今回の旧型レポートは「2代目 マツダ MPV L」。
1999年から2006年に渡って製造販売されていた、Lクラスのミニバンです。
FR(後輪駆動)ならではの素直な操縦性を持つ初代MPVに対して、この新型ではオーソドックスなFF方式(前輪駆動)を採用しています。その分、室内空間が大幅に広くなったものの、先代の自然なドライブフィールは失われてしまいました。
この決断については、一部の運転好きからは残念がる声が聞かれたものの、市場での評価は高く、Lクラスミニバンとしてはそこそこの販売台数を記録しています。
外観
全長4750mmX全幅1830mmX全高1745mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2840mmとなります。
フロント
ゆったりとしたなだらかな曲線を描くフロントノーズに、上品なラインで構成された角型ヘッドライトが装備されます。どっしりとした重厚感を感じさせつつも上質な味わいがあります。
サイド
初代MPVのFRらしい特徴的なシルエットは失われ、ごくオーソドックスなミニバンルックとなりました。ボディサイドにがっちりとした塊感があり、巨大なボディと相まって威風堂々とした存在感が感じられます。
リア
巨大なボディにゆったりとした曲線を描くリアウィンドウが組み合わされ、大らかで伸びやかな存在感を醸し出しています。当時のアメリカ製フルサイズミニバンを彷彿とさせるような佇まいです。
内装
ゆったりとした曲線を巧みに織り合わせた上質な室内デザイン。中央に五角形のセンターコンソールが配置され、全体の印象をギュッと引き締めています。
オーソドックスなFF方式となったため、室内に大きくはみ出すドライブシャフト(センタートンネル)が無くなり、広々とした室内空間を確保しています。同時に、アップライトなポジションとなっているため、ボディの見切りが向上し運転もしやすいです。
ヒンジドアからスライドドアへと変更されたため、狭い場所での乗り降りに重宝します。
シート
フロントシートには、ゆったりとしたサイズ感とたっぷりとした厚みがあります。クッションには適度な硬さがあたえられており、長時間ドライブでも疲れにくい構造です。
セカンドシートには、キャプテンシートとしても、ベンチシートとしたも使える「KARAKURIシート」が装備されます。やや形が平板でクッションも薄いたため、最新型の独立キャプテンシートのような快適性は得られません。
サードシートは、この手のシートとしては割りと大きなサイズ感があります。ただし、床と座面の高さが近く、体操座りのような姿勢を強いられます。ドアの位置関係によって乗り降りがしづらく、窓も開けられないため閉塞感が強いです。といっても中距離(30km)程度の使用なら問題ありません。サードシートの使用目的を考えれば十分です。
荷室
サードシート使用時も十分な荷室スペースが確保されています。家族4人であれば2泊3日旅行も十分可能です。
さらにサードシートを床下に折り畳んで収納する事ことによって、広々とした荷室スペースを作り出すことができます。普段は4人以下で乗ることが多いでしょうから、荷室容量としては十分ですね。
静粛性
古いエンジンとトランスミッションを組み合わせて使っているため、車内に侵入するバイブレーションとノイズは大きめです。
エンジンとミッション
2494ccのV型6気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、170ps/6250rpmの最高出力と、21.1kgf・m/5000rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1640kg。10モード/10・15モード燃費は、8.6km/lとなります。
エンジン
2.5LのV6エンジンで前輪を駆動。このエンジンはフォード製の古いエンジンで、そこそこのトルクはあるものの、V6らしいスムーズさや上質さにかけます。ただし、これを「アメリカンな味わいがある」と感じられる人には、MPVならではの大きなアドバンテージとなります。
下位グレードには、2.0Lのツインカムエンジンが用意されますが、こちらは重い車重にたいしてトルクの細さが気になります。
トランスミッション
トルコン式の4速ATを装備。トランスミッションの設計も古く、シフトショックは大きめです。ただし、エンジンのトルクがそこそこあるため、実用上の問題はありませんが。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
ゆったりとした快適な乗り心地。やわらかさの芯にしっかりとしたコシがあるため、高速域でもビシっと安定して直進します。
ハンドリング
コーナリング中は緩やかなロールを伴いますが、ロールの出方が一定で予測が付きやすいため、それほど不安感はありません。ゆったりとしたスローなハンドリングです。
大きなボディのわりに最小回転半径が小さく、狭い路地でも簡単に切り返すことができます。
評価のまとめ
FR方式からオーソドックスなFF方式へと変更されたため、室内には広々とした空間が拡がります。その分、FRならではの自然なドライブフィールは失われましたが、ミニバンとしての利便性は大きく向上しています。
ゆったりとした快適な乗り心地と、アメ車っぽい重厚感のあるV6フィールが味わい深いミニバンです。
普段はお父さんが通勤や仕事で使い、週末は家族でドライブに出かけるなんてシュチュエーションにピッタリな車です。セカンドカーとしてもう一台、コンパクトカーや軽自動車があれば完璧です。
価格
新車当時の価格 | 2,668,000円