」スイッチとは
AT車に装備される「ATセレクター」は、メーカーや車種によって仕様が微妙に異なります。その中でもよく見られる装備に「OD」や「スポーツ」といったスイッチがあります。
「OD」というのは、「オーバードライブ」の事で、このスイッチを操作する事でオーバードライブをオフにすることができます。
例えば、5速ATの場合は5速がオーバードライブとなり、4速ATの場合は4速にオーバードライブが設定されている事が多いです。最近の多段化されたATの場合、6速と5速にオーバードライブが割当られていることもあります。
オーバードライブというのは、エンジン回転に対してトランスミッションの回転が低い状態、つまり高いギア比が割当られている状態の事です。オーバードライブを使えば、エンジン回転を低く保ちながら高速で巡航することができるわけです。
「OD(オーバードライブ)」をオフにすると
「OD」スイッチをオフにすると、5速ATの場合は5速がオフになり、1速から4速の間でギアチェンジが行われるようになります。これによって、常に力強い走りが可能になります。
例えば、緩やかにダラダラと下り続けるような高速道路の場合、オーバードライブをオンにしていると速度が自然に上がっていきます。これに対して、「OD」スイッチをオフにしておけば、適切なエンジンブレーキが掛かってスムーズに坂道を下ることができます。
逆にこういったなだらかな坂道を登る場合は、自然に車速が落ちてくるので途中でアクセルを踏んで加速することになります。しかし「OD」がオンになっていると、アクセルを踏んでいる間はシフトダウンされますが、またアクセルを緩めると自動的にオーバードライブへと戻ることが多いです。こうなると、アクセルを踏む度にギクシャクとした動きを繰り返し、スムーズに走ることができません。
こんな場合も、「OD」をオフにすることで常に低いギアで走ることができますから、スムーズで力強いドライブが可能になるわけです。
「スポーツモード」や「エコノミーモード」など、モード選択スイッチについて
実はこの「OD」スイッチ、最近のクルマでは採用されることが少なくなっています。その代わりに主力となっているのが、「スポーツ」とか「エコノミー」といったモード選択スイッチです。
「スポーツモード」を選択するとギアの変速タイミングが変更され、低いギアでエンジンを高回転まで引っ張って力強く走り、減速する時は早めにシフトダウンして次の加速に備えるという制御が行われます。
つまりスポーツモードを使う場面として最適なのは、上り坂や下り坂といった力強いパワーやエンジンブレーキを必要とする場面という事になります。もちろん、スポーツ走行を楽しみたいときにも最適なモードです。
これに対して「エコノミーモード」は、アクセルを踏み込むと早いタイミングでドンドンシフトアップされていきます。ある程度の速度に達すると、オーバードライブとなり、低回転を保って高速巡航するように制御されます。つまり、力強い加速力よりも効率の良い走りが重視されているわけです。
フェード現象など、緊急事態が起きた時は
坂道の勾配があまりにもキツイ場合は、スポーツモードのエンジンブレーキだけでは十分でないケースもあります。そんな時は、より力強いエンジンブレーキを得るため、手動で強制的に2速にシフトダウンしてやってください。
また、ブレーキがフェードしたり、ベーパーロック現象に見舞われたといった緊急事態では、さらに低いギアの「L」を選択してやる必要があります。「L」を選択すれば強いエンジンブレーキが立ち上がり、車速をスムーズに落とすことができます。